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IVRy流 Enterprise Sales Playbook──「プロダクトを売る」を超えて「構造を変える」

こんにちは。株式会社IVRy(アイブリー)の宮原(@shinobu_m814です。

2023年8月に事業開発責任者(VP of BizDev)として入社し対話型音声AI SaaS「アイブリー」を軸に、事業開発案件の創出と実行に加えて、将来の理想像からバックキャスティングした際の全社課題を解決していく役割を担っています。

入社の動機やこれまでの経験にご興味がある方は、入社エントリやその他の公開情報を読んでいただけると嬉しいです。

私は現在、エンタープライズ領域における、SLG(Solution-Led Growth:ソリューション主導の成長)型事業の立ち上げと拡大に取り組んでいます。

この領域では、プロダクト単体の機能や価値訴求だけでは不十分です。
真に問われるのは、複雑な意思決定構造や業務オペレーションの慣性にどう働きかけ、「プロダクトを起点に、ビジネス構造を変革する」ことができるかという点です。

直近半年間、AIを活用した「音声コミュニケーションの業務統合」というテーマに本気で向き合い続けるなかで、その重要性を改めて確信しました。

その確信を形にしたのが、IVRy独自の “Enterprise Sales Playbook” です。
偶発的な受注ではなく、構造的な勝ち筋を再現するための、チーム全員で使える共通言語として整理しました。

つまり、このPlaybookは、属人的な成功に頼らず、チームとして価値を生み出し続けるための指針となります。

たとえば「AIで電話対応を自動化する」で終わらせるのではなく、その対話データをCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)や業務プロセスに統合し、現場の構造をどう再設計できるかまで描き切ること。

セールスがその変化を設計する主体となったとき、顧客への提案は「プロダクトを売る行為」から「ビジネス構造を変える営み」へと進化します。


なぜ、いま Enterprise Sales Playbook をつくるのか?

きっかけは、田井さん(@yoshiki_taiの入社でした。
彼の参画によって、私自身が久しぶりにエンタープライズセールスの最前線に立ち戻る強いきっかけをもらいました。

田井さんは、Salesforce JapanにてSalesforce Marketing Cloudの日本市場における立ち上げと拡大を主導し、執行役員として多くのエンタープライズ企業の変革を支援してきた方です。

国内有数のトップセールスが持つ視座や構造理解、価値の翻訳力に触れることで、自らの理解や解像度が一段と引き上げられていくのを実感しています。

そんな田井さんの参画により、IVRyはこれまで以上に「本質的なエンタープライズセールス」と真正面から向き合うフェーズに入りました。

属人的な成功に頼らず、「構造を動かす力」をチームとして再現し続けるにはどうするか──
その挑戦に、いま私たちは本気で踏み出しています。

IVRyが目指す「構造変革型プロダクト」とは?

IVRyのプロダクトは、いわゆる「電話の自動応答ツール」とは一線を画します。

私たちが取り組んでいるのは、単なる省人化ではなく、業務プロセス全体を再設計し、組織の意思決定構造そのものを変えることです。

そのために、次のような機能を実装しています。

  • AI/LLM(大規模言語モデル)を活用し、誤情報(ハルシネーション)ゼロを前提とした対話エンジンを設計し、顧客接点の信頼性を担保

  • 24時間365日、柔軟な聞き返しや分岐に対応し、用件の聴取からシステム連携までを自動で完結し、業務処理の非属人化を実現

  • SalesforceやGenesysといった主要CRM/CTI(Computer Telephony Integration:コンピュータ電話統合)、各種データウェアハウスと連携し、顧客接点データを業務フローに双方向で統合し、部門横断のデータ活用を可能に

  • 通話内容からFAQや応答スクリプトを自動生成し、現場の知識を組織全体のナレッジとして循環させ、継続的な改善を内製化

こうした取り組みによって、単なる現場レベルの効率化にとどまらず、「業務プロセスの標準化」「データ駆動による迅速な意思決定」「全社的な顧客体験の統合」といった、企業全体の変革を実現します。

