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オリジナル漫画「scope」原作-41

【入来篇】VS殺人代行組織(藍)第3話


【 --- 場面転換して、芸術の街 「 アレキ・ザンギョルド 」 --- 】


腕っぷしに自信があるゴリゴリの主婦が、入れ放題のキュウリを無理やりビニール袋に詰め込むかのように、世界の最先端がギュッと詰め込まれた前衛都市、「アレキ・ザンギョルド」。 奇抜で異形な建物が立ち並ぶ、センス駄々洩れの街だ。行きかう人々は、芸術家の卵か観光客かの二者択一である。中心部には、この街の象徴とも言える、世界的な美術館 「 フォンガッツォ美術館 」が存在する。 この美術館は、ARTマニアなセレブ御用達の美術館でもあり、気に入った作品をその場で商談・購入する事も出来る。また、100人程度が参加できるエクスクルーシヴなオークション会場も完備されている。 日々、常軌を逸した巨額なマネーが飛び交うため、商談ルームのセキュリティの高さは異常で、近づくのはおろか、中で何が行われているのか… その一切の情報がシャットアウトされる。
ここは 限られた人間、もしくはその皮を被った何者かが、限られた時間と空間を支配する、治外法権区域< アナザーワールド >と言っていいだろう。表向きに見えるモノが煌びやかであればあるほど、その裏に潜む影は深く、濃いモノとなる。

「 フォンガッツォ美術館 」 内、商談ルーム・エントランス。 無数の監視カメラが音も立てずに稼働する中、空間と空間の間に立ちふさがる、金属探知ゲートと屈強な警備員たち。D級映画に出て来そうな仮面舞踏会にて被る、怪しい仮面を被ったセレブたちが、1人、また1人と商談ルームへと姿を消して行く。そんな中、目を合わせるでも、挨拶するでもなく、まるで赤の他人のような4人組が歩きながら自然と合流して行き、一つのゲートへと向かって行った。

仮面は被っているが、恰好は全員小綺麗な全員スーツ姿である。手元には、パーティ仕様というよりは長年愛用している、皮手袋を揃ってはめている。


警備員 「 招待IDをONにしたまま、ゲートをお進みください。 OFFのまま進もうとすると、二度と入場する事が出来なくなる可能性があります。 」

それぞれアタッシュケースを持ち、金属探知ゲートへと進む4人。ゲート通過中、“ALLスキャナー”にて全ての情報を確認され、難なくその場を通過する一行。ゲートを過ぎると、目的地である、商談ルームへの案内表示版が宙に浮いている。 「5050」の表示ボタンを押すと、廊下がベルトコンベアーのように自動で動き出し、部屋前まで運んでくれる仕組みだ。< ウィーン スォォン > 「5050」の商談ルーム前に着き、何のためらいも無く 部屋へと入って行く、4人。

< ウィンッ カッ カッ カッ カッ… >

薄暗い部屋の中に入ると、広々とした室内の中央に大きな丸テーブルが設置してある。 良くは見えないが、“ケツアゴデス”風の仮面を被った4名の人影が、円卓を囲むように座っている。 シルエットを見る限り、男と見られる人影が2人。女と見られる人影が1人。そして、筋肉ムキムキの超大柄な男と見られる人影が1人。どうやら、みんな同じ仮面を被っているようだが、超大柄の男の仮面は明らかに小さく、顔の輪郭がほぼ丸見えである。

来訪者A 「 …こんにちわぁ~ どの美術品がお好みですかー? それとも別の談合か何かかですかー? 」

先に部屋にいたメンバー  「  ………………………。 」

全員同じデザインの仮面を被り、真っ赤なマントを羽織って座っている。


来訪者B 「 どいつがターゲットかネェ。は? ププッ あれは無いわ。 」ほぼ顔が見えている、超大柄の男を見て失笑している。

来訪者C 「 なるほどな …こりゃオレらの方が罠に引っかかったようだぜ。奴さんら、明らかに戦闘態勢じゃねぇの。危険な臭いがプンプンする。」

< フワッ > 来訪者サイドの超大柄の男が、ノーモーションにて大きくジャンプし、円卓に座る女シルエットの人影に向かって鉄槌を振り下ろして来た。

円卓女 「( 失笑するよねぇ。。 てかあの仮面、アタシ用のじゃね? )ん?ってンギャーーー!」
降り注ぐ肉の塊を見て、とっさに頭を抱える。


< ドゴォンッ!! >

円卓に座っていた、仮面が小さ過ぎる超大柄の男が割って入り、腕をクロスして巨漢大男の鉄槌を受け止めた。 あまりの重撃にメキメキと めり込む足元の床。

来訪者A 「 なんだよぉー 今回は団結しようっつたのに、結局早い者勝ちかよ。絶対、脳みそまで筋肉っしょ、シルドは。 」

“フライング鉄槌”という奇襲の重撃をかました来訪者サイドの巨漢の男、盾綱 シルド<タテヅナ シルド> 髷を結った、凛々しくもオールドスタイルの容姿は、まるで古の力士を彷彿とさせる。 この男、残りの3人同様に、殺人代行企業の中でも選りすぐりのエリートヒットマンである。

