見出し画像

オリジナル漫画「scope」原作-9

【以臓篇】VS人身売買企業(赫)第5話


マドロ  「 オレのような戦闘に精通してない人間は、こういうモノに頼るしかないのでね。 クックク 」

以臓に向け、狙いを定める。銛のような先端で後ろ部分は鉄線が繋がれており、刺さった対象物に電流を流す事が出来る。< バリバリバリー!>
とっさにジャンプしてかわす、以臓。当たったデスクが焼け焦げている。 かなり強力な電流だ。

< バリバリー! ピョン、ガツン、ピキーンっ、 バリバリー! ピョン、ガツン、ピキーンっ、 バリバリー! ピョン、ガツン、ピキーンっ… >

連続で撃ってきては、それをかわし、一撃を食らわすもガラスの強度に阻まれるの繰り返し。互いに致命傷を与える事も出来ず膠着状態。

以臓 「 ( このままでは埒が明かんな。 ウォッ火遁の術でも、もう一度やるか。 …あっ ウォッカが無い。 ) 」

マドロ   「 どうした? そんな攻撃じゃ、本当に一生掛かってもダメージを与えられないぞ。ここで一生を終える事が、お前の復讐なのか? ハッハハ 」

< ガラガラガラ、ジャー、バタン >

誰かがトイレから出て来た音が聞こえて来る。< ダダダダッ > ダッシュでこちらの部屋に向かって来た。
バターン!ドアを蹴破ると同時に、条一狼が入って来た。

マドロ  「 <!?> お、お前は、まさかあの時の! 」

条 「 よぉ~ 久しぶりだなぁ お前には色々聞きたい事がある。もう逃がさんぞ! …あんたが以臓さんか? 水丸、森丸から事情は聞いた。 」

以臓 「 ん?誰だ?? なぜ 水丸、森丸の事を知っている? まさか、ウォーターラウンドさん? 」

条  「 誰だ そりゃ? 水・森には、下のフロアで会ったよ。ちょい待ち。…何にせよ、これをやっとかねぇーと。 」

ブラックパンサー961を、上空に向けて構える。

条 「 位置について、 よーい ドンっ! 」

復讐開始の号砲が、闇のアジトに鳴り響く。条件反射でスタートを切ろうとする以臓。<ピクっ> 立て続けに、マドロの太もも辺りを狙って、拳銃を放つ。

条  「 食らえ! 牙(Fang)! 」 < バンバンバン! > キンっ キンっ キン! 強化ガラスに弾き返される弾丸。

マドロ 「 一体何のつもりだ? 弾丸だろうが全く効かないねぇ。  」

条 「 …あらっ!? あいつって、ロボなのか? 闇の人間ってのは、ホントよく分からん輩ばかりだ。」

以臓 「 あいつは、ロボでは無い。一般成人男性だ。 そして、極薄の強化ガラスを“着ている”のだ。 」

条 「 ほぉ~ 見えないオシャレってヤツか、上級者じゃねーの。…あっ オレは大噛条一狼、ここにいる理由は、あんた等と同じだ。で、思うに あんたの復讐相手はこいつでは無く、別のフロアにいるはずだ。ここは任せてもらおう。」

以臓 「 …いいのか? 大噛条一狼。 確かにここのボスを倒さない限り、復讐は達成されないのだ、大噛条一狼。 任せるぞ、大噛条一狼。 」

条 「 いちいちフルネームで呼ぶな! とっとと行け!! 」

お言葉に甘えて、エレベーターへと向かう、以臓。条とアイコンタクトをし、“地下”1Fのボタンを押す。< ウィーン >上のフロアに行くはずが、一度下に行って、再度最上階へと上がって行くエレベーター < ウィーン >

…以臓がボタンを間違えたようだ。

条 「 さてと。 続きを始める前に、いくつか質問がある。お前、ダイアナを知ってるよな? 」

マドロ  「 さぁね、知らないな。仮に知っていたとしても、お前に教える筋合いは無い。 ハッハハ 」

条 「 そかそか、知らないか… だったら嫌でも話したくなるようにしてやるよ!! 」

マドロに向かってダッシュする、条。< ダダダダッ >最高速度の残像を残しながら、飛び蹴りをかます。ドガッ!派手に吹っ飛ぶマドロだが、ノーダメージの様子。
間髪入れず、倒れているマドロに近づき、顔面の至近距離で息を吹きかける。 < ハァ~ > 条の息により、ガラスが白く曇って視界が失われる。

