見出し画像

オリジナル漫画「scope」原作-38

【飛山篇】VS臓器売買組織(黄)第8話


通常の搬入作業から一転しての大惨劇。 誰しもが想像し得ない条の急襲により、構成員は不意を突かれ、対応が出来ないまま、バタバタと倒されて行く。

条 「 こっちの方向で合ってるか? 」
ヘッドセットで舞に確認を取っている。

舞 「 えぇと ちょっと待ってね。 搬入口から見てこっちだから …もうちょっと左かな?でも、車に乗ったままでどうするつもり?? 」

条 「 もうちょい左ねぇ 了解した! まぁ 見てろって。 ニヤっ 」

車のボンネット中央付近に、黒豹型拳銃“ブラックパンサー961”がセットされており、まるで高級車のエンブレムのようだ。見た目が高級車のようになっただけでは無く、車と特殊拳銃がシンクロしている証拠だ。いわば、車全体が特殊拳銃と化した最凶兵器の登場である。

条 「 行くぜぇ #獰牙< ドウガ ># !! 」

ハンドルの両サイドに付いている「牙」ボタンを力いっぱい押すと、せり出したバンパー付近の銃口から大型の黒豹の牙弾が発射された。 < ガガガガガッ!!>見る見るうちに崩壊して行く地下室の壁。< ガラガラガラ > 崩壊した壁の先に、トレーニングルームのような部屋が現れた。 筋トレを終え、休憩中らしき不気味な大男が座っている。闇の用心棒 “ザクワーム” だ。 身体全身から湯気が立ち上っている。

ザクワーム  「 何事だ?? 」

崩壊した壁穴から、条の乗る車が飛び込んで来る。< ヴァォン! ザザザザー > ドリフトをしながら、ザクワームと対峙するように停車する。

条 「 おー いた いた!! ビンゴじゃねぇか!見た目からして、どう考えても只者じゃねぇ、用心棒確定だな。 」

ザクワーム 「 車だと!?…奇襲とは良い度胸だ、覚悟は出来てるんだろうな? 」

条 「 ん? 何かモゴモゴ言ってんなぁ まるで聞こえんけど。 お前と同じ空間の酸素を吸う前に終わらせてやるよ! おしっやってみるか!! 」

ブレーキパッドを踏み込みながら、ハンドルにある握力計のようなグリップを目いっぱい握り込む、条。 < ぐぬぬぬぬ! > パワーがチャージされて行く。液晶パネルに表示された豹マークのゲージに色が付いて行く。しばらくチャージすると豹マークのゲージが満タンになり、点滅し始めた。発射OKのサインだ。

条 「 …くっ 危ねぇ そろそろ限界だったぜ… こっからは未知の領域だ。食らえ! #黒衝< コクショウ ># !!! 」

中央にあるサイドブレーキのようなキーを手間に思いっきり引き上げ、叫ぶ。

< ウィーン …ドゴゴゴゴォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!>

車のサイド部分から巨大な黒いミサイルがせり出し、ザクワームに向けて勢い良く発射された。< 全速力の黒豹が獲物に襲い掛かるような描写で突き進む >


ザクワーム 「 !? 」


仁王立ちで、真っすぐ突進して来る黒豹ミサイルに、成す術がない。 如何に闇の用心棒であっても、丸腰状態では何も出来ない。

< チュドドドドドォォゴオオオオオオン!!!! >

瞬時に爆発し、黒煙が立ち上る。着弾した床に隕石でも落下したような、巨大な穴が開いている。条の僅かな慈悲により、ザクワームへの直撃は避けたようだ。…しかし、その威力があまりにも甚大で服も吹き飛び、仰向けに倒れたまま一切動かない。

条 「 …ぜぇ ぜぇ ぜぇ とんでもねぇ威力だな。だが、撃ち手へのダメージも超絶にデケぇ …まだまだ 諸刃の剣状態ってヤツか。 」

全身の血液が、こめかみ付近に集中して流れ込んで来たかと思ったら、一転して瞬時に引いて行くような失神する感覚と、筋肉繊維がはち切れそうな痛み&疲労感が同時に条を襲う。 特殊拳銃同様に、常人では発砲する事さえ出来ない未知の兵器だ。 夜中にトイレに向かう寝ぼけたジジイのように、フラフラと車から出て来る、条。 ドアを開ける事でさえシンドそうな顔をしている。( ちょっと老けたか? )

