連載小説 サンタドロップス(20)
それから俺は毎週末、少年野球のコーチに明け暮れた。
大好きな野球に関われる嬉しさに加え、あかねさんに会える事が俺には大きな喜びだった。
あかねさんは常に練習に来て、保護者達と共にチームの為にあれこれ世話を焼いた。とびきり美人で明るく気立ても良いあかねさんに俺は益々惹かれて行った。
ある日の練習試合でチームが惨敗した事があった。
「今日の様なプレーでは、目標の全国大会など絶対行けないぞ!」
イライラして俺はつい太郎君に当たってしまった。太郎君は目に涙を一杯に溜め、唇を真一文字に結び俺の事をジッと見つめていた。
「三田コーチ、僕もっともっと練習して上手くなるから!」
太郎君は泥だらけのユニフォームの袖で涙を拭いながら言った。感情を剥き出しにしてしまった俺とは真逆で、太郎君はどこまでも直向きだった。
言い過ぎたと俺は反省した。太郎君に期待する余りついつい熱くなってしまった。一番悔しい思いをしているのは誰よりも太郎君のはずなのに。
そんなやり取りをあかねさんが後ろで聞いていた。
つづく