条 「 出血大サービスだ、引っ搔きまくれ! 爪(Claw)!! 」
< ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!! >

黒豹の爪が生えた弾丸が、マドロの顔面を激しく掻きむしる。倒れて無防備の状態のマドロ。この状態でも強化ガラスを破壊するまでには至らない。

マドロ  「 ハッハハ 子猫ちゃんがじゃれてるのかと思ったよ。 」ガラスにかすかに線が入っている程度。

条 「 随分と硬いガラスだな。 だが、決して自分が強くなった訳じゃねぇ。 ガラスが吐息で曇るように、慢心で心も曇るってもんだ。 」

マドロ  「 強がりも、そこまでにするんだな。食らえ! 」水中銃型スタンガンを条に向けて放つ < バリバリバリー! >

とっさに避ける、条。と同時に右手に力を込め、マドロに向かって行く。 < ダダダダッ >急にしゃがみ込み一瞬視界から消え、背後に回り込む。マドロの後頭部を右手でガシッと掴む、条。

条 「 知ってるか? 特殊拳銃Genimaのトリガーを弾くには、常識を超えた握力が必要なんだ。 」
後頭部を掴む右手に力が入り、ミシミシ音を立てる。

マドロの後頭部を掴んだまま、壁に向かって猛ダッシュをする、条。 < ダダダダダダダッ > そのままの勢いで壁に向けてマドロの顔面を叩き付けると、あまりの破壊力で、壁を軽々と突き抜けた。< ドゴッ!!! > 3Fから空中に飛び出した2人、同時に落下して行く。

“スキャナーマガジン”を親指で操作し、特殊弾丸 【 気流弾(Jet)】を選択し、 爪(Claw)を放つ。

条 「 これで終わりだな! 【 もがき切り裂く黒爪_泳豹<エイヒョウ>!】 」

銃口を後ろに向けてJet弾を放ち、高速の前回転が発生する。

< ギュルルルルルルルルル!! >

後頭部を掴んだまま、高速の前回転で急降下し、マドロの顔面を地面に叩きつけた。< フェイス・クラーッシュ!! > バギーン!! 顔面付近の強化ガラスが破裂する。最期まで強化ガラスに守られたマドロは、致命傷を免れ、脳しんとうで気絶しているようだ。

条 「 はぁ はぁ …よし、今回は気絶で済んだぞ。 早く目を覚ませ、 聞きたい事を話してもらおうか? 」

仰向けに横たわるマドロの横で、体育座りで小休止をしながら、目を覚ますのを待つ、条。

しばらくして、マドロが目を覚ます。

マドロ 「 …クッ 痛ってててぇ 」< 強化ガラスに護られていたとは言え、全身を強打したため、全く身動きが取れない。 >

条 「 おいっ やっと起きたか?お前には聞きたい事がある。にしても、強化ガラスってのは意外と脆いもんだな。 」 < ちょっと強がっている >

マドロ 「 …オレが知っている事なんて、たかが知れてるぞ。 …闇の世界ってのは、お前の想像の何倍も深く、そして底が見えない。 」

条  「 そんな事はどうでもいい。ダイアナについて、知っている事を全て話せ。全てだ。」

マドロ   「 …数十年前、ダイアナは人身売買の“商品”として“仕入れた”、外国籍の少女だった。 取引先は、確か どこぞの研究所。その研究所で何が行われているかは、オレたちも知らない。 あくまで“商品”を売買するだけだからな。 しばらくして、闇の界隈でやたらとダイアナらしき少女を見る事が多くなった。 何だか知らないが、極秘プロジェクトか何かで動いていたのだろう。 」

条 「  ……………。 」

マドロ 「 頻繁に見かけるようになって数年経つが、正直、違和感だらけだ。あいつは一向に年を取る事も無く、少女の姿のまま 数十年経過している。噂では、改造され、人間としての人生をリセットされた状態になった事から、死んだ状態のアナ、という意味で「ダイアナ」と呼ばれるようになったとか。本名は 「アナ」 …“あれ”はもう、紛れもない人間兵器だ。オレの知っている事はこれで全てだ。 」

