見出し画像

オリジナル漫画「scope」原作-28

【趙篇】VS遺伝子操作組織(緑)第6話


ウォング 「 …はぁ はぁ  どうせくたばって無いんだろ?  もしかして、死んだふりでもしてるのか?古典的だな。 ハッハハ 」

< ザザッ > 中心の砂が動き、ジャイクの耳らしきものが少しだけ見えている。 動く様子が無い。 這い上がろうとして途中で力尽きたのだろうか?
その様子を見たウォングが、“スキャナーマガジン”を親指で操作し、特殊弾丸を選択する 【 猛毒弾(poison)】

ウォング 「 いくらタフでも、毒は耐えられ無いっしょ? いっそのこと、毒の湖になっちまえ! 悪夢の大合唱_フロッカブル・デスソング!! 」

“カエルの歌”のリズムに合わせて、背(ハイ)を撃ち込む、ウォング。 子気味の良いリズムにて、カエル背中弾から次々と毒が噴射される。
< ゲーコーゲーコーゲーコっコ ゲーコーゲーコーゲーコっコ ゲ・ゲ・ゲ・ゲ・ゲコゲコゲコゲコ ゲッゲッゲ! > 徐々に黒紫色の毒液が溜まって行く。

王家 「 ジャイク!! 待っていろ、今行く! 大盤振る舞いだ! フルッツァ!! 」バナナ型の砲弾が、グレネードランチャーから放たれる。

ウォンゲ 「 …クッ! しまった。。 」 < ドゴーン! > 瞬時に身をかわすも爆風に巻き込まれてしまう、ウォンゲ。

王家  「 おい! ジャイク!  大丈夫か? 」

すり鉢状の砂の坂を、中心に向けて滑り降りて行く。 <ビシャビシャ> 躊躇無く進むスナユキのブーツが、どっぷりと毒液に浸かっている。手を差し伸べるため、中心に向け歩を進めようとした瞬間、ウォングの真下の砂中から人影が現れた。 < バサッ >

ジャイク  「 いよぉー いい眺めだなぁ。…それ以上は行くな、スナユキ! イケメンには変わりねぇが、そりゃ砂像だぜ。 」

< ガツッ > 目の前にいるウォングを、後方からのスリーパーホールドでガッツリと捉える、ジャイク。

ウォング  「 グッ どこにこんな力が残ってるんだ…  首に特大のアナコンダが巻き付いてるみたいだ… い、息が出来ねぇ。。。 」

王家  「 <!?> なんだ、砂像だったのか! 私も騙すとは、大したものだな。 ピンチの演技だけにピカイチではないか! クックク 」

ジャイク 「 おい! 助演男優賞くれよ! ヒャッハハ。…さてと、このまま締め落としてもイイんだが、オレも少しは活躍しとかないとな。 オリァ!! 」

スリーパーホールドで締め上げたままウィンドミルで回転し、発生した竜巻に乗り、スクリューのように捻りを加え後頭部から地面に叩き付けた。< ボサッ!>地面が砂であった事が幸いし、即死は免れたようだ。 しかし、衝撃で気を失っている様子のウォング。 白目を剥いている。

ジャイク 「 ノボリ・リュープレックス! …ふぅ~ こいつらも中々やるわぁ。 何だかんだで、身体もボロボロじゃん。 あぁ 肉食いてぇぜ! 」

王家 「 相変わらず、豪快な投げ技だな、ジャイク。 さて、もう一匹の方も片付けるとしようか? 」

フルッツァの爆撃に巻き込まれたウォンゲが砂中から姿を現した。

ウォンゲ 「 ゴホ ゴホ ゴホッ <!?> 兄貴がやられただと? どうせ油断したんだろうが… 」 爆撃の影響で、ケガをしている。

王家 「 おっ 早速現れたか? ほぉ~う フルッツァを食らってまともに動けるとは、中々タフだな。 」

ウォンゲ 「 もう一度身動きを封じてやる! 粘着弾をくらえ!! ストーキング・ベター!! 」

< べと~ん > 放たれたカエルの舌弾からネバネバの液体が飛び散る。

王家  「 おっと危ない。 こいつが噂の粘着弾だな? いくら弾丸が強力だとしても二度は同じ手はくわんよ。 」 さっと身をかわす、スナユキ。

ウォンゲ 「 クソっ! ではこいつはどうだ? 悪夢の大合唱_フロッカブル・デスソング!! 」

“カエルの歌”のリズムに合わせて、背(ハイ)が撃ち込まれる。 子気味の良いリズムにて、カエル背中弾から次々と黒紫色の毒液が噴射される。
< ゲーコーゲーコーゲーコっコ ゲーコーゲーコーゲーコっコ ゲ・ゲ・ゲ・ゲ・ゲコゲコゲコゲコ ゲッゲッゲ! >

