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オリジナル漫画「scope」原作-6

【以臓篇】VS人身売買企業(赫)第2話


【 --- 場面転換して、条一狼サイド --- 】


自宅のベッドにて、バタリと倒れたまま爆睡している、条。運良く、例のループされる悪夢は見ていないようだ。しばらくして、ムクっと起き上がる。

条 「 我ながら、良く寝たな。< 大きく伸びをして腰をバキバキ鳴らし、撃たれた傷跡を見ながらジレイジを思い出す > あのトサカやろーめ! チッ 」

部屋にあったリンゴを取り、屋上へと上がって行く。< カツン カツン >

リクライニングチェアに寝ころび、真っ赤なリンゴを真上に投げては、かじるを繰り返す。
< ポーン シャクッ ポーン シャクッ >
暖かで湿気もなく、気持ちの良い晴天だ。突き抜けるような青空に、大きな白い雲がゆっくりと移動している。

情報屋からの連絡を待ちつつ、ボーっとしながら回復に努める、条。リンゴも芯だけに近い状態になり、ラスト思いっきり真上に投げる < ポーン >口を開けて待っていると、途中で飛んできたトンビが空中で咥えて飛び去って行った。「 あっ 」と同時に情報屋から連絡が入る。

ピッピピー

条 「 おっ やっと来たか。 どれどれ …よしっ ビンゴだ! 」

用心棒ジレイジが使用していた、銀蠅型拳銃 「ペスト」について、あらゆる手段を用いて、人身売買系 闇企業(赫)のアジトをあぶり出した情報屋。

…添付されている自撮り画像は、心なしかやつれていて疲弊しているようだった。良く見るとひっかき傷など、ところどころ傷ついている。

条 「 ジジイのくせに、何で自撮り送ってくんだよ。。 Good!じゃねーよ。 にしてもネットで情報収集したはずなのに、何だ?この生傷は(苦笑) …まっ まぁ 万事OKだ! 助かったぜ! 」

< ブイーーーーーン >

突如鳴り響く小型ドローンの飛行音。屋上に、流行りのデリバリー・ドローン(D&D)が飛んで来た。

条 「 これまたタイミング良すぎだな。さすが D&D。 」

箱を受け取り 開けると、注文していた “新品のパーカーコート”と、“ブルーパイン・スムージー”が入っていた。 < 新種のコバルトブルー色のパイナップル >100%傷が癒えた訳では無いが、気力体力の準備は整ったようだ。…いざ復讐へ。

条 「 いつまでも隠れていられると思うなよ。鬼役のオレは、本場の青鬼よりやさしくねぇぞ !」

新品のパーカーコートに袖を通し、ブルーパイン・スムージーを飲んで真っ青に染まった舌をペロっと出した条一狼が、不敵に笑う。

【--- 場面転換して、以臓サイド ---】


人身売買系 闇企業(赫)のアジトを発見した以臓は、復讐への準備をすべく、漁業都市への潜入のため拠点にしていた、ビジネスホテルへと戻って来た。部屋に着き、早速戦略を練ろうとするが、闇の情報が無さ過ぎるために中々妙案が出ない様子。

以臓 「 う~む、う~む。…焦るな、冷静になれ。 」

呼んでもないのに、ズカズカと勝手に心のリビングに上がり込んで来る溜息に、自らで説教をする。人間の本能で、理解の範疇外の事象=闇組織の存在に対して、理由なき恐怖を感じるものではあるが、妹を思う復讐心がそれを軽く上回って行く。

以臓 「 椿(妹)は、今私が感じている恐怖の何万倍もの恐怖を感じて、この世を去ったのだ。 …恐怖など、もはや皆無。 」

< プルルルル、携帯が鳴る >

以臓  「 モシモシ。…おぉ、水丸か!急になんだ、久しぶりだな。 相変わらず元気そうで何よりだ。」

水丸 「 ん? 以臓さん? さっきそっちから掛けて来たんじゃねーか。。今どこにいるんだよー!まさか抜け駆けは許さないよ! 」

森丸 「 < ちょっと変わって > はいはーい 以臓さん!森丸だよー!  」

以臓 「 森丸! お前も一緒なのか? それは話が早い。…いいか? 昔話をしているほど、時間は無い。この位置情報の喫茶店に来てくれ。 」

水丸 「 何だってんだよ!急に。…って 演技する事もないか。そんな事はこっちも十分わかってるよ、すぐ行く。 」

以臓の妹、椿の幼馴染である、水丸・森丸。兄の水丸が椿と同い年で、弟の森丸は一つ年下に当たる。3人はとても仲が良く、毎日のようにいっしょに遊んでいたが、兄弟の間では、椿を取り合うライバルでもあり、淡い3角関係でもあった。それが楽しかった。ある日、何の前触れもなく、椿が殺害されたという事を知り、幼かった兄弟は、現実を理解する事が出来ず、毎日涙が枯れるほど泣いた。のどは枯れ破れ、血が吐き出されるほどに泣いた。

