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③急行あおもり 名古屋発青森行きの急行列車の乗車記録2/2 (1986年8月)

1968年夏、名古屋発青森行き急行「あおもり」に乗車。深夜の北陸本線を経て夜明けを迎える。直江津では乗客がホームに降りて、洗面や弁当の購入をして続きの旅に備える。昼行列車に変身した列車は終点青森に向けて進む。20時間超の旅は続く。

※基本的に当時の手記を転記しているので、不適切な表現は許して下さい。

旅の後半は昼行列車の雰囲気

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新発田~鶴岡(日本海沿いの絶景を行く)

新発田8時44分、中条8時58分、坂町9時11分。実際にはこれより少し遅れていたが、新潟県の主要駅に停車して乗客を降ろしていく。車内はますますガラガラに。日も高くなってきて、外は暑そうだ。

ひたすら続く田園風景に少し飽きてきた。村上を出ると、臨時列車であるにもかかわらず、車内販売が回ってきた。

直流急行電車の姿が見えた村上

列車はのんびり走り、海岸へ出た。ノコギリの刃のような海岸線。静かな美しい海に似合わない荒々しい岩礁。そして、その岩礁の海には、ブルーに近い、信じられないくらい澄んだ透明な海が広がっていた。

岩山を貫いて海岸線を走る

静かな海が、太陽に照らされてキラキラと光っている。こんな素晴らしい景色なのに、人はほとんどいない。時々、泳いでいる人を見かけるくらいだ。その海の青さ、透明感、岩礁の荒々しさが妙な対比をなし、美しさや感動が二倍、三倍にもなる。それでいて、この好天である。思わず写真を撮るのも忘れてしまった。特急ならあっという間に通り過ぎてしまいそうな場所も、臨時急行はあくまでものんびりと走る。

大きな窓を開けて、外の空気に触れられるのも良い。しばらく我を忘れて、この景色を見ていた。

冬にはさぞかし荒れるだろう。夏はとても静かな海。この美しさの裏には、きっと厳しい自然があるのだろう。この景色は、1時間近く続く。いつかここに来て、泳いでみたい。もっとも車がなければ無理だが、岩礁の付近に、たまに泳いでいる人を見ると、いいなぁと思う。

夏の日本海!

ロープが張ってある海水浴場もあるが、とても空いている。
「いいなぁ」「素晴らしいなぁ」「いっそのこと、列車を降りて泳ぎましょうか」
「急行だからいいんですよ。特急なら、あっという間に通過してしまいますから。窓を開けられるし、クーラーはあるし」

撮影失敗だが、現像するまでわからない

窓が開けられ、外気を吸い込みながら、のんびり走る。客車だから、気分をぶち壊すような走行用エンジンの音もない。とてもいい。スピードも、本当に景色を見るにはぴったりの速さ。最高の気分が続く。ちなみに、この区間を通して走る定期急行は、1本もない。

列車は庄内平野に入ってゆく。海とも、しばしお別れだ。窓を閉め、クーラーのきいた室内でくつろいでみるとしよう。

鶴岡〜酒田(長時間停車のたびに聞こえるはしゃぐ声)

10時49分、鶴岡に到着する。21分の長時間停車なので、ホームに出る。指定席もガラガラなのかなと思ってのぞいてみると、まだ50%ほどの乗車率だ。みんな席の確保が心配で、指定席を予約したのだろう。おかげで、自由席の方が空いていて、嬉しい。

EF81牽引の長編成の急行

1号車を覗いてみる。なんと、全員女の子ではないか。もう一度よく見ると、本当に1人残らず、若い女性なのである。他の車両も、前に書いた通り女性がやけに目立っていた。彼女たちは、長時間停車になると、ホームに出て、アイスを買ったり、走り回ったりしている。

右の特急は多くの乗客で賑わっていた

この駅で、特急「いなほ1号」に抜かれる。この列車には長い列ができていて、乗車率は100%以上。大変混んでいて、立ち客も出たまま出発していった。こちらは11時に出発。マイペースをたもって、ゆっくり行く。いちいち確認していたわけではないが、正確に走っていたと思う。