シルド 「 ……………………… 。 これを受け切るとは、貴様何者でごっす? 」 体格が、自分と同等の男のパワーに驚いている。

円卓に座っていた、明らかにサイズが合っていない仮面を被った超大柄の男が、ついにその仮面を… 取らない! 取っても取らなくても、ほぼ見えちゃってるので、あまり変わらないように思えるが、あくまで囮役か何かに徹しているようだ。律儀を絵に描いたような男である。

極小仮面筋肉ダルマ 「 強烈な一撃 …お前こそ何者だ? ヒグマでも、奇襲であの一撃を食らっては一たまりも無いゾヨ。 」

来訪者C 「 マジかぁ こんなゴリ男も“ケツアゴデス”にいるってのか? ハッカーって華奢なんじゃねぇの…? ふ~ん、お前さぁ 軍隊出身だろ? 」

極小仮面筋肉ダルマ 「 …な、なにを言っているか分からんゾネ。 趣味は、映画鑑賞とハッキングだゾヨ? 」

来訪者A 「 もう、始まっちゃったんだから、お得意の勘とかはいいでしょ、鮫島。さぁて、どいつがビンゴかな? < プー パチンッ >

鮫島 「 いいじゃねぇか。言い当てられた奴の表情見るのもオモロイだろ? 鳩が豆鉄砲を食ったような顔。なぁ、BIMA? 」

BIMA 「 そんな悪趣味どうでもイイワ。あたしは報酬だけが目当てだからサー 絶対本物仕留めたるヨン。邪魔すんなよ、ワザカル。 」

ワザカル 「 そりゃ ターゲット仕留めるのがヒットマンの性だからねぇ? シルドもお手付きしやがったし、早い者勝ちじゃん? < プー パチンッ >

BIMA 「 …ケッ ホント可愛くないガキだよ。まっ 早い者勝ちでもアタシが仕留めりゃイイって訳でショ? 余裕よネ。 」

来訪者の4人は、瞬斗抹殺命令が下された、殺人代行系闇企業(藍)の正社員たちであった。 今回、個々にミッションを遂行するのでは無く、一斉襲撃という選択肢を選んだようだ。 襲撃直前に、鮫島の勘で単独行動は危険と一斉配信があったため、団体行動が取られた様子。迎え撃つは“ケツアゴデス“仮面を被った謎の人物たち。 生きてさえいれば相手が誰であろうと関係ない… プロのヒットマンたちによる商談<殺人>が、今始まる。

円卓男A 「 ( …ちょうど4対4か。差しでやり合うか、それとも。どうする? ) 」

円卓男B  「  ………………………。 」

ワザカル 「 何この期に及んで、こそこそ打合せなんかしてんのー? う~ん、迷うなぁ。あんま迷ってると、またシルドに先越されそうだが。 」

BIMA 「 それで、どうする? この部屋のキャパじゃ、8人でやり合うには狭いんじゃない? 」機械音のような音で首をコキコキと鳴らす。

“ケツアゴデス”仮面を被った謎の4人組は、席から立ち上がると、仮面の奥に光る瞳でヒットマンたちをきっちり捉え、決して逸らすことをしない。互いに対峙して威嚇し合い、膠着状態が続いて行く。百戦錬磨のヒットマン達は、肌で相手のヤバさが分かるようで、今回 迂闊に軽率な行動を取るような者がいない。
それほど “ケツアゴデス”仮面を被った4人組もヤバい人物たちなのだろう。 警戒しつつも落ち着いた表情で、アタッシュケースを開けるヒットマンたち。<ガチャ>中を開けると、セレブが持ち込むような大金では無く、そこには見た事もない武器が入っていた。このアタッシュケースには特殊加工が施されており、金属探知ゲートでは探知できない闇仕様になっている。

