《葬送のフリーレン》魔法(テクノロジー)の制限、解放、消滅。第四の道(第142話)
※ネタバレや先の展開に関する考察・予想が含まれています。《葬送のフリーレン》に関する記事はマガジンにまとめています。
帝都では魔法使いでもない普通の人が日常的に魔法を使っていて生活の道具になっていますし、子供たちが魔法で遊んでいる様子(フリーレンも第10話で使っていた「石を人形のように操る魔法」)まで描かれています。(第14巻129話)

帝都の人々の暮らしは、ちょうど、物理学を知らなくとも(魔法使いではなくとも)PCやスマートフォン(魔法)を使いこなす私たちの暮らしのようです。
ここからは《葬送のフリーレン》の魔法と現実の科学技術を結び付けて何か語ることもできるでしょう(創作にあたり作者が科学を下敷きにして魔法をデザインしているのは明白でしょう。一般攻撃魔法も作品のファンを超えて話題になりました)。けれども、その方面には立ち入りません。
さて、魔導特務隊隊長のフラーゼは副隊長のカノーネに「カノーネ、貴女が正しい選択をすることを願っています」(第139話)と釘を刺しています。(カノーネが他の組織や個人的信念のために動いていることに気付いているのでしょう(デンケンも気付いていました)。私はカノーネ=リネアールだと考えています。また、リネアール=ユーベルの姉ではないか?とも。そのあたりの根拠に興味のある方はとりあえず次の記事をご覧ください。マガジンには他にも関連する記事がいくつかあります)
つまり、フラーゼはカノーネに「この世界の誰もが、魔法を使えるその日」(第142話)のために、帝国の存続のために、「選択」を間違えないように、と言うのです。
この「選択」とは何かといえば、おそらく、帝国編でのゼーリエ(大陸魔法協会)、フラーゼ(魔導特務隊)、レーヴェ(影なる戦士)の魔法に対するスタンスです。(フラーゼの立場はフランメの正統な後継です)
ゼーリエ → 魔法の制限
フラーゼ → 魔法の解放
レーヴェ → 魔法の消滅
???
帝国にとっての魔法の位置付けがカノーネの行動にかかっている――もちろん彼女一人の行動で決するわけではないと思いますが、少なくとも彼女の行動がそれなりの影響を与える。そうフラーゼは考えているわけです。
影なる戦士の指揮官レーヴェは「この世界から魔法を無くす」(第139話)ために大魔法使いミーヌスを殺害し(確証はありませんがそう信じられています)、更に大魔法使いゼーリエを暗殺しようとしています。(この目的と手段の関係は未だ不明ですが、ゼーリエの次には残りの大魔法使いも狙うのでしょうか?(フリーレン(最後の大魔法使い)はフランメの遺言に従って目立たず生きてきたため世に知られておらず(ゲナウたちも知らなかった)、他にもう一人いる可能性がある(ミリアルデ?))
ゼーリエは「魔法は特別であるべき」と考えています。(第6巻53話「人間の時代」)

ゼーリエ:誰もが魔法を使える時代だと?魔法は特別であるべきだ。才ある者 以外に教えるつもりはない。
最初にこの台詞を聞いた読者・視聴者は、ゼーリエは何て意地の悪い偏狭な人物だろうと感じるのが通常です。この時(試験編)のゼーリエはまだヒール・ヴィランであり、読者の気持ちはフリーレンとフランメに寄り添っていますから。
しかし、帝国編に入ってこのゼーリエの言葉を思い返すと、おそらくゼーリエは当初からフラーゼ(フランメ)の唱える「この世界の誰もが、魔法を使える」時代の到来に大きな懸念を持っていたのでしょう。(このゼーリエ対フランメの思想的対立が帝国編全体の構図を作っているわけです)
では、上記三つの選択肢のうちの一体どれが帝国編の最後で選ばれるのか?というと、私の予想では多分どれでもありません。根拠は次のゼーリエの台詞です。(第140話「舞踏会」)
ゼーリエ:もしかしたら私は、想像を超える結果が見たいのかもしれないな。私では辿り着けない未来でも、お前達なら辿り着けるかもしれない。
女神様に最も近い存在であるゼーリエの想像をも超える結果だというのですから、既に示されている三つの選択肢のいずれかだとは思えないのです。
そのまだ見えない第四の選択肢が、フランメとゼーリエの間で板挟みになっているフリーレンの目指す「最善の結果」なのでしょう。
誰もが魔法を使えるこの国だけは師匠が残した本物だ。だから、最善の結果を目指す。きっと戦いを追い求めるゼーリエにはそれが出来ないから。
戦いを追い求めるゼーリエのやり方ではフラーゼ(フランメ)とレーヴェの思想を打ち倒す未来しか見えない。フリーレンは、そのいずれでもない第四の道を目指している。また、フランメを深く愛していたゼーリエも心のどこかでそれを望んでいる。…といった所でしょうか。
これから話が進めば徐々にその「想像を超える結果」が見えてくるのか、帝国編の最後でアッと驚かされるのかわかりませんが、作者がどんな結果を用意しているのかとても楽しみです。
※フラーゼがなぜそこまで強硬なフランメ派なのかはよくわからないところです(たとえば同じ皇帝の右腕であるデンケンは魔法のあるべき形について定見を語ってはいませんし、一級魔法使いになったということはフランメの思想にこだわりはなさそうです)。帝国内ではまだフランメの弟子たちの系譜が息づいているのでしょうか。そのあたりの事情が語られることはあるのでしょうか。
※自分の再読のためにまとめている表です。再読のためには人物名から登場する第n巻m話が分かる資料も欲しいので(たとえばフランメが登場するエピソードだけ拾い読みしたいといったことが良くある)、再読しながらコツコツと作っています。