王家  「 よっ ほっ そりゃっ 」
軽やかに次々と身をかわす、スナユキ。

ウォンゲ 「 ……なぜ、当たらん!? 」

王家 「 色は違えど、兄弟仲良く、拳銃の機能は同様のようだな。で、どうした?もう終わりか? 」

ウォンゲ 「 … チッ 仕方ないな、一旦退くか。 足(ソク)! 」
カエルの足弾の威力を使って、湖の方へと逃走していく。 < ビョンビョンビョン >

王家  「 逃走とは情けない。 しかも兄を置いたままとはな。 姑息なヤツには特別な止めを刺してやろう! おい、鼻!もう十分休んだだろ!行くぞ! 」

<ピーっ!> スナユキの力強い指笛に反応する、鼻王。 背中に飛び乗り、ウォンゲを追い掛ける。< ドドドドドド > しばらく走ると、湖が見えて来た。読んで字の如く、背水の陣にて追い込まれる、ウォンゲ。

ウォンゲ 「 …クソっ もう 追いつかれたか。 」

王家 「 身体への負担を考えると、本来教官としてはおススメしないのだが。 …お前には特別だ。 」

趙のために調達していた分の ゴリラ型機関銃 「CRAZY GORILLA」と自身の1丁を両手に持ち、構えている。 あまりにもゴツ過ぎる、2丁拳銃だ。
“スキャナーマガジン”を両方の親指で操作し、特殊弾丸を選択する 【 衝撃弾(shock)】 と、鼻王の背中から大きく飛び上がった。

王家 「 まだ眠りから覚めるには早すぎたようだな。一生冬眠していろ! 正義の爆撃_ドラミング・ジャスティス!! → W(ダブル)!! 」

ウォンゲ 「 クっ! 悪夢の大合唱_フロッカブル・デスソ…  」

< ボゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴっ!!! > 2丁の「CRAZY GORILLA」から放たれるナッコーの雨あられが、容赦なくウォンゲを襲う。 被弾する度に、大きな衝撃と共に大電流が流れる。<バリバリバリ!!> 撃たれるがまま、湖まで大きく吹っ飛ぶウォンゲ。 同時に湖にいた巨大な魚たちが気絶して浮いて来る。

王家  「 なんだ!?この巨大な魚は… 遺伝子操作も、闇の用心棒もイケスカンな。 」腹を出し気絶したウォンゲが湖に浮いている。


( アジト内、趙サイド )

最上階へと昇りつめた、趙。 社長室の前で拳銃を構え、様子を伺っている。 モゴモゴ・ワサワサと動くような、ドアの向こう側から得体の知れない気配を感じる。両親の事、店の事を思い出し今一度気を引き締める、趙。

趙 「 父さん、母さん… あの日出て行ってしまってから、私の時間も止まったままなんだゾイ。 だが、それも今日で終わる …終わらせる! 」

< ドガッ! > 特殊拳銃を脇に構え、社長室のドアを勢い良く蹴り倒した。

趙 「 …な、なに!? 」

そこには、近代的な建物とは似つかわしい光景が広がっていた。 一言で表現するなら、ジャングル。 いやっ この世の物とは思えない、まるで魔界のジャングルと言ったところだろう。部屋中に至極不気味な植物が生い茂っており、周辺は淀んだ重たい空気に合わせて薄暗い。 よく見ると、所々に赤紫色の毒々しいトマトのような果実が生っている。 茎は蛇のように柔軟で、葉はハエジゴクと彷彿とさせるキザキザの形状で、不気味な悪魔の口が微笑んでいるように見える。うごめく植物の一番奥に、1人の男が豪華な椅子に腰を掛けて趙を待っていた。

ヨウゼン 「 おこんばんわ。 どや?驚いたやろ? これは、“ヘルトマト” 現在闇実験にて開発中の植物兵器やで。 …って、お前誰やねん!! 」

趙 「  ………………………。 」

ヨウゼン  「 おい! リアクションせぇや! 己が纏っているのはダンマリ筋肉か!! こちとら、機密事項をペラペラとしゃべるって言うボケかましてんねん! 」

趙 「  ………………………。 」
< ガチャン > 無言でドアを閉めて部屋を出て行く、趙。

ヨウゼン 「 ちょ、待て待て待てーい! どこ行くねん!? 」

< ガチャン >

趙 「 角(カク)!! 」
ドアを開けると同時に、クロサイの角弾を放つ。< ドダダダッ!> 画に描いたような真顔だ。

ヨウゼンに向けて放たれた弾丸を、まるで八岐大蛇のような動きで、身を挺してかばうヘルトマト。 赤紫のトマトの果実部分に被弾する。< ブシャー! >飛び散った紫の液体が掛かったヘルトマトは、けたたましい音と共に溶けて行った。