極小仮面筋肉ダルマ 「 !? 中々大胆不敵だゾヨ。 今度はこちらから行くゾイ!! 食らえ! 雷地< ライチ > 」

安全ピンを噛んで取り外し、ライチ型の手榴弾をヒットマンたちに向けて投げ込んだ。 < ジュワー!> 爆発と同時に赤い煙幕が巻き上がる。超人的な身のこなしで、とっさに散り散りになって避難するヒットマンたち。煙幕により視界が奪われる。そんな中1人の男の目が光る。

鮫島 「 随分と物騒なモン持ってんな… あいつ元軍隊の同業じゃねぇだろな? あれれ? これは… 本物みっけ へっへへ 」< ダダダッ>

何かに気付いた鮫島が、ターゲットに向けて一直線に走り出した。両手には禍々しいメリケンサックのような武器をはめている。

鮫島 「 なぁ? その仮面、お前が本物だよなぁ? オラぁああああああああッ!! 」

“ケツアゴデス”仮面を被った男と見られる人物に背後から回り込んで襲い掛かった。 不意を突かれた“ケツアゴデス”仮面男Aは、防御態勢が一瞬遅れ、鮫島のメリケンサックをはめた右フックがヒットする… かに思われた次の瞬間、もう1人の“ケツアゴデス”仮面男Bが、横から飛び蹴りにて鮫島を吹き飛ばした。

< ドゴーンッ > 強烈な一撃で、壁まで吹っ飛ぶ鮫島。 ふと飛び蹴りをかました“ケツアゴデス”仮面男Bが自分の足を見ると、鋭利なナイフで切られたような傷口を発見する。ポタポタと、鮮血がしたたり落ちている。 流石エリートヒットマン、どんな不利な状況でさえ、必ず爪痕を残す厄介な存在だ。

“ケツアゴ”仮面男B  「 ったく ぼさっとしてんじゃねぇーよ! PC触り過ぎて身体がなまってんじゃねぇだろな? …にしても痛ぇな、くそジョーズヤローが。 」

“ケツアゴ”仮面男A 「  ………………………。 」

手榴弾=雷地の爆発をスタートの合図に、別の場所でも一斉に動きがあった模様だ。煙幕に隠れながら大きな影がズズズッと動く。

シルド 「 ペッ …貴様の相手はもう決まっとるだろ? ワシは金には興味がねぇ。本気の殺しが楽しめればそれでいいでごっす。 」

極小仮面筋肉ダルマに向けて、走りながらラリアートをぶちかまして来る、シルド。< バチッ! > とっさに極小仮面筋肉ダルマもラリアートをかまし、相打ち状態になった。筋肉と筋肉が激しくぶつかり合う鈍い音と共に、互いにお歳暮のハムように 転がりなら煙幕の奥へと姿を消して行った。< ズゴロゴロゴロロォ >

BIMA 「 …あらイヤだ、モクモクと煙たいわ。あんた女よね? ハズレ感満載なんですけどぉ。まっ いいわ。すぐ殺って別のに行くからサ。 」

座り込んでいる “ケツアゴデス”仮面を被った女シルエットの人物を、見下すように仁王立ちで現れた、BIMAこと 女性型アンドロイド「 BIMAJYO-DX 」。彼女の正体は、殺人平気<兵器>として造られたアンドロイドだが、白人系特殊ラバー「欧米スキン」を全身に纏っているため、見た目は人間の女性と比べ、差ほど違和感が無い。関節の稼働音が若干機械音っぽいというバレバレな面もあるが、人間との明確な違いは、その体重差にある。一般女性の大よそ4~5倍の重さがあるが、アンドロイドの特性でスピードは落ちないため、殊 肉弾戦においては、その重さがかなり有利に働く。

“ケツアゴ”仮面女 「 げげぇ… あのヤロー 何が楽しい仮面舞踏会だ! 後で絶対ぇシバく。それにしても何だよ? このオバハンは… 」

BIMA 「 …オバ、ハン? 聞き捨てなら無いネェ!! アタシに殺られる事を名誉に思いなさいヨ!! そらっ ネイル・ナチュラル! 」

“ケツアゴ”仮面女 「 ヒィャアアーーーー!! 」
蜘蛛の子を散らしたかのように、一目散に逃げ回る。

< シュビビビッ > 胸元で手刀の構えをかたち取り、フライングディスクを投げるかのように、折りたたんだ腕を勢い良く反対側に伸ばすBIMA。同時に肌色をした爪弾数発が、ケツアゴ仮面女を襲う。 < ダダダダダダッ !! >

BIMA 「   …!?  」

確実に命中したかと思ったが、まるで新体操の選手のような華麗な身のこなしで、軽々と逃走に成功する“ケツアゴ”仮面女。 ヘタレだと騙されていたBIMAは、その体さばきを見て、怒りに満ちた表情でドゴドゴと地団太を踏みながら後を追って行く。2人とも室外へと姿を消して行った。

