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【20周年記念企画リポート・前編】二十年後の京大生へ ~第20回ホームカミングデイ2025~

2025年11月1日(土)、秋の深まりを感じる京都で、京都大学ホームカミングデイ20周年を記念した特別企画「あの奇才もあの天才も~20年ぶりの再集合~」が開催されました。

今回のターゲットは、卒業して約20年を迎える、仕事や家庭で「人生の転機」の真っ只中にいる40代前後の同窓生。当日は、30代後半~40代を中心とする同窓生70名以上にご参加いただきました。
ご参加いただいた方も、惜しくも参加が叶わなかった皆様にも、当日の会場の熱気を、人生のヒントとなるトークとともにお届けします!

特別座談会:正解のない人生の壁をどう越える?
第一部は、3名の卒業生特別ゲストによる座談会。
文筆家・書店員のphaさん(2003年卒、こちらの記事も参照)、起業家として活躍する株式会社コーチェット 代表取締役の櫻本真理さん(2005年卒)、そしてモデレーターの人間・環境学研究科の柴田悠 教授(2011年修了)が登壇しました。

左からphaさん、櫻本さん、柴田教授。
会場からの質問もチャットでリアルタイムで受け付けながら進行しました。

モデレーターの柴田教授からは、企画趣旨を「人生には正解がないという大前提のもと、同窓生の皆様がご自身の価値観や生き方を見つめ直すヒントを提供できれば」と紹介。
学生時代や卒業後の歩みをざっくばらんに振り返りつつ、特に会場の共感を呼んだのは、それぞれが語る京大の文化と、人生の壁の超え方についての視点でした。

改めて「京大らしさ」って何だ? ―干渉しすぎない心地よさ
話題は、影響を受けた京大時代の過ごし方や学風へ。寮に入り「影響を受けすぎてしまった」というphaさん。世間の流れや評価を気にせず、好きなことをやっていても制限されない文化に触れつつ、これが独自の哲学の土台になったとのこと。

卒業後3年で仕事を辞め、その後「ニート」として活動したphaさん。
40代の今は仕事が楽しく、友達じゃない人ともつながれる利点にも気づき、「今思うとそこまで働くことを拒否しすぎなくてもよかったかなと思う」と振り返りました。

また、櫻本さんは「京大って、“同じ土俵に立たず、お互い傷付けない”ところが良いと思うんです」と指摘。京大卒の起業家の集まりでも、無駄なマウントや競争をせず、それぞれの世界を邪魔しない雰囲気があるとのこと。「群れすぎず良い距離感を保っているからこそ、その人らしさを活かせる心地よさがある。これって、これからの時代に求められる心地よさでは」と語り、そんな干渉しすぎない心地よさこそが、多様な生き方を許容する土壌だったのではという話に、頷く参加者の姿が多く見られました。

外資系金融企業勤務後に2社を創業し、日経ウーマン・オブ・ザ・イヤーも受賞された櫻本さんですが、大学生活前半は学業もうまくいかず「とにかく家で天井を見て過ごしていた(笑)」と語りました。今は良い“循環”の中にいる・作ることを意識しているとのこと。

40代の壁を超える処方箋
途中、参加者からの「壁にぶつかった時にどう立て直すか?」との問いには、三者三様の処方箋が。
櫻本さんからは、「一番エネルギーを奪うのは、“私にはこの壁を乗り越えることができない”という無力感」と前置きしつつ、「大きな壁を大きなまま捉えず、壁を少しずつ細分化し、時には壁を変えたりしながら、でもひたすら動き続けることが大切」とコメント。柴田教授は「何もできない、進めないという無力感で動けなくなってしまうのが一番つらいかも」と補足します。
phaさんからは、ご自身がものを書けなくなった時期の経験から「休むのもいいんじゃないかな」とコメント。「40代は自分の中身を“組み替える”時期」という言葉もあり、「40歳くらいで、今までのやり方が通用しなくなる時期が来るのかも。でもすぐに組み替えるのは無理だから、ちょっと距離を取って別のことをしていると、自分の中で自然と整理される」とコメント。走り続けてきた同世代にとって、実体験に基づいた「細分化」や「休む勇気」という視点は、何よりのエンゲージメントになったようです。
なお、座談会でのやりとりの全容は後編記事で公開しています。

