《葬送のフリーレン》大魔法使いの地位の承継とそのゼーリエによる承認(フランメからフリーレンへ)
フランメがフリーレンをゼーリエに引き合わせた場面と、フリーレンがフランメの遺言状を持参した場面。この二つの場面の意味を捉え直して読み替えてみました。ネタバレには配慮していません。
『葬送のフリーレン』の原作マンガはまだ読んだことがないという方には原作マンガを、既に読んだことのある方にはある一つの視点からの再読をお勧めしています。その訳をこちらの記事で説明していますのでお読みください。
はじめに
次回のアニメ『葬送のフリーレン』が「皇帝酒」(第8巻69話EP33A)なので、最近はミリアルデのことを考えています。
帝国編において、聖杖法院はデンケンの根回し先です。(なぜなら、フラーゼの手綱を握ることが根回しの目的で(第14巻130話)、フラーゼに対抗できる存在は聖杖法院しかないからです)


そうであれば、聖杖法院(ミリアルデ)は大陸魔法協会の味方として登場して、ゼーリエ達のピンチを救う…こんなストーリーを想像するのが素直でしょう。
その時、ミリアルデとフリーレンは、どんな会話をするのでしょう(二人は既に400年前に再会していますが)。そして、更に気になるのは、ミリアルデとゼーリエの会話です。
大魔法使いはゼーリエの弟子
ミリアルデとゼーリエの会話を想像するためには、二人の関係を知らなければなりません。当然、作中に描写はありません。
手掛かりがあるとすれば、二人とも同じ「大魔法使い」であることです。ですから、大魔法使いの地位と役割について理解することが必要で、私の理解は次の記事のとおりです。
ざっと説明しておくと、ゼーリエが女神様から四つの聖杖の証(大魔法使いの地位の証)を授かっていて、次のとおり承継していると考えています。
女神様 → ゼーリエ
女神様 → ゼーリエ → ミーヌス →(レーヴェにより殺害)
女神様 → ゼーリエ → ミリアルデ
女神様 → ゼーリエ → フランメ → フリーレン
1~3のゼーリエ、ミーヌス、ミリアルデが世に知られている「現存する三人の大魔法使い」です。(第14巻133話)

4のフリーレンがゲナウの言っていた「最後の大魔法使い」です。フランメの後継者は言わば「無名の大魔法使い」で、世に知られていなかったわけです。(第5巻45話)

ゼーリエが認めた者が大魔法使いになるという仕組みになっていますから、大魔法使いは全員ゼーリエの弟子ということになります。フリーレンにそのつもりはないと思いますが、ゼーリエの方では勝手に弟子したつもりでしょう。(というか「孫」認定している気がします)
帝国編の最後でミーヌスの聖杖の証が回収されるとすれば(二つに割れてしまっていますが)、ゼーリエが預かるのかもしれません。フェルンに渡すにはまだ早いかなと。
フランメからフリーレンへの大魔法使いの地位の承継
そんなことを考えている時に、ふと疑問に思ったのは…
なぜ、フランメはゼーリエにフリーレンを引き合わせたのだろう?(第5巻43話)
なぜ、フランメは自分の死をゼーリエに知らせたのだろう?(第6巻53話)
ということです。
もちろん、フランメとゼーリエの関係を考えれば何の不思議もありません。二人は親子のような絆で結ばれているのですから。
でも、実はこの二つの場面には、隠された意味があるのではないか? ゼーリエがフリーレンをフランメの後継者として認め、フリーレンに大魔法使いとしての心構えを説いた場面なのではないか? そんなふうに思えてきました。
これを前提にして二つの場面を読み替えてみます。
ゼーリエによる承認(大魔法使い試験)
フランメは「私が死んだときには大魔法使いの地位はこの子に承継するよ」とゼーリエに伝えて、承認を得るためにフリーレンを引き合わせます。