条 「 ふぅ~ 宣言通り一瞬で終わらせてやったぜ。。 …諸刃の剣だが、あの厄介な闇の用心棒が一撃でこれだもんな。 …エグっ。。 」

何一つ情報を得る事も出来ず、相手をKOしてしまった、条。よくよく考えると、名前はおろか会話すらしていない事に気付く。さらに言うと、この男が闇の用心棒かどうかの確認も一切取らず一方的にぶちのめしてしまっており、万が一他人だったらどうすんだ?状態だ。虚しくも、爆風の勢いで全裸で仰向けに倒れたままのザクワームを横目に、知らんぷりを決め込んだ顔で、ヨロヨロとトレーニングルームを後にする条一狼であった。


( 臓器売買系闇組織(黄)社長室 / 飛山 VS B・ギッパー )

< ドゴーン!! ミシ ミシ ミシ >
軽い地震が起きたかのように部屋が振動している。

飛山 「 ( あ、やべっ 先を越されたかな ) 」
この振動が、条と闇の用心棒との戦闘によるものだと、分かっている様子の飛山。

B・ギッパー  「 …む? 地震か?? まぁ良いか。どんな小細工をしようとも、所詮小細工は小細工。 一生姑息な領域は越えられないぜ、青年。 」

背後から特殊拳銃を取り出す、B・ギッパー。 蜂型拳銃 「アシナガバチ」 銃口が二口あるライフル形状で、アシナガバチ独特の不気味なフォルムをした、危険臭漂う特殊拳銃だ。 爽やかさとはかけ離れているが、ハンティングを好む愛好家のような振る舞いで、陽気な表情で肩口に特殊拳銃を当てている。


B・ギッパー  「 お前さぁ、綺麗な顔してるから、きっと内臓も綺麗なんだろ? …両親と違って。 にっ それとも親子そろって内蔵ズタボロか?あんま身体 を酷使すんなよなぁー ハッハハ  まっ 心配すんな、仕上げはあの変質者に任せとけば、ちゃんと高値で売れるように処理してくれるから。」

飛山 「 ……獲れるものなら、獲ってみろよ。オレはお前らみたいな輩を、同じ人間だとは思わない。 世の中に害しか及ぼさん、最下等生物め。両親の想い、被害者の想い、全ての方々の無念を受けて …討つぞ、容赦無くだ。 」