ワザカル  「 …ありゃりゃ 不意打ちに対するカウンターだとしても、スッゲー蹴りだねぇ、キミ。さてさて、どっちが当たりだと思う? 鮫島… 」

< シュンッ > 蹴り飛ばされ埋もれていた壁から一瞬で抜け出し、ダッシュで“ケツアゴ”仮面男Bへとすっ飛んで行く、鮫島。 通り過ぎた時の突風で、ワザカルの髪がなびいてる。 <ガッ!> いびつなメリケンサックを着用した鮫島の渾身の左ストレートを、とっさに椅子の裏面で防ぐ “ケツアゴ”仮面男B。 <ギギギ…バカ―ン!!> 大破した椅子と共に、後方へと大きく吹き飛ばされる“ケツアゴ”仮面男B。ニヤリと笑った鮫島が追い打ちを掛けるべく、突っ込んで行った。

ワザカル 「 猛獣の狩りだよねぇ、ありゃ。ん? 鮫って猛獣だっけ??まぁいいや。残り者同士、仲良くやろうよ。ね!…キミが本物なんだろ?」

“ケツアゴ”仮面男A   「  ………………………。 」

ワザカル 「 だってさぁ、他の奴の仮面とキミの仮面、良~く見ると違うじゃん < プー パチンッ >

“ケツアゴ”仮面男A 「 !? 」

フーセンガムを噛みながら、円卓の上にポーンと飛び乗るワザカル。 <カチャッ> アタッシュケースからキャップのような帽子を取り出し、深々と被ると 噛んでいたガムを勢い良く吐き捨てた。 < ペッ! >

ワザカル 「 へへへっ ストッパー解除ー! こうやってさー 奥歯を噛むとねぇ… 」 < カチッ >

<プタタタタッ!!> キャップのツバ部分から、マシンガンのように銃弾が連射される。辛うじて避ける“ケツアゴ”仮面男A。仮面越しに冷や汗を掻いている。


< 巨漢 VS 巨漢 / 極小仮面筋肉ダルマ サイド >

筋肉と筋肉とがぶつかり合う摩擦にて発生する“マッスル雲”が、街中の至る所に立ち上っている。互いに曲者なので武器は所持しているのだろうが、現時点では肉体を武器にぶつかり合っている様子。同体格で負けず嫌いな2人が一歩も引かずにぶつかり合うその光景は、全速力で躊躇無く正面衝突し合う、2匹の猛牛のようだ。

極小仮面筋肉ダルマ 「 ハァ ハァ ハァ …闇の世界に生きるプロのヒットマンとは言え、世の中には まだこんなヤツがいるのだな。 」

シルド 「 ハァ ハァ ハァ …も、物凄いパワー、こんな奴生まれて初めて会ったでごっす。一体何者だ? 」

互いに息を切らしながらも、前世が代々S極家系かのように、意地と意地とが急激に引っ張られ、激しくぶつかり合う。…超濃厚なおしくらまんじゅう状態だ。筋肉がこすれ合って出来る空間のねじれにより、うっかり亜空間の扉が開いちゃいそうな勢いだ。 横になり、気を抜いてTV見ていた番人もたまったもんじゃない。奇抜な街のオブジェも巻き込んで壊しながら、ある施設の前まで辿り着いた。


『 国立 くるぶし博物館 』


極小仮面筋肉ダルマ 「 …は? くるぶし?? エキセントリック過ぎて、感性が追い付かないゾネ…。 」

シルド 「 ………………………。 」

激しいぶつかり合いをしていた両者も冷静になるぐらい、エッジの利いた博物館である。ここが勝負の場所だと割り切って考え、その必要以上に堅牢な扉を開けて中に入って行く2人。休館日という事で誰1人として人はいない。館内はというと、パッと見は一般的な博物館のようだが、良く見ると彫刻から模型、絵画、映像作品に至るまで、全てのモチーフが “くるぶし”になっている。 さらには、お土産コーナーに“くるぶし”ストラップなども販売しているようだ。

極小仮面筋肉ダルマ 「 …よし、もういいゾネ? ここまで くるぶしに囲まれるとは、もれなく不気味だが… 随分と静かだな。ここなら存分に戦えるゾナ! 」

< バサッ > 満を持して、被っていた極小の“ケツアゴデス”仮面と着用していたマントを同時に脱ぎ捨てる、巨漢の男。なんとその男… 中華界のレジェンド、趙・砕雀< チョウ・サイジャク >であった。 < ジャーン! ドラが鳴る効果音 > パーカーコートを着用し、ここぞとばかりにキメ顔をしている。

