ヒンメル=タイムトラベラー=南の勇者
言いたいことは記事タイトルに詰め込みました。『葬送のフリーレン』アニメ第2期の声優が発表されればわかってしまうのだと思いますが。(外していたら済みません。)
ヒンメル老化の不思議
『葬送のフリーレン』第1話を読んだ(観た)時に、多くの人が感じたこととして「ヒンメル、老け過ぎでは?」があるのではないでしょうか。
ヒンメルはエーラ流星を待つ間に26歳から76歳になっているので、ある程度老けるのは当然です。
ただ、ヒンメルは頭は剥げて髭を伸ばし、背は縮んで腰が曲がっているという「いかにもマンガ的」な「おじいさん」の姿に変わっています。貫禄が付いたという印象のハイターと比べるとヒンメルはかなり老け込んでいるように見えます。
ただ、大酒飲みや愛煙家が健康オタクより長生きすることも間々あることですし、老化具合は人それぞれなので、個人差で説明できるという気もします。(マンガですし…。)
また、このヒンメルの老化については、フリーレンから預かっていた「暗黒竜の角」の影響では?という考察も見ます。

いずれの説も、十分あり得ると感じますが、決め手には欠けます。
そこで、もう一つの説を立ててみます。残念ながら、この説にも決め手はありませんが、なるべく根拠を示します。
ヒンメル=タイムトラベラー
魔王討伐の祝いの宴で4人がエーラ流星を見て再会を約束し、勇者パーティを解散してから次のエーラ流星までの50年間、ヒンメルはかなり精力的に活動していたことがわかっています。
たとえば、
クヴァールの封印を毎年のように確認
「フィアラトール」について調査して、キーノ峠の「女神の石碑」まで赴く
その他には?
です。
そこで、勇者パーティ解散後から次のエーラ流星までの50年の間のどこかで、ヒンメルはタイムトラベルをしていたと考えてみましょう。
フリーレンがキーノ峠の「女神の石碑」で行った、意識だけが時間を移動するタイムリープではなくて、身体ごと時間を移動するタイムトラベル(タイムスリップ)です。
そうすると、この50年間でのヒンメルの急速な老化について、タイムトラベル先での時間経過およびタイムトラベルによる影響により身体の老化が進んだと説明できます。
タイムトラベルは、世界に10基あるという「女神の石碑」を使ったと考えられます。キーノ峠の石碑の効果はタイムリープでしたが、他の石碑の効果がキーノ峠の石碑と同じだとは限りません。タイムトラベル効果を持つ石碑が存在する可能性があります。
なお、ヒンメルは魔王討伐に「時間」を利用することには相当に意識的なはずです。おそらく、腐敗の賢老クヴァールの封印(80年後の未来のフリーレンが未来の魔法を使って討伐)から着想を得ているのでしょう(第5話)。これに関しては下記事をお読みください。
南の勇者=タイムトラベラー
ここで唐突ですが、「南の勇者はタイムトラベラーである」と考えられる根拠を挙げてみます。
南の勇者の遺体が見つかっていない
南の勇者は、シュラハトと相打ちして死んだとされています。(第7巻63話)
しかし、彼の遺体は見つかっていません。

フリーレンは「食べられちゃったんだと思う」と身も蓋もないことを言っていますが、どう見ても何かの伏線です。
これは相打ちを免れて未来に帰還したために遺体が見つかっていないと考えることができます。
なお、「相打ち」という結果の真偽は不明です。シュラハトが、マハトの南の勇者との戦いに関する記憶を消して、戦いの詳細をフリーレンに知られないように隠したからです。(第10巻88話)
南の勇者の予知能力
南の勇者は、フリーレンに対して「私には未来が見える」と言っています。

では、全知のシュラハトと同じ未来視の魔法を使えたのでしょうか?
しかし、未来視の魔法はあまりにも強力です。人類の魔法と比べると、その性能は別次元です。未来視の魔法が実在するとしたら、魔族の魔法でしょう。しかも、七崩賢クラスの。(なお、シュラハトは七崩賢ではなく、「魔王の服心」というポジションです。)
人類の魔法体系では「空間転移」の実在すら証明できていないのです。(第12巻108話)

人間である南の勇者に未来視の魔法が扱えるとは思えません。
そうすると、女神様の魔法でしょうか?
けれども、時間に関する魔法が記述されていると思しき「時巡りの鳥の章」は、これまでに魔法が見つかっていない「空白の章」です。しかも、解読には「長いものだと世代を跨いで何世紀も掛かる」はずです。(第12巻116話)

南の勇者が聖典を解読して未来視の魔法を習得していたとは考えにくいのです。
では、南の勇者は特別な超能力者なのでしょうか?
その可能性は否定できませんが、そこまで設定を広げるのはやり過ぎで、作品の世界観を損なうと感じます。
そこで、この南の勇者の「未来が見える」という能力について、未来からタイムトラベルして来た未来人だから「未来」を知っていると考えれば不自然がありません。
実際、南の勇者がシュラハトのように事細かに未来予知を繰り返している様子はありません。
南の勇者が未来について語っている内容は未来人(ヒンメル)なら知っている過去および予言の自己成就が可能な未来(自分の死)だけです。
南の勇者の魔法(ひみつ)
さらに、南の勇者は自身の「未来が見える」能力について、「私の魔法」と言っています。

いきなり現れたおっさんが「私の秘密」と言うのです。この言葉を聞いたフリーレンは「気持ち悪い。なんだこいつ?」と感じたのではないでしょうか。「未来が見える」能力を魔法だとは受け止めていないはずです。
「魔法」に「ひみつ」とルビが振ってあるのは、読者を「魔法」へミスリードするためのちょっとした叙述トリックです。「私の秘密」でも「私の能力」でもなく「私の魔法」であることに注意してください。
ヒンメルらしい茶目っ気を感じます。
(追記)七崩賢の魔法は「人類には決して扱えない」
ソリテールは七崩賢の魔法について「身体や脳の構造などの生物的な違いから、人類には決して扱えない魔法」だと言っています。(第10巻97話)