B・ギッパー 「 被害者代表なの? 大人しい顔してヒートアップしてんじゃーん。 …だが、いい加減舐めてると痛い目見るぜ。 ほらよっ 針(シン)!!」

< ズタタタタタタタッ! >

アシナガバチの針を模した弾丸が、飛山を襲う。

< キンキンキンキンッ!! > 

針弾が飛山に被弾する直前で何かが全てを迎撃した。


B・ギッパー 「 !? はぁあ?? 」

飛山 「 嘴(Beak) お前、本当に闇の組織のTOPなの? …勘弁してくれよ、遅すぎて、到達するまでに還暦を迎えるところだったぜ。 」

パーカーコートの切れ間から、擬銃化した“電光石火”がちょこんと顔を覗かせている。隼型拳銃 「ペレグリン ファルコン」

B・ギッパー 「 …チッ Genimaまで持ってやがったか。だが、素人が出しゃばったところで、たかが知れてるぜ。ぅおらっ 顎<アゴ>!! 」

< ズタタタタタッ! >

再び飛山に向けて放たれた、アシナガバチの顎弾。 

< キンキンキンキンッ!! > 

先程同様、全弾がいとも簡単に迎撃される。目の前で繰り広げられる“瞬撃”は、まるでデジャブを見ているかのようだ。


飛山 「 …本当にその程度なの? 姑息な小細工ヤロー以下じゃん、アンタ。…こんな奴をのさばらせとくとは …もっと早くに対処すべきだった。」

B・ギッパー  「 中々、人をイラつかせるのが上手いじゃないの。お前の臓器は予定変更で“あの方”に献上すっかな。んじゃズタボロでもOKだ。ハッハハ」

飛山 「 あの方? …やはり、まだまだ知っている事がありそうだね。 全て吐いてもらうぞ。 」

B・ギッパー 「 そんなに詮索すんなよぉ、好奇心ボーイ。 今夜で最後なんだから、もっと楽しめよー ちょっとスピード上げちゃうぞ? 」目つきが変わる。

飛山 「 え? スピードアップだと? 」

B・ギッパー 「 無駄に足長ぇんだよ、オレみたいにさぁ。 カッケーだろ、アシナガバチって?  で、お前は何かアレルギーは持ってるよね? 」

“スキャナーマガジン”を親指で操作し、特殊弾丸を選択する 【 怪速弾(fast)】

B・ギッパー 「 毒性は低いんだけど、そのショックたるや、死に値するぐらい強めだぜ。 舞え! アレルギー性害悪_ゲス・アナフィラキシーショック!!」

< ブワンッ ブワンッ ブワンッ …ブザザザザザザザザ!!!! > 蜂型拳銃 「アシナガバチ」 にて、針<シン>を連射をする、B・ギッパー。 まるで分身の術のように、残像と化した無数のアシナガバチ弾の大群が、飛山の周辺を飛び回る。周囲を見渡し、逃げ場がない事を察して冷や汗を掻いている、飛山。

飛山 「 チッ …かなりの速度のようだな、移動が速すぎて、残像のように見える。…人の目で追える限界を超えてる感じか。 」

B・ギッパー 「 ハチの弾丸によって、身体がハチの巣になるとは、とんだ皮肉だなぁ!! ぎゃはははは だっせー!! 」

無数のアシナガバチと化した弾丸が、群衆の中心にいる飛山目掛けて一斉に襲い掛かった。 < ブザザザザザザザザ!!!! >

< ピカッ >

襲い掛かる蜂の大群の中心から一筋の閃光が見えたかと思った次の瞬間、無数の光の線が部屋中に発射された。 舞によって部屋中の壁面に仕込まれた“小型ハヤブサリフレクター”が乱反射を誘発し、飛山が放った弾丸の威力を倍増させる。 

< シュバババババババババババ!!!! > 

光の線が無数に増えて行く。見るも無残に撃ち落とされる、アシナガバチ弾。 ビリビリと感電している様子。撃ち落とされた弾丸同様に、B・ギッパーにも乱撃したようだ。


飛山 「 最速の雷雨_エレクトリック ハント…どうだった? 新兵器の塩梅は。 良かったら感想聞かせてくれよ。 」

特殊弾丸 【 電撃弾( Blitz )】にて、上空に向けて連射した狩(Hunt)が電撃を纏い、B・ギッパーに向かって猛スピードで急降下した 飛山いわく新兵器の “小型ハヤブサリフレクター” による乱反射で、その威力も倍増した。 まさに電光石火の如し。

B・ギッパー 「 …ぶはッ! げほ げほっ げほっ! ぐぬぬぬぅぅぅぅぅうううううううううう 」  < バターン! >

乱反射する“光の線”を、抵抗する術も無く全身に被弾した、B・ギッパー。 常時愛用する高級スーツはズタボロで、口から血を流し、仰向けに倒れている。

「 完・全・敗・北 」 …典型的な大の字状態だ。

飛山 「 …全弾、反射角度を計算するには限界があるけど、ほぼ全て急所を外しているはずだ。…しゃべるくらいはできるだろ? 」

B・ギッパー 「 クッ 生意気な… …だが、いつかこうなる事を、どこかで望んでいたのかもしれない。 」大の字状態のまま、ゆっくりと口を開く。

飛山 「 は? 何言ってんだ? この期に及んでお情け貰おうったって、無理があるだろ。 …この外道中の外道が! 知っている事 全てしゃべれ。 」

B・ギッパー  「 何て顔してんだ…も、元をたどると、オレもお前側の人間だったんだ。それが気付けばこのざまだ。 お前も復讐のベクトルを見誤るなよ。」

飛山 「  ………………………。 」

B・ギッパー 「 …で、両親の事だったな? …違法実験に関しては、本当に情報漏えいが厳しくてな。 特に都市伝説級の胡散臭い違法実験は、民間では無く、行政が関わっている事が大半だと言われている。 お前の両親が施されていた違法実験は…  げほっ げほっ 」

飛山 「 あんた何者だ? 政府が関わる機密事項をそこまで知ってるって、いち闇企業の代表レベルじゃなさそうだな。 」

B・ギッパー 「 何てこたぁねぇ、性根が腐りきったクソヤローだよ…  た、ただ 圧倒的な世間への恨みを糧に、色々首を突っ込んでたってだけだ。 」

飛山 「 オレはあんたみたいな輩は信用せんって決めてるからな、何言われようが “あんたには” 興味が無いよ。で、両親が受けてた違法実験ってのは? 」

B・ギッパー 「 …時空を超える実験だ。 」

飛山 「 なるほど、即隠ぺい対象にありそうな危険な匂いがするな。 誰がどう見ても危ない実験に、何故両親は志願したんだ?… 」

B・ギッパー 「 人類の未来のためだとか、科学の進歩だとか、キレイごとを吹き込まれたんだろうよ。 正義感や使命感が強い連中は、この手の話に乗りやすい。 “政府お墨付きの極秘任務”なんて言われたら、尚更火がつくんだろうよ。 」