…月日は流れ、兄弟も成人を迎えていた。 ひょんな事から以臓が粛々と復讐を試みているという情報を得て、何か協力出来無いかと独学にてネットの勉強に没頭する。偽名のHNを使い、闇の情報提供をする事で 以臓を陰ながらサポートしていた兄弟であった。忍者家系 「桃千<モモチ>家」の末裔。

待ち合わせの喫茶店にて。

< ウィーン > 水丸・森丸が入店して来る。<いらっしゃいませ>既に席に座って待っている、以臓。渋い顔で、ふわふわのパンケーキを食している。

水丸・森丸 「 !? 以臓さーん!! 久しぶりだね。 」

以臓 「 おー! お前たち、本当久しぶりだな。 」

再会を懐かしむ3人だが、水丸・森丸兄弟は、ネット上で以臓に頻繁に情報提供をしていたので、久しぶり感は全く無い。…が、それを知らない、以臓。

以臓 「 お前らは知らないと思うが、実はあの日以来、秘密裏に行動をしていたんだ。 ある事を成し遂げるために。 」

水丸・森丸「 ふーん  …知ってたよ。 」
< 顔を見合わせる二人 >

以臓 「 …へっ!? 冗談では無いぞ、真剣に話を聞け。 」


水丸・森丸 「 いやっ だからさぁ、知ってたよ!全部。ウォーターラウンド、フォレストラウンドから、何か最新情報でも来たの?<ニタァ~>

以臓 「 なななな、何だと!? 何故そのHNを知っているんだ?? さっぱり分からんぞ。 」

水丸・森丸 「 わざと気付いてくれるようなHN付けたんだけど、やっぱ気づかなかったんだね。“水丸”と“森丸”を英語で直訳すると… 」

以臓  「 ウォーターラウンド…フォレストラウンド… 水丸! 森丸! まさか赤の他人にこんな偶然の一致があったのか!! 」

水  丸・森丸 「 ……………………。  」
< 瞼を閉じかけた眼差しの二人 >

以臓  「 お前ら、ウォーターラウンドとフォレストラウンドに まさか会った事あるのか? 大恩人なんだ! いつかお礼を言いたくて。 」

水丸・森丸 「 …いやっ だからさ! 以臓さん。 それ、オレ等なんだよ、正体。 」

以臓  「 !?!? 」

< 【呼び鈴】 ピンポーン >

あまりの混乱で、テイクアウト用のパンケーキを3つ注文しようとする 以臓。< 待て待て!>

水丸・森丸 「 黙っててゴメン、でも本当の事なんだよ。だから以臓さんが今何をしたいか、全て分かってる。 …椿の復讐だろ? 」

以臓 「 …あぁ そうだ。どうやら本当のようだな。 まずはお礼を言いたい、情報提供 ありがとう。 」 < 深々とお辞儀をする >

水丸・森丸  「 いやいや、オレたちも一緒の気持ちだよ ……… 闇だろうが何だろうが、絶対に許さねぇ 」< 鋭い目つきに変わる兄弟。 >

以臓 「 …ウォタ丸、フォレ丸 本当にありがとう。  何とお礼を言ったらよいか… 」

水丸・森丸 (おいおい、何か前衛的な名前になってんな。。まぁいいか。)「 オレたちも行くぜ! ちなみに、実家の納屋からこれも持って来た。」

< ゴトっ >

水丸  「 妖怪型拳銃「河童」!」

森丸 「 妖怪型拳銃「天狗」! 」

以蔵 < !? >


以蔵 「 お前ら、その拳銃 よく見つけられたな。撃ったことはあるのか? 」

水丸 「 うん、オレも森丸も鍛錬してやっと撃てるようになったよ。 トリガーが異常に重くて大変だったけどさ。 」

森丸 「 そうそう、本当トリガーを引くだけで一苦労だよ。。 血管破れそうな勢い。 」

以蔵 「 …そうか、だが、あくまでお前らは護身用にのみ使用するんだぞ。基本的には、以臓が先陣を切り、以臓が中盤を抑え、以臓がとどめも刺す!そして、以臓が祝勝会の店を予約し、帰りに以臓がパンケーキをテイクアウトする!! 」

水丸・森丸 「 以臓だらけの何たらみてぇじゃん… え? 店の予約って。。 」

以蔵 「 フッ 冗談だよ。 力み過ぎていては本領を発揮出来ないからな。 …テイクアウトせずに、その場で食すよ。 」< 何の本領だよ! >

水丸・森丸 「 プっ ハッハハハ ったく この人はどこまでが冗談で、どこまでが本気なんだか分からないな。 」

以蔵( お前たちだけは命に代えても護るからな。 その気持ちだけで胸がいっぱいだ、心から感謝する )