ヨウゼン 「 危なっ!! このトマトは猛毒やねん。 味は最高だが、食ってしまったら即死、触れただけでも火傷の1,000倍のダメージ。 致命傷やで。 」

趙 「 …漫談はもういいか? お前が遺伝子操作系闇企業(緑)のトップだろ? お遊びは無しだ、きっちりと仇討ちさせてもらうゾイ!! 」

ヨウゼン 「 なんやねん、冗談の通じない奴やなぁ。 せや、わしが代表じゃ。んで、おのれは何者やねん? あの日助けた肉の妖精ちゃうやろ? 」

趙 「 やはり、お前がそうか。 …私は、いち中華料理店のオーナーシェフ、趙砕雀だ! お前に殺された両親の仇討ちに来たゾヨ!! 」

ヨウゼン 「 中華料理店のオーナーやと? …見た目まんまやんけ! カッカカ。ほう、で両親の仇討ちやて? 物騒な。お前、ウチの取引先やろ 」

趙 「 お前らと関わるようになってから、店が、両親がおかしくなったんだ…  あの日仕入れた、異常に成長した魚、忘れないゾヨ。 」

ヨウゼン 「 なんやなんや、お前んとこの店も結局は悪徳店やないかい! 言いがかりは止めてくれへんか? カッカカ 」

趙 「 …言葉巧みに弱者の弱みに付け入り、延々暴利をむさぼるお前たちに言われたくないわ! 外道めがぁ!! この趙が成敗してくれる!」

ヨウゼン  「 とんだとばっちりやなぁ。ん? 趙? どこかで聞いたような  …まさかチャイナタウンの有名中華店かえ? 」

趙 「 そうだ。“名菜・趙飯店”のオーナーシェフだゾイ。 」

ヨウゼン 「 おぉ そう言えば夫婦揃って凸して来た輩がおったなぁ? 趙、趙…  あの趙か? どの趙だ? 」

趙 「 思い出したか! …あの日、両親をどうしたんだゾイ!! 闇の実験とは何だゾナ!! …虹色の瞳とは?? 」

ヨウゼン 「 < !? > 中々詳しいやないか。 だが、遺伝子操作系闇企業(緑)言うてもな、“研究所”の指示に従う事が多くて、よう知らんのよ。」

趙 「 研究所の指示だと? とぼけるな!! まぁいい、お前の知っている事は全てしゃべってもらうぞ。 その上できっちり仇討ちさせてもらうゾイ! 」

ヨウゼン 「 やから、あんちゃん、ホンマに知らんのよねー。お前の両親は、かなりの違法実験的な事をされていたようだが、具体的にはホンマに知らんねん。そもそも 奴らが第三者に情報漏らすわけ無いやろ。そんな恐ろしい情報知りたくも無いわ… 」

趙 「 なんだと!? では、その研究所について色々と教えてもらうゾヨ!! 」

ヨウゼン  「 知らん言うとるやないか! しつこいやっちゃな。 …まぇええわ、どうせお前もここで終わるんやから。 って、わしが大事にして来たビルも骨董品もメチャクチャにしよって! そんなくだらん理由でよくもやってくれたよなぁー!! 」

趙 「 くだらん理由か… 覚悟は出来ているようだな? 末代まで殲滅してやるゾイ!!! 」

ヨウゼン 「 どうせ、威勢が良いのも初めだけやんな? 自慢の“ヘルトマトの森” 存分に味わってってな。ほな、さいなら。 」

< ガサ ガサ ガサ > まるで首長竜のような無数の「ヘルトマト」が、茎をうねらせながら 趙とヨウゼンの間を遮った。 植物兵器とはよく言ったもので、恐竜とも昆虫とも言い難い、今まで見た事も無い不気味な未知の生物だ。 ハエジゴクのような葉は、そのギザギザになった口から劇塩酸が滴り落ちている。