条 「 ……いやいや、ちょっと待てよ。。オレが初めて会った時からダイアナは死んでいたのか。。??  何だよ人間兵器って… アナ? 」

隣に引っ越して来た時のダイアナの笑顔、いっしょに遊んでいる時のダイアナの横顔、他愛のない日々をいっしょに過ごして来た思い出

そして…

父親を殺害された悪夢に出て来る、ダイアナのおぞましく冷酷な笑顔を思い出す、条一狼。< 苦悶の表情をしている >

マドロ 「 どうした?<ニヤっ> これがお前が血眼で切望した、闇の真実だ。次はこちらから質問だ、お前の持っている拳銃… < グフッ > 」

強化ガラスが破れ、完全に露出している顔面に、力いっぱいの正拳突きをかます、条。怒りとやるせない気持ちが交錯している。

条 「 ダイアナ… 元をたどれば、お前らみたいな人身売買企業が存在しなければ、こんな事にはならなかったんだ。絶対に許さん! 」

握りしめた拳から滴り落ちる、しっかりと赤い闇の血液。父、豹尾の形見である拳銃、ブラックパンサー961を見つめ、悲しげな表情をしている、条。

条 「 被害者が被害者を生む …こんな悲しい負の連鎖があって良いのかよ。人間、被害者になるために、この世に生まれて来る訳じゃねぇ!

怒りの拳を振り上げるも、仰向けに倒れ、顔面血だらけのマドロ。 既にピクリとも動かない。冷めた目で、見下ろす、条。

条 「 いっちょ前に赤い血なんぞ流しやがって。闇の人間なら闇らしく、墨汁のような血液をブチまけて、「敗北」って習字でも練習しろってんだ!! 」

…決め台詞をかまそうと思ったが、うまいことが言えず一人赤面する、条。照れ隠しでマドロを頭を小突くように蹴る。 < お前の血が赤いからだ!あほー >

< バリーン!! > 最上階から西洋の甲冑が落ちて来る。 以臓が戦闘しているようだ。

条 「 !? おっと、まだ終わって無かったな。急ぐかっ 」ダッシュでエレベーターへと向かう途中に、何かに気付き、拾い上げる条。< へへっ >

【 --- 場面転換して、以臓サイド —- 】

※少し前の様子

ボタンを押し間違え、最上階ではなく、真逆の地下へと淡々と動き出すエレベーター。 < ウィーン > 間もなくして到着し、ドアが開く。 < チンッ >

以臓 「 ………………。 」

ポーカーフェイスの以臓。 恥ずかしさが微塵もない素振りで、まるで何事も無かったかのように最上階へのボタンを押す。

< ウィーン > 直立不動の以臓、最上階に到着する。< チンっ >エレベーターを降り、社長室のドア前まで来ると、しばし瞑想した後、改めて忍者マスクをFITさせる。戦闘準備は万端だ。

以臓 「 …… 椿、 遅くなってすまなかったな。兄ちゃんが敵討ちに来たぞ! 」 ドアを蹴破り入室する。エレベーターの件は完全に無かった事になっている。

< バーン! > 入室すると、そこには想像以上に豪華な部屋が広がっていた。 巨大な水槽をバックに、社長椅子に座っている、やせ型の男。

クヌード 「 おいおいおい、来客にしては無礼な奴だな。ここは社長室だぞ。 クックク 」

以臓 「 社長室だと? 趣味の悪い刑務所の間違いだろう? …そんな事はどうでも良い、お前が人身売買系 闇企業(赫)のTOPだな? 」

クヌード 「 ハッハハ こんなハイセンスな刑務所があるものか。 堅気が生意気なことを。こんなところまで土足で踏み入るとは、何の用だ?

