【連載小説】w 「あたしの道草」⑥
(六)
鼻が光る紳士
明るい光で未来を照らす
得意になってもいいと思うよ
世界はあなたのために輝いている
あなたの鼻のように
あたしは恋人にも会えないまま
一人で暗闇を歩いてた
暗い夜道はピカピカの
あなたの鼻が役に立つ
ジングルべ、、、
あ、これってアレじゃん!
あたしは、書きながら自分の詩が、知ってる歌の歌詞に引っ張られているのに気がついた。
いい感じだと思ってたのに、やっぱり詩は難しいね。でも、誰かに見せるわけでもないし、まあいいか。やっぱり、鼻が光ってる紳士じゃ、あまりロマンチックじゃないよね。アオイちゃんもそうだけど、ヴェルレーヌとかランボーみたいにはいかないね。
あたしは、グレープフルーツジュースを一口飲んだ。
もしかしたら、韻を踏んでないのがいけないのかな。でもアオイちゃんの詩って韻なんて踏んでたかな。
※
高菜ピラフは、どこか懐かしい味がして美味しかった。好きなんだ、美味しいよね。チャーハンと似てるけど、微妙に違うよね。何が違うのかはわからないけど、あたしはピラフのほうが好きかな。
あたしは、グレープフルーツジュースを一口のんで、また大学ノートを開いた。
さっき書いた「鼻が光る紳士」の詩を読んでみた。うーん。
あたしは、ページを変えてもう一度衝動を言葉にしてみようとノートに向かった。
鼻が光る紳士
彼女の前で未来を照らす
鼻が光るあたしの前に
明るく広がる白いテラス
白いテラスに黒いカラス
白か黒かと大声で
紳士は叫んで声を枯らす
おお 鼻が光る紳士よ
あたしの鼻も光ってる
おお 鼻が光る紳士よ
あなたの鼻には完敗です
乾杯
ピラフを一つ
お願いします
なにこれ? 全然ロマンチックじゃないし、意味不明。
大体、鼻が光ってる紳士がそもそもロマンチックじゃないよね。ていうか、鼻が光ってるってなに? うーん。あたしなりに韻を踏んでみたんだけど、どうもそういう問題じゃないみたい。
ブブー!
あたしのバッグの中から、スマホのバイブの音がした。あたしはスマホをバッグから取り出して画面を見た。
「リエちゃん!」
リエちゃんから、SNSでメッセージが届いたみたい。あたしは、SNSのアプリを開いた。
※
”お疲れ! 今、どこにいるの? 家?”
”大学の近くの喫茶店でお茶飲んでます。リエちゃんは?”
”あ、こっち来てるんだ 今、私も駅にいるんだけど、どこ? ひとり?”
”ひとりです。西口公園のちょっと先にある「白いバラ」という喫茶店です。”
”そっか もし暇だったらちょっと付き合ってくれない?”
”大丈夫です。スズキさんに会うのがなくなったので暇です。”
”ありがと、じゃあ10分後くらいに西口公園の噴水のとこにいくから、そこで”
”わかりました”
「あたしの道草」⑦に続く
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