趙 「 待てー!! …クッ 気持ち悪ぃ。 でも、毒抜きすれば食材として使えるかもしれんな。<目が輝いている>料理人の悪い癖が出ている。

次の瞬間、ヘルトマトの群れが、趙へと襲い掛かった。 植物に意思は無いが感知センサーのようなものが付いていて、餌と感知した動物に対しては自ら襲い掛かる習性がある。 ここまでのバケモノを創り出してしまう遺伝子操作とは、創り手のサジ加減でどうとでもなってしまう、如何に恐ろしいものかが見受けられる。当然、無理な遺伝子操作は後遺症など個体に不具合が生じる可能性が高く、倫理の問題も含め、神への冒涜と捉える層も多く存在する。

ヘルトマト 「 フシャーー! フシャーーー!! フシャーーーー!!!!」 トゲトゲの葉が、口を開けて襲い掛かって来る。 まるで 笑っている悪魔のようだ。

趙 「 !? おっと! 危なっ 」
とっさに身をかわす、趙。噛み付いた床が劇塩酸で溶けている。 < ガシュー ガシュー ガシュー >

趙 「 トマトの果実だけではなく、葉の方も危険なようだゾナ。毒か? 酸か? あれに食われたら、たちまち消化されてしまいそうだゾイ…。 」

ヘルトマト 「 フシャーー! フシャーーー!! フシャーーーー!!!! 」  間髪入れずに不気味な笑顔で襲い掛かって来る、悪魔のガマグチ。

趙 「 まさか、こいつら疲労とか言う感覚も無いのか?? なるべく長期戦は避けた方が良さそうだゾイ。 どぉらっ! 」 < バチン! >

襲い狂うヘルトマトを、かわしながらパンチを繰り出す、趙。 パンチの威力で一瞬後ろに弾かれるも、すぐにまた次々と襲い掛かって来る。 ヘルトマトは植物なので、疲労も痛覚も皆無。 攻撃時の加減リミッターも存在しないし、破壊したり千切ったりしない限り、ダメージを負わすことも難しいようだ。

趙 「 よし、ではこれならどうだ?」

襲い来る悪魔のガマグチの上下をガッっと両手で受け止め、そのまま後ろに回り込み、目いっぱい口を引き裂いた。

< メキメキメキ …バシューー!! >“ピギャー!!”  声紋こそ無いが、断末魔のような音と共に、裂けた口から大きく飛び散る猛毒と劇塩酸の闇のアンサンブル。まるで、中々開かないスナック菓子の袋をめいっぱい力を込めて開けた際、豪快に飛び散ってしまった…のように、至極豪快に飛び散る劇液。このスナック・スプラッシュを、万が一買ってすぐの新車の中でやってしまった時の絶望感と言ったら、これ以上のことは無い。

趙 「 ウゲェェ… 想像はしていたが、人間で言う血液のように、植物全身に劇液が流れているようだゾナ。 」浴びた劇液で肩口が溶けている。

ヘルトマト 「 フシャーー! フシャーーー!! フシャーーーー!!!!」

茎1本潰されただけでは、勢いは変わらない。 餌を捕食するまで攻撃は続く。

ヨウゼン 「 カッカカ、思った通り 苦戦しているようやなー まだまだこれからやで! 」裏部屋のモニタールームで監視している、ヨウゼン。

趙 「 1匹1匹やっていても埒があかんゾヨ。これでも食らえぃ! 角(カク)!! 」クロサイの角弾丸を放つ。< ドダダダダッ!>

ヘルトマト 「 ピギャーー! プギューーー!! ボシャーーーー!!!!」
クロサイの角弾がヒットし、次々と飛び散る劇液。

趙 「 疲労も痛覚も無いんだ、それでは命乞いも出来んわなー! 心置きなく攻撃出来るゾイ! 食らぇい! 雷地< ライチ > 」

ライチ型の手榴弾をヘルトマトの森に投げ込む。<ドゴーン!>  “ピギャー!!” バタバタと倒れて行くヘルトマトの群生。 床が劇液だらけになって行く。
しかし、倒せど倒せど 部屋一面に生い茂ったヘルトマトは、まだまだガサゴソとうごめいている。

ヨウゼン 「 ほな、いくでぇー 」< ポチッ > 起動ボタンを押す、ヨウゼン。

< フシューーー > 空調が鳴り出し、何らや得体の知れないガスが流れ始めた。 異変をとっさに察知した趙は、携帯している簡易防護マスクを被る。
ガスを浴びたヘルトマトが、トリップ状態に陥ったように興奮状態で暴れ出した。 急激に隆起する筋肉のように茎は野太く、口からあふれ出る劇塩酸の量が放流したダムのように尋常では無い。 トマトの果実を口に含み、勢い良く吐き出して来た。