飛山 「  ………………………。 」

B・ギッパー 「 実験とは聞こえが良いが、あんなもんオレから言わせれば拷問だよ。 やってる事は、ウチと何ら変わんねぇ。」

飛山 「 なぜ、そこまで詳しい? 」

B・ギッパー 「 闇界隈にはいろんなニーズがあってな。 その昔、闇限定のスパイをしていた時期がある。 色々潜ったが、Labもそのうちの一つだ。 」

飛山 「 …闇限定のスパイねぇ。( 確かにいくつか組織があるな。) まぁ そんな事はどうでも良い。違法実験の政府の目的は何だ? 」

B・ギッパー 「 ハ、ハッキリは分からんが、界隈では、選りすぐりのSランク遺伝子の採取のためと噂されている。 」

飛山 「 Sランク遺伝子の採取? 時空を超えてSランク遺伝子を採取しに行ってた訳だ?…何となくオレの身体の秘密も分かった気がする。 」

B・ギッパー 「 …理解が早ぇな。予想の範囲でしかねぇが、恐らく本件の黒幕は、歴代の名だたる凶悪犯たちの遺伝子をかき集めていたようだ。 」

飛山 「 …やはりそうか。という事はオレのこの身体は、いわば呪われた身体って訳か。 」

B・ギッパー 「 とんだ勇み足だな、真逆だよ。お前の両親は、当初の話とは違い歴代の名だたる凶悪犯たちの遺伝子採取を強要する政府に抗い、秘密裏に“ある行動”を取っていた。その行動が政府側にバレてしまい …お前の知る結果になったって訳だ。 」

飛山 「 !? 」

B・ギッパー 「 ピンと来たようだな? そう、お前の両親はあらゆる分野にて、偉人・奇才・天才と称された歴代の人物たちの遺伝子を、独断にて秘密裏に収集していたのだ。そしてある日、その事が政府にバレた。 …ただ一点、大きな秘密を除いて。」

飛山 「 …なるほど、オレの身体を“ブラックボックス”に使ったって事か。じゃ、全然呪われた身体じゃ無かったじゃん。むしろ… 」

B・ギッパー 「 今度は、ご名答だ。…そう、採取したSランク遺伝子がお前の身体に全て移植された事はバレていない。だが、時間の問題だろうな。何故ならオレ程度の人間が知り得ているからだ。というか既に知られている可能性の方が高いな。 」

飛山 「 なるほど。全てウソの可能性だってあるし、あんたを許せない気持ちは一生変わらない。だが、あんたに一体何があったんだ? 」

B・ギッパー   「 …とても裕福な家庭だったよ。親父は真面目を絵に描いたような政治家だった。地元での人気も高かったな。そんな親父だが、ある日難病に掛かり、臓器を全摘出する程の大手術をする事に。たまたま適合する臓器提供者がいたので、手術も成功した、かに思えた。…が、この後が酷かった。臓器待ちで手術すらできない患者が多数いる中で、何故にあの政治家だけすぐに臓器が提供されるんだ?あいつは裏で臓器売買に手を染めているに違いない。…完全なるでっち上げだよ。 クリーンであればあるほど、黒い染みは目立ち、やがて自身の手によって真っ黒に染まってしまうんだ。目に余る迫害に、耐えられ無くなった親父は自殺した。 」

飛山 「 ………………………。」

B・ギッパー 「 残された母親とオレは、犯罪者のレッテルを張られ、行く先々で嫌がらせにあった。親族、友人、近隣の住民… 分かりやすい手のひらの返し方だよな。 唾を吐きつけられるような毎日。やがて母親も居なくなった。 施設に引き取られ、あらゆる地獄を味わった。…後で聞いた話だが、自殺をした親父の死体からは、臓器が綺麗に全て取り除かれていたそうだ。貴重な臓器だったんだろうな、要は再利用された訳だ。 」

飛山     「  ………………………。 」

B・ギッパー 「 誰かの手のひらの上で転がされ、地の果てまで落とされた事は理解した。当然そいつらを恨んだ。だが、それ以上に周りの人間に対する憎悪が膨らんで行き、暴走した思考に歯止めが効かなくなった。こいつら全員の臓器を取り除き、売り捌いてやると。 」

