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あなたの紙の書籍は既にコピペされていた―Anthropic和解の裁判記録から判った村上春樹、川上未映子、小川洋子、茂木健一郎...日本人作家も入っていた

2026年1月27日、ワシントン・ポストが一本の記事を世界に向けて発信した。その記事が明らかにしたのは、AI企業Anthropicが「プロジェクト・パナマ」というコードネームのもと、数百万冊の書籍を買い集め、油圧カッターで背表紙を切り落とし、ページをスキャンし、そして残骸をリサイクル業者へ送っていたという事実だった。

事実、内部文書には、こう記されていた。

「プロジェクト・パナマは、世界中の全ての本を破壊的にスキャンする我々の取り組みだ」

「この活動が知られることを望まない」。

あなたの作品も、その「数百万冊」の中に含まれていると思われる。

ワシントン・ポスト/2026.1.27

“Inside a tech company’s secretive plan to destroy millions of books”
「テック企業の極秘計画―数百万冊の本を破壊する内幕」
https://www.washingtonpost.com/technology/2026/01/27/anthropic-ai-scan-destroy-books/


村上春樹、川上未映子、小川洋子、茂木健一郎……日本人も対象だった

アンソロピックは、海賊版サイトLibGen経由からも取得していた。
https://www.theatlantic.com/technology/archive/2025/03/search-libgen-data-set/682094/
ここから沢山の日本人作家が出てくる。

村上春樹
※海賊版由来のデータセット「Books3」に複数含まれている。
川上未映子の『乳と卵』
小川洋子の『密やかな結晶』
小野不由美の『十二国記』
河村元気の『世界から猫が消えたなら』
有川ひろの『旅猫リポート』

なおアンソロピックが自らコピペ(自炊)したことが解るサイトから検索すると、脳科学者の茂木健一郎氏も入っている

https://secure.anthropiccopyrightsettlement.com/lookup


これらは英訳版として、あるいは海賊版サイト経由で日本語原著のまま、AnthropicのAI「Claude」の学習データとして利用されていた。

もしあなたの作品が英訳出版されているなら、米国著作権局に登録されている可能性が高く、その場合、和解金を受け取る権利がある。


本を愛さない者たちの所業

この報道で私が最も衝撃を受けたのは、彼らが書籍を「尊重していない」ことだ。本はあなたが人生の一部を削って書き、編集者が何度も読み返し、装丁家がデザインし、印刷所が一冊ずつ製本した、著者の魂の結晶である。

それを、単なる「データの塊」として扱い、効率よくスキャンするために物理的に破壊する。そこには、作家への敬意も、文学への愛情も、何も感じられない。

Anthropicは元Google Booksプロジェクトの担当者を雇い、ニューヨークの老舗書店Strandやニューヨーク公立図書館との協議を進めていたという。極めて悪質である。

数千万ドルを投じて、数百万冊を買い集め、油圧カッターで背表紙を切り落とし、ページをスキャンし、残骸をリサイクル業者へ送る。まるで製材工場のように、本を「加工」していた。

そして彼らは、これが問題だとわかっていた。内部文書に「この活動が知られることを望まない」と記されていたことが、それを証明している。


15億ドルの和解
しかし時間は残されていない

Anthropicは作家団体との集団訴訟で、15億ドル(約2,250億円)の和解に合意した。対象は約482,460作品。1作品あたり推定3,000ドル(約45万円)が分配される。

しかし、時間は残されていない。

和解金申請期限は2026年3月30日。

しかし「オプトアウト期限」つまり「1作品3,000ドルでは不当に低い」として集団訴訟から脱退し、個別に高額訴訟を起こす権利を行使できる期限は、2026年1月29日だった。

今日は1月31日だ。オプトアウト期限は、2日前に過ぎた。

何もしなければ、あなたは自動的に和解の枠組みに組み込まれ、将来の訴訟権を失う。3,000ドルという金額に納得できなくても、もう個別訴訟を起こすことはできない。


ここで確認できる

公式サイト
https://www.anthropiccopyrightsettlement.com/lookup

作品名や著者名を入力すれば、対象に含まれているかどうかが確認できる。英語なので和訳して使ってほしい。

なお、海賊版サイトLibGen経由からも取得していた。
https://www.theatlantic.com/technology/archive/2025/03/search-libgen-data-set/682094/
ここで検索すると、ほとんどの日本人作家の書籍がパクられてる。

もしリストに載っていたら

海外版出版契約における著作権管理主体を確認する必要がある。

出版社が権利を持っているのか、あなた自身が持っているのか。契約書を確認してほしい。

そして、和解金申請をするか決めてほしい。

期限は3月30日。対象であれば、Unique IDが郵送またはメールで送られるはずだが、もし受け取っていなくても、「I don't have a unique ID」をクリックすることで申請できる。

申請しなければ、あなたは権利を放棄したことになる。和解金も受け取れず、Anthropicを訴える権利も失う。


なぜ日本では報道されないのか?

この件は英語圏で大きな話題となったが、日本経済新聞も読売新聞も報じていない。大手出版社の多くも無関係と思っているようでスルーしている。

芥川賞・直木賞を受賞したあなたの同業者たちも、おそらくこの事実を知らない。

理由は推測するしかないが、「英語圏の話で関係ない」「日本の著作権法では問題ない」といった誤解があるのではないか。あるいは、AI企業の問題を報じることへの忖度や躊躇があるのかもしれない。

しかし事実は異なる。
日本人の作品は確実に対象となっており、国際的な著作権秩序は大きく変わりつつある。


杞憂は現実のものとなった。

このスクープ(ワシントン・ポストの裁判記録の開示スクープ)この証拠がない段階から「AI印税市場」の到来を予測し、noteで4本の記事を書いて警鐘を鳴らしてきた。

この時点では、証拠はなかった。
しかし2026年1月27日、ワシントン・ポストがスクープを報じた。
すぐにさらに2本の記事を書いてシェアした。


いまだに日経も読売も報じていない。
ワシントンポストがスクープしただけ。
そして検索したら、日本人作家の紙の本も対象だったことが判明した。
オプトアウト期限は過ぎ、対応の選択肢は少ない。
これをどう考るべきか。

英語訳されている小説家の皆さんへ

可及的速やかに、公式サイトであなたの作品を検索してほしい。
もし対象に含まれていたら、3月30日までに和解金申請を行うことを提案します。

これは「AI時代の対価」を受け取る最初の、そしておそらく最後のチャンスである。

これは決して大げさなことではない。

あなたの書籍は、あなたが知らない間にコピペされて、略取されていた。そしてその対価を受け取る権利がある。しかし、時間は残されていない。


池松潤
https://lit.link/junikematsu

※本記事は筆者個人の見解であり、所属組織の公式見解を代表するものではありません。

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Jun Ikematsu / 池松潤 チップありがとうございます! よい日をお過ごしください。