ヘルトマト 「 ペッ!ペッ!ペッ!!ペッ!!!」

趙 「 なんだと!? 早いっ! 」

体感では、メジャーリーグの伝説の左腕が投げる渾身のストレートの3倍ほどの速さ。 避けるのに精一杯だ。趙が避けた方向に、暴走した悪魔のガマグチが襲い掛かって来る。 しならせて加速させた鞭のように猛スピードで趙に激突した。<ド・バチン!!>

< ビューン! ド・ド・ドッ ・・ドガン!! > 新型新幹線に正面衝突された小石のように、勢い良く吹っ飛ばされる、趙。 激しく床に叩き付けられるが、勢いは全く衰えず、水切り世界チャンピオンが河原で投げた石のように、延々と連続バウンドしていく。 激しく壁に激突する事で、連続記録が途絶えた。とっさに両腕をクロスさせて防御の姿勢と取った趙だが、大きなダメージを負ってしまったようだ。

趙 「 ゲホ ゲホッ …強烈な一撃だったな。それにしても何だ? この急激なパワーアップは。 」

ヨウゼン 「 ええねー!! ナイバッチや! このガスは特別でなぁ。 遺伝子操作された植物専用のドーピング剤ってところや。 贅沢やろ? 」

さらに興奮状態のヘルトマトが、怒涛の如く襲い掛かって来る。 先程とは、スピードもパワーも桁違いだ。 特殊拳銃を構える、趙。

趙 「 休む暇も与えないか… 中々やるな! 受けて立つゾヨ!! 踏(トウ)!! 」  < ドッ ドッ ドゥッ! >

上空に放ったクロサイの足を模した弾丸が、落下と同時にターゲットを激しく踏みつける。< ドダダダダダダダダダダダダッ!!! > 上空から降り注ぐ荒々しいサイの地団太が、ヘルトマト群を次から次へと踏み潰して行く。< メキッ メキッ メキッ >

趙 「 どうだ この珍味ヤロー! 再就職先として、湯がいて主菜の脇に添えてやるゾイ! 」

地面にひれ伏すように倒れているヘルトマト群。 無邪気な園児が、容赦なく踏みつけた花壇のチューリップのようだ。< ピクっピク > 次の瞬間、朝目覚めた首長竜のように一斉に悪魔のガマグチを上げる、ヘルトマト群。 怒りに満ちた表情で、劇塩酸を口からドボドボ垂れ流している。

ヘルトマト 「 グボォーー!! 」
再び、鞭をしならせるように猛スピードで趙に襲い掛かる。

趙 「 !? まさか、これも効かんのか… しまった 」

クリーンヒットし、大きく吹き飛ばされる、趙。 < ボゴーン!! > 壁にめり込んでいる。

ヨウゼン  「 アタタタ 植物だけに容赦せぇへんな。 カッカカ 恐竜より獰猛で凶悪やで、ヘルトマトちゃんは。 まぁ現代に恐竜なんかおらへんけどな。 」

趙 「 なめんなよ! 角(カク)!! 」
鬼の表情で、壁にめり込んだまま とっさにクロサイの角弾丸を放つ。 < ドダダダダッ!>

< バチン バチン バチン! > 隙を突いた趙の銃撃だったが、肉厚になったヘルトマトが、クロサイの角弾をも弾き返した。

趙 「 チッ 防御力もバケモノ級ゾネ… はぁ はぁ 」
吹き飛ばされた衝撃で、頭から血を流している。 かなりのダメージを負っている様子。

ヨウゼン  「 ぼちぼち終いかな? わしの出る幕が無かったやないか。 やるやる言うても、所詮この程度や。 …おっしゃ、フィニッシュや!ヘルトマトちゃん 」

ヘルトマト 「 グボボボボボォォオオオオーー!! 」

悪魔のガマグチを大きく開け、一斉に趙に襲い掛かるヘルトマト群。 連続攻撃を必死にかわす、趙。 ダメージを負った身体では猛烈な攻撃をかわすのに精一杯で、反撃する余裕が無い。 徐々に鈍くなってくる趙の動きに比べ、疲労も痛覚も無いヘルトマトは、勢いを増すばかりだ。 床にまき散らされた劇液に足を滑らせる、趙。 この隙を見逃す訳も無く、お構いなしに襲い掛かって来た悪魔のガマグチが趙を捉える。 間一髪、ガマグチの上下を両手で押さえた。
< ガツッ > 口を閉じる力が尋常では無い。必死にこらえる趙の背後から、別の悪魔のガマグチが迫って来て…  そのままバクりと趙を飲み込んでしまった。


( つづく )



この記事が参加している募集