飛山 「 …歪み過ぎだ、アホが。 」
何とも言えない複雑な表情をしている。

B・ギッパー 「 ってのはさぁ、全部ウソだ! ゲホゲホっ 」
満身創痍の身体にむち打ち、蜂型拳銃 「アシナガバチ」を手に取る。

< ガッ > ガシっと蜂型拳銃 「アシナガバチ」を踏みつけ、隼型拳銃 「ペレグリン ファルコン」を、B・ギッパーの眉間に押し付ける、飛山。 < スチャ >

飛山 「 ウソにウソついて …煽って死ぬってか? それで懺悔のつもりかよ。甘いな、お前の思い通りにはならねぇよ、生きて全ての罪を償え。 」

B・ギッパー  「 クッ うぅぅぅぅうううう 復讐なんだろ? 殺してもくれねぇのか… うぐっ 」大の字の倒れたまま号泣し、気を失う B・ギッパー。

戦闘を終え、ナースステーションに戻っている、寺野と条。 しばらくして、飛山が戻って来た。 < カツ カツ カツ > 俯きながら歩いている。

寺野 「 あっ! おーい、飛山さーん。良かったです、ご無事で。一番遅いけど、全然気にしないでくださいねー。 」

舞に応急処置をしてもらい、必要以上に包帯がグルグル巻き状態になっている寺野。 そもそも乾き切って貧相な印象のミイラ男だが、寺野が演じると本家を凌駕する程、さらに磨きがかかった貧相感だ。 さすが、切り干し大根界のプリンスだ。

飛山 「 え? なんでリアルミイラ男がいるの? てか、めっさ毒吐くじゃん。 」

条 「 いよぅ 随分と遅かったじぇねぇか。さては秘密兵器が不発に終わったな。ニヤっ 」

飛山 「 …絶対言われると思ったよ。 チッ 」

舞 「 …お帰り、お兄ちゃん。 ケガが無くて良かったよ。 まっ 事前準備したアタシのおかげか! 」少し涙ぐんでいる。

飛山 「 …舞、ただいま。助かったよ、反射角度がイマイチだったけどな。 フフッ 」

条 「 単刀直入に聞くが、復讐は果たせたのか? てか、勝ったのか? まさか、逃げて来たんじゃねぇだろな? 」

飛山 「 ここでの復讐は一旦終わりかな。ただ、あんたらも言っている研究所ってのに オレも用事が出来たけどさ。…って、勝ったよ、2秒でね。 」

寺野  「 えー 飛山さんが2秒なら、私たちは0.001秒ぐらいですかね? 」

条 「 ぶはははは その通りだな、寺野のおっさん。 あいつウソつきだぜ。 んで、めちゃくちゃ負けず嫌いだ。 がはははは 」

飛山 「 チッ まぁ 何とでも言ってくれ。…だが、こっから先は完全に別世界だよ。迂闊に黒幕に迫れば迫るほど、どんどん距離が遠ざかって行く気もするが… あんたらはこれからどうするつもり? あっ まずは追われてるクソガキの救援か。 」

条 「 そうだな、研究所に関しては多少調査の時間が必要だな。 ってかくクソガキの事なんてすっかり忘れてたぜ。このまま放置しとくか。 ニヤっ 」

寺野  「 わ、私はどうしましょうか? 」

条 「 おっさんは、一旦家に帰れよ、在来線を駆使してな。 変に明るく振る舞ってるが、酷いケガなんだろ? ゆっくり休んで庭いじりでもしてくれ。飛山は、もし気が向くようなら来てくれてもいいぜ。 」

飛山 「 やっぱ、優しいんだな、あんた。顔に似合わず。 全く、人のぬくもりや情熱ってヤツの温度がホント分からんよ。 」

寺野 「 …条。 わ、わたしは、心配いりませんよ。休養も闇退治時には重要な事ですもんね。さっ 行きましょうか?舞さん!」

条 「 おいっ! 連れてくな! どさくさに紛れて、切り干し大根が人をさらうんじゃねぇ。 」

舞 「 プハハハハハっ 寺野さんウケるー その恰好で電車で帰るんでしょ? 今何月?ハロウィンでもないし、ヤバいねぇ。 プッ 」



歴代の奇才たちの遺伝子が組み込まれた、“閃才” 飛山。 来たる時空を超えた戦いに備え、その鋭く尖った冷たい眼光に、さらに磨きを掛ける。

第1部 飛山篇 -完-


( つづく )


この記事が参加している募集