嫁からP1。「漢字練習用のマス目を作って」――仕様変更3回、報酬は甘いスイカでした🍉
こんにちは、黒パグです🐾
2026/07/28 18:50分仕事終わりかけて片付けている最中に、妻から緊急リクエストが来ました。
「息子の漢字練習用のマス目をPDFで作って」
マスト。最優先。P1。
逃げられません。
息子氏は中学1年生。漢字練習帳をお望みとのことでした。
先に、この記事に出てくる用語
* P1:最優先で対応する重大案件。今回は家庭内で発生しました。
* クライアント:仕事を依頼する人。この記事では妻です。
* 仕様変更:作り始めた後で、作る内容が変わること。
* 要件定義:何を、どんな形で作るのか事前に決めること。
* プロトタイプ:完成前に作るお試し版。
* ポストモーテム:終了後に原因と改善策を振り返る会議。解剖ではありません。
難しそうな言葉が並びますが、やっていることは「妻に頼まれた練習帳を作り直し続けた話」です。

漢字を書くマス目ですね。はいはい。A4で印刷できて、真ん中に薄い十字の補助線があって、名前と日付と範囲を書く場所があればいいのでしょう。
この程度ならすぐです。
20ページ作りました。
なぜ最初から20ページ作ったのか。
それは後ほどポストモーテムで反省します。
A4縦。1マス15mm。12列×16行。1ページ192文字。十字補助線付き。
日本語フォントもPDFへ埋め込み、家庭用プリンターの非印刷領域も避けました。全20ページを画像へ変換して、線のずれや文字化けがないことも確認。
家庭内で使う漢字練習帳に、なぜそこまで検査するのか。
職業病です。

PDFをクライアントへ提出しました。
すると、参考画像が送られてきました。

クライアントからの追加説明です。
「中1の英語、国語共通で」
「左からNo.、英単語(漢字)、意味。その右は練習マス。端まで」
は?
漢字練習用のマス目では?
先ほど作った192マス×20ページは?
どうやらクライアントの頭の中にあったものは、普通の漢字練習帳ではありませんでした。
英単語にも漢字にも使える、専用の語句練習シートです。
それを早く言ってください。
いや、聞かなかった私も悪い。
でも最初の依頼は「漢字練習用のマス目をPDFで」だったんですよ。ここから英語・国語共通帳票を導出するのは無理があります。

ないものは仕方がないので作り直します。
No.欄、英単語・漢字欄、意味欄。その右側を全部練習スペースにしました。
参考画像では15番だけ次のページへ追い出されていたので、15問すべてをA4用紙1枚に収めます。
練習回数は7回。
教科、日付、範囲、名前の記入欄も追加。
また20ページ作りました。


途中、iPadから「フォームに自動入力すると簡単になります」と提案されました。
iPad、お前はいま黙っていてくれ。
クライアントへ再提出。
これで終わりだと思いました。
終わりませんでした。
「練習欄をもう少し大きい方が書きやすいよね」
出ました。
もう少し。
システム開発で最も恐ろしい単位のひとつです。
何ミリ大きくするのか。縦か横か。問題数を減らしてもいいのか。練習回数は維持するのか。
何も分かりません。
ただし今回は家庭内P1です。長い要件確認会議を開くより、見えるものを出した方が早い。
15問は維持。上部の余白を削り、1行の高さを15mmから17mmへ拡大。練習回数を7回から5回へ減らし、1マスを15×15mmから20×17mmへ広げました。
面積は約51%増加。
今度こそ書きやすい。

再々提出。
クライアントから返信。
「意味欄を縮小して」
はい。
「漢字だったら二文字書けるように」
はい。
「スペースの真ん中に薄い点線」
あーーーーーめんどくさい!!!
ここで、市販の漢字練習帳を調べました。
最初から買えばよかったのでは、という疑問は一度横に置きます。
市販品を見ると、17mm前後のマスや、文字の中心を取りやすくする十字リーダーが使われています。ショウワノートの漢字練習帳や文運堂の学習帳にも似た考え方の罫線があります。
もちろんロゴや誌面をコピーするわけではありません。
機能だけ持ってきます。

意味欄を38mmから25mmへ縮小。空いた幅を練習欄へ回しました。
練習欄は二文字分をひとまとまりにして、それを3回。
二文字の境界には薄い縦点線。さらに各行の中央へ、クライアント指定の薄い横点線を追加しました。
漢字なら二字熟語を書きやすい。英単語なら点線を高さの目安として使えます。
また全20ページを画像へ変換。
ページ数、印刷余白、点線の本数、フォント、15番が同じページに存在することを確認。
納品。
クライアントにご満足いただきました。
家庭内P1、クローズ。
なお、今回の報酬は甘いスイカでした🍉
現金ではありません。
ストックオプションもありません。
しかし甘かったのでヨシとします。

今回の原因
ポストモーテムを行いました。
原因は、クライアントへのヒアリング不足です。
作り始める前に、実際に何を書くのか。1ページ何問なのか。英語にも使うのか。漢字は一文字なのか二文字なのか。参考にしている帳票はあるのか。
そこまで聞くべきでした。
ただ、今回少し厄介だったのは、クライアントの頭の中にある完成イメージも当初は開示されていなかったことです。
こちらが完成品を出す。
それを見て、クライアントが気づく。
「そうそう、こういう表がいい」
「もう少し大きい方がいい」
「漢字は二文字書きたい」
つまり、最初から全部の仕様が整理されていたわけではありません。
試作品を見ることで要件が生えてきた。
よくあるやつです。
聞かなかったので分からなかった。
しかし聞いても、最初から全部は出てこなかった可能性が高い。
家庭内の小さなPDF作成でも、普段の仕事と同じことが起きます。
たぶん次回も起きます。
次からどうするか
次回から、いきなり20ページ作るのは禁止します。
参考画像か手書きのラフをもらう。
1ページだけ試作する。
実際に書く人へ見せる。
マスの大きさ、問題数、項目、補助線を確認する。
承認されてから20ページへ増やす。
当たり前ですね。
なぜ今回はしなかったのか。
家庭内P1だったからです。
そして「マス目を作るだけ」だと思っていたからです。
作るだけではありませんでした。
最終的には中学1年生向け、英語・国語共通、15問、二文字対応、補助線付きの専用学習帳になりました。
市販品より用途が限定されています。
息子専用機です。
せっかくなので全部配布します
途中で作ったPDFも含めて、全部置いておきます。
誰にも使われなかった初版もあります。
供養です。
① 15mmマス漢字練習帳
一文字ずつ、普通に漢字を練習したい方向け。十字補助線付き。1ページ192文字です。
② 英語・国語共通、練習7マス版
1つの語句を何度も繰り返したい方向け。練習回数を優先しています。
③ 英語・国語共通、大きめ5マス版
7マスでは狭いという方向け。回数を減らして、記入欄を大きくしています。
④ 二文字×3回、中央点線付き最終版
今回クライアントに納品したものです。二字熟語と英単語の両方に使えます。
家庭、個人学習、学校や塾での学習用途なら自由にお使いください。
PDFそのものの販売、素材集への収録、再配布による商用利用はやめてください。印刷して配る程度なら問題ありません。
こうして家庭内P1は終わりました。
息子は練習帳を手に入れ、妻は満足し、私は使われなかったPDFを3種類抱え、スイカを食べました。
最初に作った漢字練習帳は、まだ誰にも使われていません。
なので、どうぞ使ってください。
泣き。
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