【連載小説】w 「あたしの道草」⑧
(八)
「そう、それなんだけど、、」
リエちゃんは、歩きながらちょっと躊躇して「あの、、」と言った後、少し照れたように、でもそれもなんだかトボケながら
「実は、来週サカガミさんの誕生日なんだよね」
と言った。
「へえ、そうなんだね、あ、もしかして誕生日のプレゼント?」
「うん、まあ一応ね、、それでその、リサーチっていうか、、まだ今日買うかどうかはわからないけど、、」
「リエちゃん! いいねいいね! プレゼントいいね!」
あたしは嬉しくなって言った。
「なんでマリがそんなに喜んでるのー!? うん、でね、何をプレゼントしたらいいかなーって、、こんなことマリくらいしか相談できないから、、みんなホラ、いろいろうるさいじゃん?」
リエちゃんも少し嬉しそうに言った。
わかった、と言ってあたしは考えた。
サカガミさんでしょ、なにをプレゼントしたら喜ぶんだろう。やっぱり欲しがってるものがいいよね。サカガミさんって何が好きなんだろう。大体、男の人って何をプレゼントされたら嬉しいんだろう。
そこまで考えて、あたしは自分がサカガミさんのことを何にも知らないということに気がついた。
「リエちゃん、なにか考えてるプレゼントってあるの?」
あたしはリエちゃんに聞いてみた。
「うーん、それがまだよくわかんないんだよね。まだ私も付き合ってそんなに長くないし、、まあ、ネクタイとか、、?」
リエちゃんも、迷ってるみたい。確かに考えたらリエちゃんもまだ付き合って1,2ヶ月くらいだもんね。
「変なものあげてセンスないって思われるのも嫌だし、かと言って普通のっていうか、ありきたりなモノはイマイチだし、やっぱりしっかり爪跡を残したいんだよね、一応」
とリエちゃんが考えながら言った。
「あ、でもネクタイって結構いいんじゃない? あたしのパパ、、父親も母親にネクタイもらって嬉しかったって聞いたことがあるよ」
あたしは、パパが嬉しそうにママからのプレゼントの話をしていたのを思い出しながら言った。まだ、パパもママも若かった頃の話らしいけど、誕生日プレゼントにネクタイはいい気がする。
「まあ、悪くはないと思うんだけどね、なんかそれって付き合って間もないカップルには合わない気もするんだよね、、私のイメージではネクタイって新婚夫婦って感じ、、しかもなんか”ベタ”過ぎるっていうか、、ちょっと重いイメージもあるし、、なんか新婚の奥さんが夫に”しっかり働いてね”って言ってるみたいで、なーんかピンとこないっていうか、、、結婚なんかまだ考えられないしね」
なるほど、とあたしは思った。確かに、カップルっぽいかというと微妙な気もするね。
「サカガミさんって何か好きなものとかあるのかな? 趣味とか」
「やっぱ、そこだよねえ、うん、実はサカガミさん、音楽が好きで自分でギターも弾いたりするんだよねえ、あとはスキーでしょ、ゲームでしょ、サッカーでしょ、映画、旅行、お酒も好きだし、、」
「リエちゃん、いいじゃん! ギターをプレゼントすれば? サカガミさん喜ぶんじゃない?」
「マリ、あんたギターっていくらするか知ってるの? ギターって結構高いんだよ。しかも、私ギターのことなんてわからないし、、」
「うーん、そっかあ、じゃあ、太鼓は? アフリカンフェスタに行ったら売ってて、あたしもどうしても欲しくて買ったことあるよ、8000円くらいだったかな」
「あんた、アフリカの太鼓なんか買ってどうするのよ」
「家で叩くの、結構いい音するんだよ、今でも時々叩いたりするよ」
あたしはポンポンというアフリカの太鼓の独特の音色を思い出して、楽しい気分になった。
「あんたねえ、サカガミさんがアフリカの太鼓をあたしからプレゼントされて喜ぶと思う?」
「喜ばないかな? あたしなら嬉しいけどなあ」
リエちゃんは、ちょっと呆れたような顔であたしを見て、
「まあ、あんたの海外的?なのかよくわからないセンスは買うけど、、アフリカの太鼓かあ、、、サカガミさん喜ぶかしら? いや喜ばないでしょ!」
アハハハハ! リエちゃんが珍しくちょっとおどけて、あたしたちは笑った。
でも、あたしだったら本当に嬉しいけどなあ。
「あたしの道草」⑨へ続く
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