急行「もがみ」に抜かれる

余目に11時25分に着く。
「あれ? 待避線に入ったぞ」とK氏。
変だなぁと思っていると、待つこと4分。ディーゼル急行「もがみ1号」が、ゆっくりと本線を発車していくではないか。
「同業者に抜かれてやんの」とK氏が言う。
時刻表を見ると、本来なら先発しているはずの定期急行が遅れていたため、この駅で定期列車を優先させたとわかって安心した。
10分停車ののち、11時35分にこちらも出発。その途端、上り急行「庄内2号」の14系客車とすれ違った。

急行庄内は14系客車で、こちらよりも1ランク上

少しも疲れを感じることなく、マイペースで進み、11時48分、酒田へ着く。ここで25分停車。この列車は、駅に着くたびに10分や20分、時々30分ぐらい、平気で停車する。とんでもない急行だ。ちっとも急いでいる素振りも見せない。夜行区間や長岡付近では結構飛ばしていたが、駅へ着くと、だらしない。

機関車が交代した

50系客車の普通列車が止まっているが、あちらは洗っていないのか、車体が汚いし、非冷房で暑そう。こちらの車両は快適ではあるが、あちこち塗装がひび割れ、サビも目立っていた。波動用の車両とはいえ、整備しておいてほしい。

ちょっと恥ずかしかった。

1号車の女の子たちは相変わらず元気で、駅に着くとアイスクリームを求めて売店に群がり、ホームでキャッキャ、キャッキャと記念撮影に夢中である。いいなぁ……と思って眺めていると車掌さんが私に声をかけてくれた。
「写真撮ってあげるよ」
といい私のカメラを手に取った。そして、自分の制帽を外して私の頭にそっと乗せてくれた。

酒田~弘前(気だるい昼行列車)

この駅で機関車が交代し、FE81から「赤べこ」ことED75交流電気機関車に変わった。12時13分、ようやく出発。海が見えてくる。少し、うとうとする。
14時1分、ようやく秋田に到着。1分延着、13分停車。ここでどっと降りるかと思いきや、指定席は相変わらず乗っている。

気だるい雰囲気の車内

気になる1号車は……まだ華やかだった。女の子たちはまだ乗っていた。みんなどこへ行くのだろうか。自由席も10号車は空いているのだが、8号車、9号車には空いているボックスがない。ポツポツと下車客はいるものの、乗ってくる客がいるからだろう。14時14分、ようやく発車する。

10号車の車内は静まり返っている。後ろの方で、子供がキャッキャと遊んでいる声が、静かな車内に響く。気だるい雰囲気だ。みんな疲れているのかな。あと4時間だ。

干拓で有名な八郎潟を過ぎ、やがて東能代へ着く。15時15分着、17分停車だから、ゆっくり散歩し、うどんを買いに行く。跨線橋を越えて駅の待合室へ行く。「かけうどん持ち帰りで」と言っていると、なんとジリジリと発車ベル。うどん屋のおばさんは「こぼれないように入れ物に入れていく?」などとのんびり言っている。「結構です」と言って、うどんを持って走る。汁がこぼれ、熱い。

改札口を出るころには、
「急行青森行発車します。次は鷹ノ巣」とアナウンスが流れている。うどんを気にしつつ跨線橋を登り、そして2番線へ。急ぐ。遠い。ベルが鳴り終わった。車掌が手を上げようとする。「待ってくださーい!」橋を駆け下りながら叫び、飛び乗るや否や、プシュッとドアが閉まった。

あかべこは東北を代表する機関車

編成後部から乗ったので、10号車まで遠い。うどんはすっかり水分を失って、まるでドライうどんだ。「もし間に合わなかったら、荷物を持って青森で待っていようと思ってた」とK氏。17分って短いなぁと思った。これからは気をつけよう。

空いていることをいいことに、景色によって右へ左へと座席を移動していたが、それもかったるくなってきた。どこだったか忘れたが、上り、昨日の「あおもり号」の回送とすれ違った。「あおもり号」は下り列車のみ設定されている。K氏とお互い目を見合わせ、何が言いたいのか、お互いに分かった。

鷹ノ巣、大館と進むうち、だんだん夕方の日差しになってきた。津軽といえば、すぐに出てくる岩木山もよく見えるが、八甲田方面にだけ雲がある。山がよく見える席に移り、窓を開けて風に吹かれ、うとうとする私。