ゼーリエはフリーレンを試します。「大魔法使い試験(面接)」です。

実力は十分です。しかし…


フランメもフリーレンの「誤答」に気付いていますね。
そして、ゼーリエは「駄目だこの子は」、大魔法使いとしては認められないと言います。不合格です。

なぜなら、大魔法使いに必要な「燃え滾るような野心」が足りないからだと。

フランメは立ち上がってゼーリエに説明します。この子は大丈夫だ。この子は魔王を倒す。この子が平和な時代を切り開く。この子は私達を超える魔法使いになると。

ゼーリエは、そこまで言うなら勝手にしろ、ということでフリーレンを認めます。なんだかんだ言ってもゼーリエはフランメの選択を信じています。

※ここでのゼーリエによる「大魔法使い試験」は「一級魔法使い試験(第三次試験)」とよく似ています。ゼーリエが見ているのは魔法使いの実力と気概です。そして合格者には「特権」が与えられます。
フリーレンによる地位の承継
50年後、フランメはフリーレンに遺書を預けて、自らの死と大魔法使いの地位の承継をゼーリエに知らせました。

遺書を渡したフリーレンは立ち去ろうとしますが、ゼーリエは引き止めます。大魔法使いとして話しておきたいことがあるからです。

語り始めは亡きフランメの思い出話です。

それが徐々に自分達エルフと人間という種族のちがいの話になります。

フリーレンに伝えたのは、自分たちはエルフであり、人間とは本質的に異なる存在であること。
そして、魔族と人間を侮るなよ、大魔法使いとして「鍛錬を怠るなよ」ということです。

※ここでのゼーリエは「同族」であることを強く意識していると感じます。クラフトを思い出します。フリーレンは「何が言いたいの?」と言っていますが、本当に意味深です。クラフトはフリーレンがまだ若いことは見てわかるはずだと思いますが。(第3巻24話)

ゼーリエが求める「野心」
そんなふうに考えてみると、ゼーリエがフリーレンに求めていた「燃え滾るような野心」と「鍛錬を怠るなよ」という助言には、何か関係があるように思えてきます。
ゼーリエは、「お前を殺す者がいるとすれば、それは魔王か、人間の魔法使いだ」と言っています。「エルフ(わたしたち)は人間に追い抜かれる」とも言っています。
この台詞を素直に受け取るなら、ゼーリエが見据えているのは、エルフ、人間、魔族の三勢力の対立関係でしょう。
この対立に備えて「鍛錬を怠るな」と言っているように聞こえます。そして「燃え滾るような野心」とはこの三勢力の対立を制するような気概のことで、それがなければ大魔法使いは務まらない、と。そう言っているように聞こえます。
おわりに(人間の大魔法使い)
真面目に考えていたのですが、最後は自分でも突飛だと感じる結果になりました。
すぐに感じる疑問は、なぜゼーリエは人間であるフランメを大魔法使いにしたのか?ということです。
まず一つには、基本的にはエルフと人間は同盟関係にあって、人間の力をうまく利用する必要があるということなのかなと。大陸魔法協会の設立もそうですね。
また、ゼーリエはフランメを「気まぐれで育てた弟子」、「失敗作」と言っています。これはゼーリエのフランメに対する愛情とは無関係に、「大魔法使いの本来の役割」という観点からはやはり「気まぐれで育てた弟子」であり、「失敗作」なのではないかと。本来は優秀なエルフの魔法使いが大魔法使いになるべきであり、人間の大魔法使いは例外中の例外でしょう。
「大魔法使い試験」と「一級魔法使い試験」の類似を見ていると、ゼーリエが大陸魔法協会の設立で考えているのは「現代版・大魔法使い制度」なのかもしれないという気もします。
神話の時代にはもっとたくさんの大魔法使いがいましたが、聖杖の証は失われて現在残っているのは四つのみ。本物の大魔法使いと比べればずっと小粒ですが、それでもないよりはましだということで、一級魔法使いの仕組みを作ったのかなと。
以上、叩き台のような仮説です。場面の読み替えは自分でやっていてかなり面白かったです。あ、こんなふうにも読めるのかと。
ゼーリエは読者の知らないことを知っています。フリーレンよりも知識があります。
ですから、「これはこういう場面だ」という常識的な理解が間違っている場合があります。今日の夕食の話をしているつもりだったのに、実は明日の朝食の話だったといった勘違いです。思うに、フリーレンに対する面接の場面もそうです。
もしかすると、この記事で読み替えをした二つの場面もそうなのかもしれません。
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