ハイターがフェルンを救ったのは「勇者ヒンメルならそうした」からなのか? 葬送のフリーレン 第2話
明確な答えを持っているわけではなくて、自分の疑問を整理した文章になります。何かコメントで教えていただけると嬉しいです。
なぜそこに疑問を感じるか
ハイターはなぜフェルンを救った(育てた)のでしょうか?
通常の理解では、ハイターが「勇者ヒンメル」をロールモデルとしていたことがその理由です。現に、フリーレンに問われたハイター自身が「勇者ヒンメルならそうしました」と答えています。(後述)
けれども、これは本心なのでしょうか?
なぜそこに疑問を感じるかというと、ハイターが孤児院の復興資金を拠出したエピソードがあるからです。(第24話 エルフの願望、S1-EP11B)

このとき、「まさかハイターがこの村の孤児院の復興資金を出すだなんて」とフリーレンに言われたハイターは「意外ですか?」「私も孤児でしたから」と答えています。「勇者ヒンメル」を理由にはしていません。しかも、「女神様も清く正しく生きた私を褒めてくださることでしょう」と偽善者ぶって照れ隠し(定番の「生臭坊主」のツッコミ待ち)までしているのです。

ということは、戦災孤児の存在はハイターにとって重要な関心事であり、「孤児院の復興」はハイターの心からの願いだったのではないかと思われるのです。(ハイターはヒンメルやアイゼンのように子供たちと一緒になって遊んだりはしません。表立ってそういう「善い行い」をすることは苦手なのです。けれども本心では子供たちのことをとても気にかけています。そのことに、フリーレンは80年後も気付いていませんが…)
そして、フェルンは戦災孤児です。
だとすれば、フェルンを救ったハイターの行動に「勇者ヒンメル」がどの程度の影響を与えていたのか?については検討の余地があると感じます。
第2話(僧侶の嘘)の検討
フリーレンは「なぜフェルンを救ったのか?」という疑問をハイターの前で二回も口にしています。
順番を前後させて二回目から見てみます。
二回目は魔導書の解読結果を報告した時です。ハイターは「勇者ヒンメルならそうしました」と答えました。ネットミームにもなったこの台詞が初登場した場面であり、「なぜフェルンを救ったのか?」という疑問への一応の答えになっています。

一回目はハイターの家を訪ねてフェルンについて「あの子は?」と尋ねた時です。
そして、フェルンが戦災孤児であることを聞いたフリーレンは「らしくないね。進んで人助けするような質じゃないでしょ。ヒンメルじゃあるまいし」と言います。
※余談ですが、もしフリーレンのこの言葉がフェルンの耳に入っていたら(すぐ隣の部屋でキノコの選別をしていたのですから、その可能性は十分あります)、幼いフェルンはどれほど心を痛めたことでしょう。フリーレンはここでフェルン自身(救う価値がない)とフェルンの育ての親であるハイター(他人を救うような人間ではない)の双方に対して否定的な評価を下しているのですから、幼フェルンにとってかなり残酷な発言です。フリーレンにはそういった想像力(優しさ)がありません。ここは、後のハイターの台詞「フリーレン、あなたは(優しくないように見えるけれども)やはり優しい子です」につながってきます。

質問の形を取っていなかったからなのか、ハイターは沈黙したままで、次の話題に移っています。このハイターの態度が意味深長です。
この沈黙の間、ハイターは、マンガ版では優しい表情をしてフリーレンを見ています。アニメ版では台所仕事をするフェルンの様子を見ながらフリーレンの言葉を聞いて「ふっ」と軽く嘆息しています(文章で表すのが難しいのでぜひ見直してみてください)。
マンガとアニメで表現が異なるところが興味深いです。ここでのハイターの感情に関して原作者からアニメ制作側に何らかの補足情報が伝えられているのでしょう。
何が「僧侶の嘘」なのか
最後に一つ。第2話のタイトル「僧侶の嘘」についてです。
これは通常、ハイターが真の目的(フェルンを一人前の魔法使いにする)を秘したまま魔導書の解読をフリーレンに依頼したことを指していると考えられています。
それはそうなのですが、ハイターが他にも嘘をついている可能性は排除できません。(「嘘」というか「隠し事」です)
というのも、「女神の石碑編」で明らかになるとおり、勇者パーティが解散した第1話後半からは、ヒンメル・ハイター・アイゼンの三人はフリーレンに隠してある活動を行っているからです。(第116話。帰還の魔法(フィアラトール)の調査、フリーレンをキーノ峠の女神の石碑まで導く準備、そしてフリーレンの旅の目的地をエンデに設定する準備…)
その活動の一環に「優秀な弟子を育て、フリーレンの旅に同行させる」という計画があったことは想像に難くありません。(もちろんハイターとアイゼンの弟子に対する愛情に偽りがあったとは思いませんが)
なぜなら、ハイターはフェルンに魔力制限を教えているからです。魔力制限は対魔族に特化した特殊な戦略で、魔法学校で教えるような通常の魔法技術ではありません。(森で迷ったフリーレンはフェルンの接近に気付いていませんでした。フリーレンはこの時に最初の違和感を感じ取っています。)

そう考えてみると、「勇者ヒンメルならそうしました」が「嘘」なのではないか?という気がしてきます。(真意が別の所にある)
つまり、ハイターは「勇者ヒンメルならそうしました」と言うことによって、フリーレンにロールモデルを与えて、彼女の行動をコントロールしていたのではないか。ハイターはフリーレンのヒンメルに対する気持ちを知っていますから、実はそこまで計算済みだったとしてもおかしくはない気がします。
実際、フリーレンは「じゃあ私も、そうするとするか」と言ってフェルンを弟子にしています。

参考
※『葬送のフリーレン』は「タイムリープ・タイムトラベルもの」だという理解をベースにした私なりの考察です。
※『葬送のフリーレン』に関する考察記事をたくさん(70以上)書いています。