つまり、IVRyが目指すのはアナログで複雑な「電話チャネル」を入口に、顧客の未来のあり方を形づくる「構造変革型プロダクト」です。

その実践のためには、営業という行為自体が「構造を動かす力」を備えていなければなりません。

気づけば、「売っている」のではなく「構造を動かしていた」

一見、偶発的成功に見えた案件も、その背景を構造的に読み解くことで、共通する勝ち筋が浮かび上がってきました。

「先方の担当者が優秀だった」「CxOクラスとつながっていた」といった要素も、実際には構造に働きかける営業が機能した結果にすぎません。

たとえば、

  • ある全国展開するホテルチェーン

    • 予約電話が集中し、フロントの負担が大きく、IT部門はセキュリティ要件への対応を重視。経営層は人手不足とコスト削減を課題視していました。PoC(Proof of Concept:概念実証)では三層それぞれに響く評価指標を設計し、最終的に全国数百店舗への標準導入へと発展。

  • ある全国フランチャイズを展開する飲食チェーン

    • 繁忙期に予約や問い合わせの電話が集中し、スタッフが接客と受電の両立に追われ、機会損失も発生。応答自動化を起点に、フランチャイズ全体で「店舗体験を均一化する」仕組みへと進展。

  • ある全国規模の小売チェーン

    • 接客中に電話に出られず、問い合わせや注文機会を逃す課題。アイブリー導入により、顧客体験を維持しながら、電話対応を効率化し、店舗運営の負担を削減。

  • ある全国規模で営業拠点を展開するBtoBサービス企業

    • 営業所ごとに受電が業務を圧迫し、リモートワーク推進も阻害。アイブリーによる自動化率90%超を達成し、情報共有も標準化。結果として組織全体の働き方改革に直結。

これらに共通していたのは、個々の条件や担当者の力量ではなく、事前に構造を解きほぐし、再設計したうえで戦略的に臨んでいたことです。

すなわち、

  • 現場・IT部門・経営層それぞれが「自分ごと」として納得できる導入ストーリーが緻密に描かれていた

  • PoC段階で「突破すべき要件」が数値や指標として具体化され、関係者間で判断基準として共有されていた

  • BizDev(Pre-Salesを含む)・CS(カスタマーサクセス)・PdM(プロダクトマネージャー)・エンジニアが連携し、単発の機能提案にとどまらず「構造的な価値」をチームとして一貫して届けていた

という点に尽きます。

つまり、成功とは偶然の産物ではなく、「構造を解き、再設計し、構造を動かす」ことを積み重ねた必然の成果なのです。

そのノウハウを形式知として蓄積し、誰もが再現可能なナレッジと行動のフレームワークこそが、私たちがいま定義したPlaybookなのです。

顧客区分によってアカウントプランに違いが生まれる理由

IVRyでは現在、SLGにおける顧客を、事業規模に応じて次のように区分しています。

  • GB(General Business):比較的規模の大きい中堅企業

  • EP(Enterprise):全国的に事業を展開する大企業

  • SA(Strategic Account):業界を代表し、市場全体に影響力を持つ戦略的企業

この区分によって、アカウントプランの描き方は大きく異なります。

同じプロダクトであっても、「どこで・誰が・どのように使うか」によって、巻き込むステークホルダー(利害関係者)やエクスパンション(顧客の利用拡大)の時間軸はまったく変わってくるのです。

より具体的にイメージしていただくために、ここでは「事業所・店舗向け」と「コールセンター向け」の2つのケースで整理します。

① 事業所・店舗向け

  • GB:エリア単位・事業部単位での導入から始まりやすく、意思決定のスピードも比較的高い。PoC成果がそのまま短期的な横展開に結びつきやすい。

  • EP:全国規模のチェーン展開により、現場・エリア・本部の三層にまたがる調整が必須。PoCの設計段階から「どの階層にどの指標を響かせるか」を明確にし、拠点展開計画まで含めたロードマップが求められる。