シルド  「  ………………………。 」

初対面なのだが、「 でしょうね 」 みたいなリアクションを取る、シルド。 恐らく場を混乱させるため、囮役に徹していたのだろうが、顔面積的に無理があり過ぎた。

シルド  「 貴様、何者だ? 恐らく今回のターゲットでは無さそうだが。そもそも、ケツアゴデスのメンバーでも無さそうでごっすな。 」

趙 「 何者かだって? 私は、お前ら闇の人間に恨みがある、中華料理店オーナー、趙・砕雀だゾナ! 」 < サッ >

お辞儀をしながら、律儀に名刺を差し出す、趙。それを どもども みたいな感じで、条件反射できっちり受け取ってしまう、シルド。

趙 「 挨拶はここまでだゾナ! …それで、どうだ? 逆に標的にされた気分というのは? 」

シルド 「 なんだと!? まさか分かってて、待ち伏せしていたのか? …筋力もさることながら、中々頭も切れるようでごっすな。 」

趙 「 追って追って、ひたすら追い込んで… プレッシャーを掛ける事しか能が無いお前らに、追われる側の苦痛を味わってもらうゾナ。 」

シルド 「 …残念だったなぁ、ワシは追おうが追われようが、本気の殺し合いが出来ればそれで満足でごっす。 」

趙 「 戦闘狂というヤツか。軍にはお前みたいな輩が腐る程おったわ。所詮は、自分の欲求にすら勝てん弱虫ゾネ。 ダッハハ 」

シルド 「 随分と口も達者なようでごっすねぇ。さては貴様の最も得意なのは、口喧嘩と言ったところか? クッフフ 」

2人の巨漢が互いに挑発し合い、ヒリつく周辺の空気。 表っ面は余裕の表情で挑発を軽く受け流しているように見えるが、静かに隆起する筋肉は決してウソをつく事が出来ない。次にぶつかり合った際のインパクトを頂点に持って行くため、血中に気合を流し込みアイドリング状態の両者。 < ゴドッ > おもむろにごつい特殊拳銃を床に置く、趙。黒犀型拳銃 「クロサイ」< ジャーン! ドラが鳴る効果音 >

シルド 「 !? なんのつもりだ? 」

趙 「 明らかに丸腰の相手に、特殊拳銃はさすがに野暮ってもんだゾナ。…お前は素手でやるタイプのヒットマンなんだろ? 」

シルド 「 …まさかの特殊拳銃とは驚きでごっすな。 貴様が只者では無いという事は、もう重々理解した。 だが、ホンモノの殺し屋ってのを随分舐めてやがる。ワシは殺しを楽しむが、殺した後も殴り続けるぞ。その感触が残っている限り、いつまでもな。ニヤっ 」

趙  「 さすが闇の人間だな… 完全にイカレテやがる。 だが、相手が悪かったゾナ。すこぶる胸糞が悪いゾネ!! ゴラッ!! 」

ダンクシュートをする前のバスケットボール選手のように、“くるぶし”のオブジェを片手で持ち、シルドに向かって一直線に飛び掛かって行く、趙。

<バギィン!!>

不意を突かれたシルドの顔面にクリーンヒットした… と間髪入れずに左手でシルドの後頭部を掴んで、思いっきり床に叩きつけた。< ドゴッ!!>

趙  「 フェース・クラァアーーッ シュ!!! ゾナ 」

軍仕込みの趙のコンボにより、床に顔面がめり込みヒクヒクと痙攣している、シルド。自分の体重に加え、重厚な趙の体重も乗っているので、破壊力は抜群だ。人を殺す事を目的とした対人格闘術という意味では、軍隊出身の趙も闇のヒットマンに引けを取らない。ヤるかヤられるかの目つきをしている。

趙 「 お前を敵国の軍曹と見なし、一切の容赦はせんゾヨ。 …瞬斗には悪いが、止めを刺さずして、情報を聞き出すなどが出来る生温い相手では無い。 一瞬でも隙を見せたらヤられるゾヨ。 」

シルド 「 痛つつ …貴様、同業者か何かか? ケガさせられたのは何年ぶりだ?」額から血を流し、腕力だけでムクっと立ち上がる、シルド。

趙 「 …ほらな。お前みたいなのとは武器無しではやり合いたくないのだがな。昔から胃がもたれるほどタフガイとはやり合って来たから、もうこの年齢ではシンドイのだゾイ。 …という事で、じゃんけんで決着とはいかんゾネ? 」


( つづく )


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