以臓 「 ………20年前、××村の神社にて、女の子をさらったな? 黒塗りの高級車に乗って 」

クヌード 「 あん? そんな昔の話、覚えている訳が無かろう。 20年で何人”仕入れ“てると思ってるんだ? お前はアホなのか? ハッハハ 」

以臓 「 …そうか、覚えていないか。 その後見つかった妹の遺体からは、全ての血液が抜かれていたのだ。 …一体これはどういう事か説明しろ!! 」

クヌード 「 さぁな、ウチは得意先に“商品”を販売しているだけの企業で、その先の事など知った事か。 差し詰め変態の金持ちにでも買われ… クックク」

以臓 「 !? 貴様 …誰と取引をしたのか、 思い出してもらうぞ! イヤでもな!! 」

< クヌードに一直線に飛び掛かって行く、以臓。 >

< バチッ! > スピードに乗った以臓の突きを、あっさりと片手で止める大男。用心棒バルサダだ。 太々しい表情で、無言で以臓を見下す。

掴まれた以臓の拳が、ギシギシときしみ音を立てている。力を入れ握り込むバルサダ、苦悶の表情の以臓。

以臓 「 クッ… パーはグーよりも強いって言いたいのか? …紙が岩に勝てるわけ無いだろ! いい加減に離せ! 」 < バッと拳を振り払う >

バルサダ 「 ………………………。 」< 何も気にしている様子もなく、無表情のまま殴り掛かってくる >

バコーン! 両手をクロスして防御しようとするが受け切れず、大柄な以臓の身体もろとも吹っ飛ばす、強烈なパンチ。 勢い良く壁にぶち当たる。ドゴーン!さらに追い打ちを掛けるべく、のしのしと以臓に近づいて行くバルサダ。ダメージを負いながら迎撃態勢を取る以臓。
膝まづく以臓目掛け、上から振り下ろすようにオーバーハンドのパンチを繰り出す。< グゴゴゴゴ >

以臓 「 ここだっ!! 」

以臓の目が光る。 ドンピシャのタイミングで、カウンターの肘打ちがバルサダの“人中”(※)にクリーンヒットする。※鼻と上唇の間の急所

まるでスズメバチの毒針が急所にピンポイントで刺さったかのような、華麗なカウンター。 痛さレベルで言うと、口内炎に直接「ハバネロ」のタトゥーを彫るぐらいの痛さ。どうだ、効いただろ?的なドヤ顔でバルサダを見るも… 全く気になっていない様子。  

きっと、家を出る時に “痛覚”を玄関に置き忘れて来たのだろう。次の瞬間、バルサダが両手を組んでハンマーパンチを振り下ろす。

< ドゴッ! >

以臓の首裏辺りにクリーンヒットし、地べたにうつ伏せに叩き付けられる。そのまま、マウンテンゴリラの鉄槌のような打撃が以臓を連続で襲う。

< ドドドドドドドドド >

成す術もなく地面とバルサダの拳の間でバウンドしている以臓。

バルサダの気が狂ったかのようなマウンテンゴリラ風 鉄槌ダンスがしばらく続き、やがて力が抜けて行く様子の以臓。…ボロボロの以臓、ピクリとも動かない。

バルサダ 「 何だ、所詮 その程度か。 」

< 倒れている以臓を見下ろし、クルっと向きを変え、引き返していく >

以臓 「 …奇遇だなぁ。 オレも“痛覚”をビジネスホテルの洗面所に置き忘れて来ちまったよ。ニヤっ 」

< 背後からゾンビのようにムクっと立ち上がる >

バルサダ  「 !? 何を忘れて来たって?? 」

疾風のごとく壁の方へ走って行き、そのままの勢いで逆さまの状態で天井へと駆け上がり、天井を蹴ってバルサダへと急降下して来る以臓。 槍のように一直線の状態で身体を横に捻らせ、ドリルのような回転を加る。
“両手を組んだカンチョーのポーズ”にて、バルサダの「つむじ」にピンポイントで四本貫手が炸裂する。

以臓 「 TSU・MU・JI クラーッシュ!!」
< ガッ!! >

つむじから電撃が走るような衝撃を受け、バタリと倒れるバルサダ。全ての力を指先一点に集中した攻撃が功を奏したようだ。

以臓 「 …はぁ はぁ はぁ 筋肉だけじゃなく頭蓋骨まであずきバーみたいに硬いな。。 主食にマンホールの蓋でも食ってるのか。 」

バルサダ 「 ………………………。 」
< 頭を押さえながら立ち上がる。 ダメージはあるようだ。 >

以臓 「  !? 素手の攻撃力では限界があるな…  ならば。 」 < おもむろにパーカーコートに手を突っ込み、異形の拳銃を取り出した >

不侍林家にて代々受け継がれて来た古の暗器

二丁拳銃  「風神」「雷神」


( つづく )



この記事が参加している募集