第5回:子どもの頃から抗生剤を何度も飲んできた“上の子”の話 シリーズ12「こんな人は、かかりつけ薬剤師を“本気で”探したほうがいい」 #1125
このブログでも何度か書いてきましたが、長男は2014年生まれです。あの頃、小児科ではクラリスロマイシンをはじめとした抗生剤が、今よりずっと当たり前のように処方されていました。熱が出れば、咳が続けば、「とりあえず抗生剤も出しておきますね」と言われることが珍しくない時代だったのです。
長男は、そういう「抗生剤世代」です。子どもの頃に、何度も何度もクラリスロマイシンを飲みました。当時、親としては「よく効く薬を出してもらえた」「ちゃんと治してもらえた」という安心感が大きく、その時点では「これが普通の医療なんだ」と思っていました。
しかし後になって、「同じ抗生剤を何度も何度も使い続けると、その薬が効きにくくなる“耐性”がついてしまうことがある」と知ることになります。これは社会全体の耐性菌の問題として大きなテーマですが、もっと身近なレベルでは、「うちの子の体の中で、この薬がすでに効きにくい状態になっているかもしれない」という話でもあります。将来、本当に肺炎などの重い細菌感染症になったとき、「本来なら選べたはずの薬が一つ減っている」可能性があるのです。
ここで難しいのは、「2014年に何回クラリスロマイシンを飲んだから、2026年にどれだけ影響しているか」を、誰も正確に測れないということです。そして、10年前に処方した医師が、その未来の結果に責任を取ってくれることも、ほとんどありません。
だからこそ、親として気にしているのは、「自分がいなくなったあとにも、長男本人が『自分は子どもの頃、クラリスロマイシンを何度も飲んできた』という事実を知っていてほしい」ということです。カルテやデータには「クラリスロマイシン〇日分」と残っているかもしれませんが、それが別の医療機関に正確に伝わるとは限りません。最後に頼りになるのは、本人と家族が持っている「薬の履歴」の記憶です。
ここで活躍するのが、かかりつけ薬剤師です。子どもが成長して、別の病院や薬局を使うようになったときでも、「実は小さい頃にクラリスロマイシンを何度も飲んでいた」という情報を、どこかに記録として残しておくことで、将来の医師や薬剤師に伝えることができます。
長男の経験は、「昔の医師を責める」ためではありません。むしろ、「薬の履歴をどう家族で引き継ぐか」を考える出発点になります。上の子のこの「薬の過去」を知っているからこそ、「では下の子にはどう向き合うか」という新しい問いも生まれてくるのです。
【本文終】
この書籍『薬剤師に聞いてみよう! 子どもの薬Q&A 教えて! 診療現場の薬の“さじ加減”』は書店でも結構大きな棚を占めているのでご存じの方も多いかと思いますが、『子供の薬の事で迷った時』に手に取っていただきたいおすすめの書籍です。
小児科でお薬がでても、ついつい医師には聞き逃してしまい、家に帰って疑問がでてくる、そんな時に役に立ちます。対象は医師・看護師に向けてと書かれていますが、小さなお子様の薬について心配がある方には、とても分かりやすく書かれております。お子様が知らないうちに悪くなった・・・ということがないようにしっかりと背景まで親御さんが理解するというのも、これからの時代大事でしょう。(少し専門用語も出てきますが、今の時代AIで少し調べれば、わかりやすく言い換えてもらえますよね)
実は編著者の先生のお話は、一度間近で聞かせていただいた事があります。お人柄も素晴らしい方で、お話によるとお勤めされていた保険薬局で患者さんの疑問に答えるために日々調査・研究を重ねられて出版社から声がかかり、このような書籍を出されているそうです。本当に患者さんの立場に立って考えていらっしゃる薬剤師の先生です。
何よりも、『薬』という一般的な方が取っつきにくい話を分かるように書いたりお話しされるという意味で右に出る方はいらっしゃらないかと思います。
私も足元にも及びませんが、少しでも見習っていければと考えております。
是非、本書をお手に取っていただければと思います。
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「親の薬と医療の『質問ノート』」マガジン
忙しい外来でも伝わりやすいように、「一言で聞けるフレーズ」を書き出して持って行けるようにしました。
※ここで書かれている内容は、一般的な情報提供および一部の事例紹介を目的としたものであり、特定の病気や治療についての診断や処方を直接指示するものではありません。お薬の中止・変更を含む具体的な治療方針の決定は、この記事のみを根拠に自己判断で行わず、必ず主治医や薬剤師などの医療専門職とご相談ください。(2026年2月)
📖 このシリーズの全記事一覧はこちら → https://healthcare-arukikata.com/healtharuki-blog/zone-d/
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