急行「津軽」とすれちがう。あちらも一ランク上の車両である

大鰐に16時48分ごろ着く。少し遅れている。上りホームには14系客車が停車中で、こちらの到着を待って出発する。上り上野行き急行「津軽」だ。こちらが昨日の夜から走り続け、まだ終点についていないというのに、すでに明日を目指して走る夜行列車とすれ違う。

ところで、スタート時のショックは相変わらずだ。なんでもED75は軽い機関車のため、ノッチをゆっくり入れても急加速してしまうらしい。EF81のような重い機関車なら、ノッチをゆっくり入れさえすれば、ゆっくり加速できるとK氏が言う。しかし、昨日のEF81も酷かったのはなぜだろう。ちなみに、K氏によればEF64が最高の機関車だそうだ。

石川で荷物車を連結した50系客車とすれ違う。もうすぐ荷物車の姿は国鉄から消える。国鉄最後のダイヤ改正で、色々な列車が廃止される。この急行「あおもり」は、今日の運転が最後になるのかもしれない。

弘前~青森(20時間の旅の終わり)

16時59分、最後の停車駅である弘前に到着する。6分停車。弘前を出てから、ふと青いものが窓をかすめた。なんだろうと思って顔を出すと、20系客車が一瞬離合した。

「臨時『日本海』」とK氏が言った。大阪行き特急「日本海54号」である。この列車もまた、こちらが終点に着く前に、明日の大阪に向かって走っているわけだ。

ところで、弘前〜青森間に1時間もかかるとは、いくらなんでも時間がかかりすぎる。鈍行列車でも1時間はかからない列車もある。快速なら45分で行く距離だ。他の列車は数駅停車するのに対して、「あおもり」は無停車だ。のんびり走っているのかなと思ったが、ラストスパートとばかりに、結構なスピードで進む。夕方になっても疲れを見せず、その走りっぷりにうっとりする。

津軽の夕空のもと、走りは絶好調だ。あいにく八甲田山は見えないが、いい天気だ。
「長い旅路だったな」と思ってしんみりと、黄色みを帯びた車窓に目を向ける。

ブレーキがかかって大釈迦に停車。上り列車と行き違うのに、8分停車する。運転停車といってドアは開かない。奥羽本線は部分複線といって、単線区間が存在するため、列車行き違いのための停車がある。

停車時間中に車内を見回る。さすがに客は減っているのか、それでもなかなかのもので、25%ぐらいは乗っている。終点に来てこれくらい乗っていれば、なかなかのものではないか。まさか、みんな北海道に行くんじゃないだろうかと思ってしまう。

1号車を覗いてみる。だいぶ減っていたが、女の子ばかりの華やかなムードがある。しかし、元気はないようだ。そりゃ疲れているだろう。

上り線をディーゼルカーの深浦行き快速が通過していく。快速は分類上、鈍行と同じ普通列車。それが急行料金が必要な優等列車を待たせておいて通過してしまうとは、失礼だ。やっと出発すると、しばらくしてブレーキ。
「たびたびすみません。上り列車と行き違いのため、5分止まります」とアナウンス。

次の鶴ヶ坂でもまた停車。また上り快速列車の通過待ちだ。「快速のくせに」とK氏。駅に停車して挨拶するのならまだしも、通過されるというのが腹が立つ。50系の赤い客車が客をいっぱいに乗せ、通過すると、いよいよ出発。もう一息だ。

青森到着。特急「あけぼの」が待機中

津軽新城を通過し、大きく右に曲がり、青森駅に進入体制になる。左に建設中の道床が分かれていくが、K氏によると、東北本線の短絡線の工事中とのことだ。速度を落としてゆっくり左に曲がると、何本もの線路が現れ、いよいよ青森駅だ。ガチャンガチャンとポイントを乗り越え、一番端のおまけみたいなホームに入っていく。18時5分、ついに20時間4分の旅は終わった。

下車してみると、側線にサシ485、583といった食堂車の休車体が留置されていて、夕日に映って寂しそうな雰囲気を醸し出す。もう旅は終わったと思ってしまうが、私は桟橋へ続く前方の階段を上り、長い跨線橋を渡り、そして連絡船の待合室へ向かった。

K氏と撮影

動画(間違いだらけです)

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