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【連載小説】w 「あたしの道草」⑨

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(九)

あたしたちは、西口公園から駅の方に向かって歩いて、駅前にいくつかある大手デパートの一つに入った。

「やっぱり、身に付けるものがいいかなあ、でもサカガミさんアクセサリーとかあんまり付けないんだよねえ」

リエちゃんはデパートの各階のフロア説明のボードを見ながら言った。

なるほど、とあたしは相槌を打ちながらリエちゃんの横で考えていた。

アクセサリーか、悪くないかもね、でも普段付けないんならあげても付けないかもね。あたしもアクセサリーは付けないから気持ちはわかる。

「うーん、やっぱり初めての誕プレだから、小物とか軽いものがいいのかな、予算のこともあるし、、」

リエちゃんが独り言っぽく言ってるのを聞きながら、あたしは、スポーツジムで知り合った年上のお姉さんが彼氏にあげるって言ってたプレゼントのことを思い出してた。

このお姉さんが言ってたプレゼント、彼氏にあげるのあたしの夢なんだよね。かなり憧れてる。

あたしは、リエちゃんにあたしの夢のプレゼントを提案してみた。

「リエちゃん、下着はどうかな?」

リエちゃんは、一瞬「ん?」って顔をしてから、ため息をつくように目を伏せながら「マリ、あんたねえ、、」と言って動きを止めた。

そっか、下着かあ、、と言ってリエちゃんは考え込んだ。

いいと思うんだよね。あたしの憧れの”男物の下着”のプレゼント。ジムのお姉さんは、彼氏の誕生日に下着をあげるって言ってたんだよね。

あたしは、軽くショックを受けて、だけどすごく羨ましくてウットリしたまま「いいですね!」って叫んでた。

だって、下着ってとても特別な感じがするし、身に着けてくれたら嬉しいし、男の人に履いてほしい下着をプレゼントするってなんだか大人って感じでカッコイイと思ったんだよね。

そのお姉さんは色々教えてくれて、女物のセクシー下着をプレゼントする人もいるんだよって言ってた。

あたしは、彼氏がそれを身に着けるのかと思ったんだけど、お姉さんは笑って、

「そうじゃなくて、彼女がその下着を身に着けて、彼氏はそれを脱がすんだよ」

って言ったんだよね。

なるほど! ってあたしは思って、これはとてもいいプレゼントだと思ったの。だって、これはカップルにしかできない、カップルのための特別なプレゼントだから。他のどんなプレゼントでもこれはやらないよね。

リエちゃんは、しばらく考えて、下着かあ、ともう一度呟いた。

「いやあ、でも、、、まあねー」

リエちゃんは、明らかに心が揺れてた。

「リエちゃん、付き合ってるんだし、変なことは何もないと思うけど、、」

あたしは言った。

「うーん、まあ、とりあえず、色々見ながら考えるよ」

そう言ってリエちゃんは、歩き出した。

いいなあ、あたしも彼氏のプレゼントで色々悩んでみたいなあ。あたしはプレゼントをあげるのが好きだから、彼氏はきっとあたしからいろんなものを貰えるね。でも、まずは彼氏を作らないとね。あー今日スズキさんが来てくれてたら、あたしはそのまま付き合ってたかも。もう、ほとんど誰でもいいって感じ。リエちゃんの話だと、スズキさん、割といい人みたいだし。このさいスズキさんでもいいよね。

それから、リエちゃんとあたしは色んな階を見て回ってプレゼントを探した。

色々あちこち回ってリエちゃんは、結局、青っぽい皮のキーケースを買った。鍵って毎日必ず使うから、その度に自分のことを意識させられるかなって言ってたけど、確かに! それに値段もちょうどいい感じだって。

こういうのは高価すぎると返って重い感じになるから、程々がいいんだよってリエちゃんは言った。でも、リエちゃんが買ったキーケースは割と高級感があっていい感じだとあたしは思った。

「リサーチのつもりだったけど、買えてよかった」

と言ってリエちゃんは満足そうだった。

「よかったね」

あたしが言うと、リエちゃんは何でもないような素振りで

「マリ、一応、ちょっとさっき言ってた下着も見てみていい?」

と言った。

「あ、もちろん!」

あたしは嬉しくなって言った。そうこなくっちゃね。



「あたしの道草」⑩へ続く



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