ビジネスホテルに戻って作戦会議を試みる3人。 水丸・森丸から、今ある全ての情報が共有される。(赫)が人身売買を生業にしている闇企業である事、そのターゲットとして椿は攫われたであろうと言う事、あらゆる取引先と売買をしていると言う事、戦闘のプロである闇の用心棒を雇っている事 …など

以臓 「 なるほど。“DOS”領域にまでなると、中々込み入った情報も得られないな。 だが、ネットで限界なのであれば、直で会って聞けばいい。」

森丸 「 そうだね、アジトの所在地も分かった事だし。でも、この闇の用心棒ってのが面倒だよね。どうせゴリゴリなんだろ。。」

以臓 「 何が居ようと関係ない。外道には外道なりの最期を迎えてもらうだけだ。」

< 普段温厚な以臓が、内に秘める怒りで感情的になっている >

久々に会ったにも関わらず、昔話に花を咲かせることも無く、刻々と夜が更けて行く。 普段は気にしない時計の針の音が、大きく部屋に響き渡る。深夜とも早朝とも取れる時間帯、3人は既に起床していた。 以臓のパジャマがOLのそれみたいにモコモコだったが、水丸も森丸も見て見ぬふりをしている。
まだまだ外は薄暗く、早朝の生活音も奏でられていない。

以臓 「 よしっ これは、復讐のためにまとうユニフォームのようなものだ。 」
< バサッ > 二人にパーカーコートを手渡す、モコモコパジャマ姿の以臓

水丸・森丸 「 ありがとう!お揃いだね。  へへっ 」
< 正直、モコモコの方じゃ無くてホッとしている >

夜明け前、復讐のパーカーコートに身を包んだ3人が今、人身売買系 闇企業(赫)のアジトに向けて走り出した。

< シュタタタタタ >

忍者走りの3人の影が、夜明け前の薄暗い街を 猛スピードで駆け抜ける。

以臓 「 アジトまでは大分距離があるが、走れるか? お前たち。 」

水丸・森丸 「 ぜんぜん問題無いよ。忍者の家系を舐めてもらっちゃ困る! 」

以臓 「 < ニヤっ > 目印は、巨大トンネルだ。 そして その脇にある、旧トンネル=通称“お化けトンネル”を通り過ぎた先に奴らのアジトはある。 」

水丸・森丸 「 ………………………。マジ? 」
< 冷や汗を掻いている二人 >

以臓 「 あぁ。 地元民の間で、幽霊の目撃情報が絶えないらしい。 まっ 目撃したくても、実際は何も見えないぐらいの暗闇なんだけどな。 」

水丸・森丸 「 …ハハハ そりゃ楽しみだ。。 」  
< 二人とも、心霊系が大の苦手で、子供向け遊園地のお化け屋敷でも入れないぐらいのビビり。>

水丸と森丸は、ビビッて走行フォームが多少へっぴり腰にはなったが、スピード自体を落とすことはなく、以臓にぴったりと追走している。

< シュタタタタタ >

そのまましばらく走り続けると、目の前に巨大なトンネルが見えて来た。

以臓 「 ふ~ 思ったより早かったな。これが言ってた巨大トンネルだ。…で、こっちの脇道にあるのが、お化けトンネルだ。な?暗いだろ? 」

水丸・森丸 「 ……ねぇ これ入るの? 本気で言ってる?? オエッ 」
< あまりの恐怖に嗚咽する兄弟 >

以臓 「 よしっ ついてこい 」< 全く聞いてない >

水丸・森丸 「 ……ちょっ 待ってよ。。はぁ~ 行くしかねぇーよな。
< 顔を見合わせる二人、意を決してお化けトンネルに入って行く >

<ピチョン ピチョン>

謎の水滴が森丸の背中に滴り落ちる 「 ヒッ!」…ビリヤードのブレイクショットのように、突かれた恐怖を起点に一斉に恐怖が連鎖して行く


イギャァァァアア―――――――――!!
グウォォォォオオ―――――――――!!


一気に鳴り響いているかのような大音量の悲鳴。反響する悲鳴に、さすがに耳を塞ぐ以臓。鳴り響く互いの悲鳴に、さらにパニックが加速した兄弟は、トンネル内の上下左右を、目をつぶりながら激走する。<ドダダダダ>

以臓 「 くっ うるさい!! もうすぐ出口だぞ! 」

猛スピードで走って来た3人が、悲鳴と共に勢い良くトンネルから転がり出て来る。 < ゴロゴロー!! >

泣き顔全開で、恐る恐る ゆっくりと目を開ける 水丸・森丸。

<  ピカぁーー>

夜が明け、目の前にそびえ立つ以臓の背後から後光のように差し込む朝日。神々しい姿とは似ても似つかないその姿は、築150年の古民家に空き巣に入ったかのように、全身が蜘蛛の巣だらけになっていた。
何故だ?? 目をつぶり半狂乱で激走していた自分たちには、蜘蛛の巣なんて全く絡まっていないのに…

( つづく )


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