リネアール・カノーネ・ユーベル姉、帝国編とユーベルの嘘、姉妹による復讐劇《葬送のフリーレン》考察
《葬送のフリーレン》第142話(帝国編)時点で正体がわからない三人の女性について、それと、帝国編でのユーベルの嘘と、帝国編ってもしかしてこんなお話になるのでは?という仮説について書きます。
※《葬送のフリーレン》に関する記事はこちらにまとめています。
リネアールとカノーネ
リネアール(一級魔法使い)の姿が見られるのはユーベルとゼンゼによる回想(第13巻127話、未収録第138話)のみです。「もう15年以上も帝国で諜報活動を続けていて、現在は内情を知れるだけの身分」にいます。
となると、年齢・性別などからしてリネアールの正体はカノーネ(魔導特務隊の副隊長)でしょう。カノーネは、フラーゼ(魔導特務隊隊長)と微妙な関係にあるようで、お互いに腹を探っているところがありますし、なぜかユーベルとラントに便宜を図っている様にも見える動きをしているからです。
少し根拠は弱いのですが、こう推測するのが最も素直ですし、この推測はよく見かけます。(私もそう思います)
一つ、具体的な根拠を出しておきます。第14巻130話「水面下」における、デンケンとカノーネの会話です。

デンケン:任務の詳細を話せ。お前に与えられた任務のだ。
カノーネ:恐れながら、越権行為かと。
デンケン:越権行為か、興味深い回答だな。それは魔導特務隊の機密事項か? それとも――
カノーネの任務について聞き出そうとするデンケンに対して、カノーネは「越権行為かと」と抗弁します。それに対して、デンケンは「興味深い回答だな。それは魔導特務隊の機密事項か?それとも――」と言います。
ということは、デンケンは「カノーネは魔導特務隊とは別の組織からも指示を受けて動いている」と考えている様なのです。
デンケンの言葉はノイに遮られて、ここで二人の会話は中断されてしまいますが…
デンケンはこの時、「それは魔導特務隊の機密事項か?それとも大陸魔法協会の機密事項か?」と言おうとしたのではないでしょうか。なぜなら、影なる戦士や聖杖法院がカノーネに指示を出しているとは考えにくいからです。(皇帝の勅命もちょっとなさそう)
だとすれば、カノーネの正体はリネアールでしょう。
リネアール=カノーネという前提で次を考えてみます。
リネアールとユーベル姉
もう一つの推測として、リネアールはユーベルの姉なのではないか?というものがあります。
ユーベルに関する伏線の多くは帝国編で解決されるだろうというメタ的な予想を別とすれば、その根拠は次の二つくらいでしょうか。
一つは、ユーベルの杖とリネアールの杖(第138話)には刃が付いて近接戦対応になっており、形状が似ていること。
もう一つは、ユーベルの回想に現れるユーベル姉とリネアールの面影が似ていることです(第6巻54話と第13巻127話)。特にボリュームのあるロングヘアの感じが似ています。(ちなみに、カノーネもロングヘアですがボリュームはありませんね。カノーネの目は細く、そこも異なります。)


ただ、ユーベルはリネアールと一度だけ大陸魔法協会の北部支部(@オイサースト)で会っていて、その時ことをラントに語っているわけです。リネアールが姉だとしたら、そこで何もなかったとはちょっと考えにくいのですね。このときユーベルは既に特権魔法(姉貴が見つかる魔法)を持っていますから、気になることがあればその魔法を使ったはずでしょうし。けれども、ユーベルがラントに語ったことを素直に受け取るなら、特筆すべきような出来事は何もなかったのです。(ユーベルが嘘をついていたり隠し事をしている可能性はあります)
そこがこの説の難点です。
とは言え、リネアール=カノーネ=ユーベル姉だとすれば、正体不明の三人の女性の謎がきれいに解決しますので、魅力的な仮説です。もう少し考えてみましょう。
ユーベルの嘘
ユーベルとカノーネの関係については、一点、不可解なところがあります。
魔導特務隊に捕まったユーベルがラントと共に塔から脱出する際、ユーベルはカノーネと戦うという選択肢を取ろうとしませんでした。(第14巻131話)

これは全くユーベルらしくない行動です。普段のユーベルであればカノーネと戦おうとしてラントが止めるという展開になるはずでしょう。二対一の数的優位を作れていて、しかも、不意打ちが可能な状況なのです。なぜ、ユーベルはカノーネを殺そうとしなかったのでしょう。(なお、このときユーベルは視力を奪われていますからカノーネの姿は見えていません。声は聞いています)
どうも、この時のユーベルはカノーネが味方であることをわかっていたのではないか?そんな気がしますね。
そもそも、北部支部におけるユーベルとリネアールの出会いですが、蝶々を見ているリネアールをユーベルが一日中眺めていたというのは、あまりにも「下手な言い訳(嘘、誤魔化し)」だと感じませんか?
ですから、二人の出会いがユーベルがラントに語ったとおりの内容なのか?私は疑問を差し挟む余地があると思います。
帝国編のユーベルは、自分の過去を伏せたいがために各所で嘘をついているのではないでしょうか。(下の考察でもユーベルの下手な嘘を一つ指摘しています。ユーベルは影なる戦士と関係があった過去を隠していると思われます)
ユーベル・リネアール姉妹による復讐劇か?
そこで、ちょっと大胆な仮定を置いてみます。
ユーベルはラントに隠し事をしていて、北部支部でユーベルとリネアールは既に姉妹の再会を果たしている。そして、リネアールは自分がカノーネとして帝国に潜入している事実をユーベルに明かしている……
※別の考察から、ユーベルは姉(リネアール)が一級魔法使いとしてゼーリエの下で活動していることを以前から知っていたと考えています。ユーベルとゼーリエの面接時のやり取りからして、ゼーリエもこの姉妹関係を知っているでしょう。
そう考えると、かなり筋が通ってきます。
たとえば、次のコマのリネアールの表情は「まだまだ未熟だな…」という姉から妹への愛情を湛えている様にも見えてきます。(リネアールの動きには思わせ振りなものが多いので、疑い始めるとキリがないのですが)

また、先ほどの塔からの脱出の場面についても、カノーネがユーベルたちに味方するのはカノーネ=リネアールですから当然ですが、ユーベルの方もカノーネを味方だと認識しているから、カノーネとは戦おうとしなかった。それどころかカノーネと協力して状況を打開しようとしている。ということで理解できます。(ラントはカノーネが味方であることを知りませんから、カノーネの後ろを取って杖を構えています)
ユーベルはなぜか帝国編の任務に積極的です。
そして、ここまでユーベルとリネアールが連携を取っているところを見ると、二人の間で何らかの計画が共有されているのではないか。そして、ユーベルの目的は特定の誰かを殺すこと(復讐)ですから、もしかすると帝国編はユーベル・リネアール姉妹による復讐劇なのではないか?という気もしてくるのです。
※そうすると、ユーベルの「姉貴が見つかる魔法」は「カノーネがどこにいるのかわかる魔法」として機能するわけですが…
考察は以上ですが…
ノイはユーベルとフラーゼの類似を指摘しています。しかもカノーネとしても心当たりがあるようです。これはどう考えても伏線ですが、どう解決されるんでしょうね?