子育てや働き方の政策研究で注目の柴田先生。
実はphaさんとは学部時代の短歌会の友人で、当時の寮のphaさんの部屋に遊びに行ったこともあるそうです。

参加者交流会:テーマ別で語り合う20年の軌跡
座談会の熱気そのままに、その後は第二部の交流会へ。
会場には、初対面でも話しやすいよう、「仕事・キャリア」「子育て・教育」「起業や新たな挑戦」「ライフスタイル」など、参加者の関心テーマごとにテーブルを配置。名刺交換から子育ての悩み相談まで、至る所で会話が弾みました。

登壇者も各テーブルに入り、密度の濃い交流が展開されました!

また、合成生物学の世界大会に挑む学生団体「iGEM Kyoto」(参考リンクはこちら)の現役学生による活動紹介も実施。学生の熱い想いに耳を傾け、支援を申し出る卒業生の姿もあり、世代を超えた繋がりが生まれる瞬間でした。

パパ・ママも安心。親子で京大を楽しむ「KuSuKu」コラボレーション
「子どもがいるから、土日のイベントはちょっと…。」そんな子育て世代の同窓生のため、今回は学童保育所 京都大学キッズコミュニティ「KuSuKu」との特別コラボが実現。

KuSuKuで実施している京大教員による小学生向けの「アカデミックプログラム」を開催し、同窓生のお子様20名以上が参加。
大人が語らう横で、子どもたちも「大学での学び」を楽しむ。家族連れでも気兼ねなく戻って親子で京大を感じられる、新しい同窓会の形が見えました。

総合博物館 竹之内惇志 助教による、いろいろな鉱物に触れるワークショップに子どもたちは目を輝かせていました!

参加者の声:2時間が「濃密すぎた」理由
最後に、参加者アンケートから、会場の様子や同窓生の生の声が伝わるコメントをいくつかご紹介します。

・年代の近い同窓生が集まったので話しやすく、卒業以来に会う友人や、実は同じゼミ生など、思わぬ出会いがあったことが非常に良かった。
・交流会があと30分くらい長くても良かった!2時間とは思えないほど濃厚で充実した会だった。
・登壇者の皆さまのお話がすごく非日常的、刺激的で本当に楽しかったです!交流会も今後のお仕事につながりそうでありがたいです。
・普段話す機会のない人とも話せて、それが良かった。
・phaさんはある意味氷河期世代のスターであり人生の指標。近況など聞けてよかった。
・いわゆる資本主義的な価値観で同窓意識を鼓舞するのではなく、素朴に当時を思い出し振り返る機会になる時間でした。
・子どもがいてもワークショップなどで気軽にイベントに参加できる配慮が素晴らしい。

編集後記:同窓生があえていま、リアルで集まる意味
「40代は仕事も家庭も一番忙しい。住んでいる地域もバラバラ。そんな同窓生の皆さんに、あえてリアルで集まってもらう意味とは?」 実は、企画段階で私たちが一番悩んだポイントでした。
従来の同窓会イベントは、どうしても時間に余裕のあるシニア層が中心になりがちでした。
しかし、人生の選択に追われる30代や40代にこそ、ふと振り返る場所が必要ではないか。仕事や友人、家族とも違う「第三の場(サードプレイス)」としての大学。もしかしたら、「ちょっとした選択の差であり得たかもしれない自分」に出会える場所かもしれません。ライフステージや人との関わり方も変化していく中で、大学という場が皆さんの次の一歩を踏み出すためのコミュニティになればと願っています。
今後ともこうした企画を検討しておりますので、ぜひご期待ください。懐かしいキャンパスで、また皆さんとお会いできる日を楽しみにしています!

※後編:【座談会の全容】はこちら


(このリポートの執筆者)酒井 惇史 / SAKAI Atsushi 成長戦略本部 統括事業部 主任。2013年京都大学卒業後、政府系機関にて国内・海外拠点での勤務を経て、2024年より京都大学成長戦略本部にて社会連携推進やスタートアップ創出支援等を担当。