受け継がれるTeen Spirit —— グランジ、ポストグランジ、ロックの遺伝子を追って
日曜の昼下がり。とある芸人のラジオを最後まで聴き終えてしまい、心地よい虚脱感と「やってしまった」という後悔が入り混じる、ぐったりとした「没落マン」の朝……いや、もう昼か。
そんな「ねむねむ王子」な状態でニュースを眺めていたら、ある数字が目に飛び込んできた。
ニルヴァーナ(Nirvana)の「Come As You Are」がSpotifyで20億回再生を突破。
1991年の金字塔『Nevermind』から、「Smells Like Teen Spirit」に続く2曲目の快挙だという。30年以上経ってもなお、世界はこの「不穏で、美しく、どこか投げやりな」サウンドを求め続けている。
コードや音符の前に「叫び」がある
ニルヴァーナはいまだ色あせないアイコンだ。 そこにはロックの基本、アティチュード、ファッション、サウンドスタイルのすべてが詰まっている。
だが、ファジーなギターやグランジ特有のアレンジを分析する前に、認めなきゃいけないことがある。あの音には、**音符やコード以前の「得体のしれない人間の叫び」**が詰まっているということだ。
それを表現したくて、僕らロッカーはサウンドを真似し、コードを書き、生き様を音に込めようと足掻いてきた。けれど、正直に言おう。
「まあ、一生無理だな」
あの領域に到達することなんて、きっと一生できない。 年齢も体力もガタがきて、世の中に中指を叩きつけてやりたい衝動はあっても、物理的には「隠居中年ロッカー」だ。
枯れたからこそ、伝えられる「歪み」がある
それでも、僕はできるだけやってみたいと思う。 自分が到達できなくても、あの「得体のしれない何か」を言葉にしたり、ギターサウンドを投稿したりすることで、次世代のロック野郎にDNAの欠片でも伝えられたらと思っている。
流行を追うのには疲れた。けれど、海外に目を向ければ、今でも90年代グランジのDNAを正しく受け継ぐバンドたちが牙を剥いている。
例えば、オーストラリアのTired Lion(タァィア・ライオン)。
2020年のアルバム『Breakfast For Pathetics』に収録された「Waterbed」を聴いてみてほしい。
[YouTube:Tired Lion - Waterbed]
イントロから漂うダイナソーJr.的なローファイ感。サビで一気に爆発するコードストロークと、ソフィー・ホープスのガッツあるシャウト。そこにはニルヴァーナやホール(Hole)が持っていた、あの「焦燥感」が宿っている。
こういうバンドがまだ世界に種をまき続けている。それだけで、少しだけ救われたような気分になる。
すべてのロック野郎たちへ
日本がどうなっているかなんて、おっさんの僕にはもうよくわからない。 けれど、今この瞬間も「何か」に対して叫びたい衝動を抱えているボーイズ・アンド・ガールズ、そしていまだにロックが手放せないおっちゃん、おばちゃんたちへ。
体はだるくても、魂まで没落させる必要はない。
午後の仕事が嫌になっても、耳元に少しの歪んだギターがあれば、まだ戦える。
Keep on Rockin'.
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