見出し画像

何がフリーレンを殺すのか(ゼーリエの予言)

フリーレンがフランメの遺言状をゼーリエに持参するところから始まる回想シーンの後半に、フリーレンとゼーリエが森の中を歩きながら会話する場面があります。(第6巻第53話、アニメS1-EP25)

会話の流れは以下のとおりです。

  1. フランメの思い出

  2. 人間の寿命について

  3. (ゼーリエ)「人間の時代がやってくる」

  4. (ゼーリエ)「お前を殺す者がいるとすれば、それは魔王か、人間の魔法使いだ。」

  5. (フリーレン)「楽しみだねゼーリエ。この先沢山の魔法使いと色々な魔法が見られるんだね。」

ここで違和感があるのは、言葉のやり取りからは、フリーレンの「楽しみだねゼーリエ」はゼーリエの「人間の時代がやってくる」を受けたもので、「お前を殺す者がいるとすれば…」という予言を全く意に介していないように見えることです。

しかし、「お前は殺されるだろう」という物騒な予言を無視するのは相当に不自然です。

また、この回想はシュピーゲル(フリーレンの複製体)をフリーレンとフェルンが協力して倒そうとする場面で始まりす。そして、ゼーリエのこの予言の後には、アニメ版では「一番岩を打ち抜こうと修行するフェルン」がカットインされています。ということは、フリーレンが回想するきっかけは抽象的な「人間」ではなく、目の前にいる具体的な人間・フェルンです。つまり、この回想はゼーリエの言っていた「お前を殺す人間の魔法使い」と「フェルン」がフリーレンの中でつながったために始まったものです。だとすれば、当時のフリーレンがこの予言をスルーしていたとは考えにくいのです。

そこで、このゼーリエの予言をフリーレンがどう受け止めたのであれば会話の流れに組み込むことができるのか考えてみます。

これまでは、ゼーリエの「お前を殺す者がいるとすれば、それは魔王か、人間の魔法使いだ。」を「魔王または人間の魔法使いによってお前は殺される」と読んできました。

これでは、人間の魔法の目覚ましい発展について語っている会話の流れから浮いてしまいます。

そこで、次のように読みます。

「魔王または人間の魔法使いのために犠牲になってお前は死ぬ。」

ゼーリエがなぜそのようなことを言うかといえば、「人間の魔法使いのため」に関してはフランメの遺志をフリーレンが継ぐと考えたからでしょう(ゼーリエ自身は拒絶しています)。「魔王のため」については現時点ではわかりません。魔王による魂の研究が関係しているかもしれません。

フリーレンとしては自身が魔王のために死ぬことはあり得ません。ですから、自分は人間の魔法使いために死ぬのだと受け止めたはずでしょう。

これで会話の流れがつながります。

つまり、フリーレンの「楽しみだねゼーリエ。この先沢山の魔法使いと色々な魔法が見られるんだね」は次のようなります。

「私が守ることになる沢山の魔法使いと色々な魔法を、私は見ることが叶わないけれども、ゼーリエは見ることができるんだね。楽しみだね。」

この理解からは、人類の魔法の開祖フランメの遺産を、フリーレンが守り、フェルンに引き継ぐという構図を見ることができます。

人間の時代がやってきた暁には(エルフは歴史の表舞台から消えるので)フリーレンのことは忘れられてしまい、魔法を産んだ母フランメと、魔法を育てた母フェルンのみが人間の歴史に残るのではないでしょうか。(フリーレンが「歴史から消される」ことを「殺される」と捉えることも可能かもしれません。)

フランメは「おっさん」に歴史修正されつつあるので、魔法の父と母になっている可能性もありますが…。

補足

本稿の議論は、『葬送のフリーレン』結末予想のうち、「フリーレンが犠牲になるエンド」と関連します。

この同じ回想シーンのアニメ版からは、フリーレンはゼーリエに先立つ(ゼーリエよりも先に死ぬ)と考えられます。その根拠は下の記事を参照してください。

『葬送のフリーレン』に関する記事はこちらにまとめています。