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映画『孤高の天才未満』と1時間

お題について1時間以内で文章を書くオンラインのお祭り、通称「古賀コン」。その第8回にて、七名菜々、桜雪、秋待諷月、三上アルカ、久乙矢の計5名で共同制作にチャレンジしました。本稿ではその舞台裏として、制作プロセスの紹介や、レギュレーションの解釈について述べたいと思います。

投稿作はこちら。



きっかけ

大元を辿れば、第7回古賀コンへの七名菜々さん投稿作『ネクロマンス・アロマンス』に対し、自然発生的に二次創作が続いたことがはじまりでした。そこで、世界観のシェアっていいよねって話になりました。世界観のシェアって、いいよね!

またそれとは別に、古賀コンのレギュレーション「1時間で書く」に対し、複数人での合作はアリなのかという話になり、こちらの投稿のツリーにて、合作やってみようぜって運びとなって、賛同者5名が集まりました。


レギュレーションと解釈

さて、問題となるレギュレーション。古賀コンのルールでは「1人1時間」となっていますが、合作は許されるのでしょうか? そんな疑問に対し、古賀コン界のエシュロンこと古賀主催からさっそくお返事がありました。

合作はアリ。ただし、チーム全体である1時間を共有すること(同時なら良いが、時分割はダメ)とのお達しです。

なるほどなるほど。これならいけそう。かと思いきや、5人で進め方をあれこれ話したところ、物理的に同じ時間帯に(オンライン上であれ)集まることは難しいことがわかりました。古賀コンはただでさえ開催期間が短いですし、土日もはさんでいたりして、都合を合わせるのって簡単ではないのですよね。

そこで、今回我々は次のような解釈をしました。

  • 古賀コン開催期間(テーマ発表~〆切)中に、各自が並列して1時間執筆し、全員の執筆が終わったところで各作品を統合する

  • これをもって、非同期的に同時執筆したものとみなす

リレーや連作の場合、各執筆時間は明らかに直列接続されます。が、そうではなく、あくまで並列作業としつつ、その並列した時間がたまたま物理時間的には同期していないだけ、とすれば趣旨は逸脱しないという解釈です。

僕は、他の参加者が具体的にいつ執筆したかを知りませんが、古賀コンの同じ開催期間中に、地球のどこかで互いに机を並べて書いたものと信じています。

それに宇宙の長い歴史からすれば、ちょっとの時間ズレなんて誤差じゃないですか。


制作プロセスの最終案

具体的な進め方を決める過程では、いくつもの案が出ました。経緯をたどるのは面倒なので 詳細は割愛しますが、重視したのは「5人で並列作業したとして、それらを合作と呼べる状態とするにはどうするか」という問題です。バラバラに書いて各自がバラバラに公開したのだと意味ないですからね。一方で、共通世界観の作りこみをすると準備に時間がかかるし、それって古賀コンの「1時間」的にどうなの? という疑問も浮かびます。

そこで最終的には次の方針に落ち着きました。

  • 5人それぞれが掌編を書き、1本の短編として統合する

  • 5つの掌編の共通要素となるモチーフを予め用意する

  • モチーフは「映画」とし、登場人物1名をそれぞれが持ち寄る(時間をかけず、名前・年齢性別・特徴1つのみ)

  • 各掌編はこの「映画」に言及した物語とする

  • 映画のタイトルは、古賀コン8のテーマとする

  • 各掌編のテーマもまた、古賀コン8のテーマとする

で、それから実際にテーマが発表されて、最終的な制作プロセスとして次のように認識合わせを行いました。


あらためて、「1時間」内外で行った作業は次の通りです。

「1時間」の前に行ったこと

  • 制作プロセスの決定

  • 「映画」の登場人物持ち寄り

  • 各掌編の人称を一人称とすることの決定

  • 各掌編の小見出しは「場所 時間」とすることの決定


「1時間」の中で行ったこと

  • 各自が並列して非同期同時執筆


「1時間」の後に行ったこと

  • 各自執筆掌編の共有と統合

  • 掲載順の入れ替えと、小見出しの整理


古賀コンはありがたいことに「1時間」の定義を各参加者に委ねられているので、今回はこのような進め方を「1時間」とさせていただきました。


蓋を開けてみれば……

ということで完成したのが、"映画『孤高の天才未満』"です。時代や場所はもっとバラつくかと思いきや(中世とか近未来とか異世界とか)、5人中4人が現代劇で、1作品だけ「遥か遠い未来 地球ではないどこかの星」となりました。

並べてみると、作中作である映画への言及・紹介もうまい感じでできて、同時執筆ゆえに生じる矛盾を4作目がうまく解決してくれてたり、さらには5作目がいい感じにその先に世界を広げる、という感じになったように思います。

作為ではないのに並べてみたら何かいい感じ! という、パズルのピースがハマる感、その気持ちよさは、編集著作のおもしろみひとつですね。

どうなるだろうとドキドキしていましたが、かなりいい感じにまとまってよかったです。あと、書けたあとみんなで突き合わせて、他の人の掌編読むのも楽しかった。


以上、共同制作の舞台裏として、制作プロセスやレギュレーションに対する我々なりの解釈の紹介でした。

最後になりますが、こうした創作の機会を用意して下さった古賀コン、ならびにその祭りへの参加者皆さまには感謝です。


追記

さらにさらに!
共同執筆策へのセルフ二次創作として、本作で語られた映画『孤高の天才未満』のレビューサイトもみんなで用意しました。映画レビュー形式もいいよね、という案が途中で出ていて、せっかくなので古賀コンファンアート枠でやろうよってなったわけです。

映画の登場人物や、各掌編の視点人物の目線で集めたレビュー。まとめてみたらこれまたいい感じの物語になりました。これは間違いなく5人集まらねばできなかったやつ……! 映画のみならず、本編の世界観を立体的に描き出す映画レビュー。ぜひこちらも併せてみていただきたいです。


(七名菜々・桜雪・秋待諷月・三上アルカ・久乙矢)

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