『ちりたん』制作秘話②自由に作るために、あえて32枚にした話
①がまだの方は下記からどうぞ
『ちりたん』というゲームを制作しました。


今回は、ゲーム制作…かと思いきや、選考中の話をしていきます。
選考中に話し合った内容
VTuberに関わってもらいながらゲームを制作するうえで、最初に大事だと思ったのは「舵取り」でした。
こうしたプロジェクトは、可能性が広がる一方で、制限がないとどんどん大きくなっていきます。
あれもできる。
これも入れたい。
せっかくなら、もっとこうしたい。
そうやって広がっていくこと自体は悪いことではありません。ただ、広がりすぎると、どこに向かっているのかがわからなくなります。
大体、人類は自由にやれると言われると、だいたい盛り込みすぎます。
自由とは便利な言葉ですが、制作現場ではわりと魔物です。
だからこそ、最初に枠を決めることが大切だと考えました。
そこで提案したのが、「32枚のカードゲームにする」という制限です。
ゆにさんはデザインのプロですが、ボードゲーム制作は初めてです。
ゲームのテーマや方向性がまだ決まりきっていない段階で、カード枚数まで自由にしてしまうと、制作の規模が読めなくなります。
どれくらいのデザイン量になるのか。
どれくらいのイラストが必要になるのか。
原価はいくらくらいになるのか。
入稿から納品まで、どれくらいのスケジュールが必要なのか。
そうしたことが見えにくくなってしまいます。
その点、32枚という枠があると、考えやすくなります。
仮に32枚すべてが違うデザインになったとしても、32枚までならなんとか現実的な範囲で進められそうです。
カード構成も把握しやすく、原価計算もしやすく、入稿から発送までの見通しも立てやすくなります。
ゲームを作るというと、どうしてもルールや面白さに目が向きがちです。
もちろん、それはとても大事です。
でも実際には、制作量、デザイン量、印刷、原価、スケジュール、納品まで含めて考える必要があります。
僕自身、これまでゲーム制作をチームでも一人でも進めてきた経験があるので、その大変さは身に沁みています。だからこそ、今回は経験者として、最初に枠を決めておく必要があると感じていました。
元々のテーマは「デザイン×VTuber×教育」でした。そこから話し合いを重ねる中で、「VTuber×デザイン×ゲーム」という方向へ進んでいきました。
ただ、この掛け合わせはかなり可能性があります。可能性があるということは、同時に広がりすぎる危険もあるということです。
だからこそ、32枚という制限を置く。
これは小さくするための制限ではなく、ちゃんと完成まで持っていくための制限でした。
そのうえで、ゆにさんがデザイナー兼プロデューサー的な立場で最終的な判断をし、僕がディレクター兼ゲームデザイナーとして制作を進める形にしました。
それぞれの役割を明確にすることで、誰が何を判断し、誰がどこを進めるのかを見えやすくしていきました。
ゆにさんのVTuberに対する想い
ここで、少しだけ脱線します。
ただ、この話は僕からも伝えておきたいなと思っています。
ゆにさんは、VTuber業界をもっと盛り上げたいという想いを持っています。それだけでなく、VTuberのセカンドキャリアについても考えていました。
イメージとしては、プロスポーツ選手に近いかもしれません。
現役のVTuberとして活躍できる環境を広げていくこと。そして、その先にある活動やキャリアの選択肢も作っていくこと。
そんな未来を見ているのだと感じました。
今回のボードゲーム企画でも、VTuberが「PRで入りました」という形にはしたくない、という話が印象に残っています。単に宣伝役として関わるのではなく、企画の段階からしっかり入ってもらう。
そして最終的に、
「このゲームを企画しました」
「私も一緒に作りました」
と胸を張って言えるような流れを作りたい。
ゆにさんは、そういう想いを持っていました。
僕自身も、その考えにはとても共感しています。
だからこそ、今回の制作では、VTuberの方を単なるゲストやPR担当としてではなく、3人目のパートナーとして迎えることを大切にしました。
ゲーム制作の枠を決めること。
役割を整理すること。
そして、関わる人がちゃんと主体的に参加できる状態を作ること。
このあたりは、今回の『ちりたん』制作において、かなり大事な土台だったと思います。
次回は、実際に赤穂しゅなさんを迎えて、どのようにゲームの方向性を決めていったのかについて書いていきます。
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