  • SA:数千〜数万単位の拠点を抱えるレベル。導入は現場改善ではなく、本部主導の全社標準化プロジェクトとなり、経営層のコミットメントと長期的ガバナンス設計が成功の前提となる。

② コールセンター向け

  • GB:コールセンターの席数は20〜30人程度と比較的小規模で、意思決定の柔軟性が高く、1年以内での全社展開も視野に入れやすい。

  • EP:席数規模が大きく、業務フローや委託先との契約構造も複雑。エクスパンションには複数年をかけた段階的な展開が求められる。

  • SA:全国にまたがる複数拠点・事業部で構成されることが多く、標準化と運用定着には中長期のロードマップと経営層のコミットメントが成功の前提となる。

「最初の勝ち筋」と「中長期のアカウントプラン」の両方を構造的に描くためには、「事業規模 × ユースケース」というマトリクス視点が不可欠です。

単発の商談で終わらせるのではなく、顧客のビジネス構造を見通した営業設計を最初から組み立てていくことが、私たちには求められているのです。

構造に働きかける営業を、誰もができるようにするために

ここまで述べてきたように、IVRyのエンタープライズセールスは、プロダクトを売ることにとどまりません。

私たちが向き合っているのは、部門間の分断、複雑な稟議プロセス、現場と経営の意識ギャップといった、顧客が抱える構造そのものです。

この構造に価値を届け、さらに再設計へと踏み込むためには、高度な状況理解と、組織を横断した連携が前提条件となります。

そしてそれは、属人的な「経験」や「センス」に頼るのではなく、誰もが再現できる方法論として整備されていなければなりません。

その答えとして、私はエンタープライズセールスを実践するうえでの共通言語として「8つの原則」を定義しました。

これはIVRy独自の “Enterprise Sales Playbook” を形づくる中核であり、チームの思考と行動を統一する羅針盤です。

もちろん、これは完成形ではありません。
事業も組織も変化し続ける以上、原則は更新され、Playbookも進化し続けるのです。

IVRy流 Enterprise Sales Playbook における「8つの原則」

原則1:構造から入り、構造に働きかける

エンタープライズセールスでは、課題ベースではなく構造に対して価値を設計します。

たとえばIVRyでは、AIによるヒアリング完結をゴールとせず、CRMへの正確な連携や業務全体の再設計までを前提に進めます。

構造を起点にした価値設計こそが、再現可能な提案を生み出す確かな出発点になります。

原則2:意思決定構造を可視化し、先回りする

エンタープライズセールスでは、製品の優劣ではなく、意思決定の「停滞ポイント」を特定し、情報と資料を先に整えることで流れを作ります。

たとえばIVRyでは、現場・IT・セキュリティ・法務・経営企画など複数の関係部門を特定し、それぞれの判断軸に応じた資料を初期段階から整えています。

意思決定の詰まりを構造として捉え、先手で動くことが、実行力を大きく左右します。

原則3:社内とパートナーを巻き込む「組織 × 組織」の営業

エンタープライズセールスでは、営業担当だけで完結させず、社内外を横断した「チームとしての体制」そのものを武器にし、個人を超えた実装力を発揮します。

たとえばIVRyでは、BizDev・CS・PdM・エンジニアに加え、社外のパートナーも含めた横断チームを編成し、提案から実装・定着までを担います。

「誰が売るか」ではなく、「チームとしてどう届けるか」が成果の質を変えます。

原則4:複数の勝ち筋を設計する(Multi-threading)

エンタープライズセールスでは、1人のキーマンや単一の価値提案に依存せず、複数の勝ち筋を意図的に設計して並走させます。

たとえばIVRyでは、現場には業務効率、IT部門にはセキュリティと連携要件、経営層にはROIや全社インパクトという独立した仮説・KPI・接点を用意し、単一路線の停滞リスクを分散します。