シュラハトは七崩賢ではないのですが(魔王の「腹心」)、完全未来視の魔法が七崩賢クラスであることは間違いないと思います。ゼーリエが「人類の中で完璧な未来の予測を実現した者は、私の知る限りでは一人しかいない」と言っているからです。(第145話)

ここからも南の勇者の未来視能力は未来視の魔法ではないと考えられます。
南の勇者の未来視能力が魔法とは別の超能力という可能性もなくはないのですが、それは新設定の濫用だと私は感じます。
自称「南の勇者」
ヒンメルと同時代人である「南の勇者」の名前が知られていないということは、名前を明かせない事情があったのでしょう。
メタ的な話をすれば、名前を明かせないということは、既に登場している人物と同一人物だろうと疑いたくなります。

また、「南の勇者」という呼び方がそもそもどこから生まれたものなのかわかりませんが、「南の勇者」と自称するのは明らかにおかしいです。
そこで「名前を明かせないなら、偽名を使えば良いではないか」というのが普通の発想で、格好をつけて「南の勇者」と名乗るところに、どこかヒンメルらしさを感じます。
ヒンメル=南の勇者
さて、記事タイトルでも示していますし、本文でも軽く触れているとおり、同じ世界の異なる時間に二人のタイムトラベラーが存在しているとしたら、この二人は同一人物だと先ずは考えてみるのが素直です。(もちろん、別人でこの世界に二人のタイムトラベラーが存在していた可能性もあります。)
つまり、「ヒンメルは過去にタイムトラベルして南の勇者として活動していた」と考えられます。
その目的は魔王の腹心・全知のシュラハトを討ち、勇者一行が魔王を倒すための道を「切り開く」ことです。

そうすると、南の勇者がフリーレンに会った際、ヒンメルのことをかなり気にかけていたのも納得できます。
予知能力者 vs. タイムトラベラー
シュラハト vs. 南の勇者(ヒンメル)は予知能力者 vs. タイムトラベラーという構図になっています。
フリーレンによれば、「今でも南の勇者と全知のシュラハトの戦いは続いている」という伝説もあるそうです。(第63話)

これは、シュラハトの「私はもう数えきれないほど予知した未来の世界で南の勇者と戦ってきた」と対応しています。(第89話)
つまり、シュラハトの行った未来予知が別の世界線(パラレルワールド、並行世界)として存在しており、現在にタイムトラベルしたヒンメルがシュラハトと戦っているのではないでしょうか。
シュラハトは様々なケースを想定して未来予知をしてみたのですが、全てタイムトラベルしてくる南の勇者(ヒンメル)によって討たれてしまう(あるいは、南の勇者を放置すればそれ以上に魔族にとって悪い結果を招く)ので、その中でも一番ましな「相打ち」という結果を選んだ。それが『葬送のフリーレン』で主に語られている世界線だというわけです。
このあたりの「予知能力者の戦略」についてはこちらのブログに詳細な分析がありますので、参考にさせていただきました。
おわりに
私、南の勇者を見た第一印象が「ヒンメルじゃん」でした。あのキザな感じや、演劇じみた振舞がいかにもヒンメルの変装姿なんですよね…。
この手の考察は苦手なので、気になるところなどコメントで教えて頂けると嬉しいです。
補足(回想シーンに関する注意)
自分で感じた疑問に対する自分なりの回答です。
【疑問】
第2巻第11話の「フワフワのかき氷を出す魔法」の回想シーンでは、南の勇者についてアイゼンが言及している。しかし、この時点ではヒンメルはまだタイムトラベルを行っていないのだから、南の勇者が登場するのは矛盾ではないか?
【回答】
ご指摘のとおり、勇者一行が「フワフワのかき氷を出す魔法」を発見した時点では、まだヒンメルはタイムトラベルを行っておらず、したがって南の勇者も存在しません。
しかし、この回想が行われているのはシュタルクが紅鏡竜を倒した直後であり、すなわち、ヒンメルがタイムトラベルを行った後です。
したがって、回想の内容にはヒンメルのタイムトラベルが反映されてしまっています。(過去改変が生じている)
本作で見られる回想シーンは、ほぼすべてこの形になっています。
つまり、ヒンメルがタイムトラベルを行う前の「最初の魔王討伐の旅」を、私たちはほとんど見ることができていません。(これを見ることができるのは、第1話前半の勇者パーティ解散までです。)
※ヒンメルがタイムトラベルをしていないとしても、フリーレンのキーノ峠でのタイムリープがあるので、いずれにせよそこで過去改変が生じています。
おそらくですが、最初の魔王討伐の旅ではヒンメルのタイムトラベルがなく(したがって、南の勇者は存在せず、シュラハトは存命)、フリーレンのキーノ峠でのタイムリープもなかったはずです。
そのため、魔王討伐の旅の結果は、ヒンメルたちとしては不本意なものとなったのではないでしょうか。具体的には、魔王を倒し切ることはできず封印したのだと考察します。(このことはフリーレンには秘密にしています。これに関しては別記事をいくつか書いています。)
そこで、ヒンメルは自身がタイムトラベルを行って南の勇者としてシュラハトを討つことや、フリーレンにタイムリープをさせて魔王と再戦することを決意したのでしょう。フリーレンのタイムリープについては下の記事をお読みください。
※ヒンメルがタイムトラベルを行う前の最初の魔王討伐の旅についての考察です。
※『葬送のフリーレン』に関する記事はこちらにまとめています。