複数経路を設計することが、通過率を引き上げ、スケールへの道を拓きます。

原則5:PoCは「検証」ではなく「意思決定の階段」

エンタープライズセールスでは、PoCを単なる検証ではなく、次フェーズへ移行するための意思決定ステップと位置づけます。

たとえばIVRyでは、KPI・ステークホルダー・実装計画の三点を逆算しながら、PoCを意思決定の加速装置として機能させます。

「なぜPoCをやるのか」を明確に設計することが、次の導入判断を引き出します。

原則6:翻訳者として、構造のギャップをつなぐ

エンタープライズセールスでは、部門ごとに異なる言語や論理を翻訳し、意思決定の断絶を橋渡しします。

たとえばIVRyでは、現場には業務負荷の軽減、IT部門にはセキュリティとシステム整合性、経営層にはROI・リスク低減・意思決定スピードを提示し、部門横断の理解を導入ストーリーへ統合します。

異なる視座を翻訳し統合することが、合意形成を必然へと変えます。

原則7:導入後の活用・拡張まで設計するアカウントプランニング

エンタープライズセールスでは、初期導入を単発で終わらせず、活用・展開・標準化までを視野にアカウントプランを描きます。

たとえばIVRyでは、「AI応答 → CRM連携 → DWH統合 → ナレッジ化 → 意思決定支援」までの一連の流れを事前に整理し、導入計画へ織り込みます。

「短期の成果」ではなく、「長期の拡張」を描くことが、持続的な成長の設計図となります。

原則8:勝ち筋を形式知に変え、再現性を高める

エンタープライズセールスでは、現場の学びを暗黙知にとどめず、形式知として蓄積します。

たとえばIVRyでは、PoCの突破要因や失注理由を体系化し、再利用可能なナレッジとして全社に共有します。

「勝ち筋」を仕組み化することが、事業の成⻑曲線を押し上げ、持続的な成果を⽀えます。

おわりに──構造を動かし続けるチームであるために

Playbookは、私ひとりで完結するものではありません。
セールス、BizDev、CS、PdM、エンジニア──
チーム全員で育てていく共通言語であり、思考と行動の羅針盤です。

IVRyが変えたいのは、電話の体験だけではなく、顧客のビジネス構造そのものです。
だからこそ、私たちの取り組みも「個人の力」ではなく、「構造を動かす力」によって支えられる必要があります。

ここに記した内容は、まだ第一歩にすぎません。
日々の案件で得た学びを形式知へと変換し、チームでアップデートし続ける。
この循環こそが、IVRyが目指す「構造変革型プロダクト」の実践であり、SLGにおけるGTM(Go-to-Market:市場進出)戦略を支える文化としての仕組みです。

そして私たちはこう考えます──

個人ではなく、構造で動かす。
学びを積み重ね、文化へと根づかせる。
営業にとどまらず、ビジネスそのものを変革する。

この姿勢こそが、IVRyにおけるエンタープライズセールスの真髄です。

私たちのPlaybookに「完成形」はありません。
積み上げた学びを勝ち筋として体系化し、再現性へと変えていく。

それこそがIVRyの競争優位であり、ここで働く確かな意義です。

難しくもやりがいのある問いに共感できる方と、ぜひ一緒に挑戦したい。
ともに未来を築ける仲間と出会えることを、心から楽しみにしています。


この記事を読んで「IVRyのことがちょっと気になるな」と思っていただけた方は、カジュアルなつながりから始めませんか?
IVRyでは以下の2つの方法をご用意しています。

① キャリア登録(情報収集をご希望の方に)
イベント情報や新しい募集ポジションなどをお届けします。まずは情報収集から、という方におすすめです。

② カジュアル面談(まず話してみたい方に)
IVRyの社員とざっくばらんに話す場をご用意しています。選考ではございませんので、お気軽にエントリーください。


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そんな環境の中で、未来を一緒に創っていける仲間との出会いを、心から楽しみにしています。

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