【葬送のフリーレン】テーマのリフレイン:記憶の継承①
漫画「葬送のフリーレン」には、様々なリフレイン(繰り返し)が組み込まれています。それらを意識しながら読み進めるのも、この漫画の一つの楽しみだと考えています。リフレインの種類についての概要はリンクを参照して頂き、以下では具体例について紹介します。
対象は単行本全10巻97話までですので、ネタバレを避けたい方は読むのを止めて下さい。
本記事で紹介するのは、テーマのリフレインの「記憶の継承」です。
「記憶の継承」について
漫画「葬送のフリーレン」では、過去の出来事の記憶を次世代へ継承するために、フリーレン達が何らかの行動をすることが度々あります。例えば、ある村の勇者の銅像を綺麗にすることで、そこにあった勇者の旅の記憶を呼び起こす手伝いをしたり、または勇者の旅の記憶を持つ村が、魔物に襲われて危機にあるところを救うことなどが、例として挙げられます。
フリーレンがフェルンやシュタルクに勇者一行の冒険譚を話すのも、広義では「記憶の継承」とも言えますが、本記事で取り扱うのは、少なくとも人間の一生より長く、記憶の継承が行われる可能性の高いもののみを対象とします。
以下では具体例を用いて、何の記憶を継承し、フリーレンがどのようにそれに貢献したかを説明したいと思います。
「記憶の継承」の具体例
第3話 蒼月草
・継承する記憶
ヒンメルが村を襲った魔物と必死に戦った。
・フリーレンの貢献
フリーレン一行がヒンメルの銅像の錆を落とし、その周りに蒼月草の花畑を添えた。
蒼月草の花を選んだのはフリーレンの個人的なこだわりでしたが、結果的に大陸で一旦絶滅したと思われた植物を復活させたので、それは村の観光資源として活用されて、記憶がより広く長く継承されることに役立つのではないかと想像しています。

第5話 人を殺す魔法
・継承する記憶
勇者一行がクヴァールを封印して、その地方を救った。
・フリーレンの貢献
フリーレン一行がクヴァールを討伐し、その地方の不安要素を取り除いた。
クヴァールの封印が解けないか、ヒンメルが定期的に確認していたので、他の村と比べて勇者一行の記憶がはっきり残っている印象を受ける。記憶の継承もしばらく続くだろう。

第13話 解放祭
・継承する記憶
勇者一行がその地域を支配していた魔族を討伐した。
・フリーレンの貢献
フリーレン一行が崖崩れによる土砂を取り除いて、塞がっていた道を開通させ、荷馬車をその先の町に連れて行くことができた。おそらくその荷馬車には、勇者一行が魔族を討伐した日を祝う解放祭に使う物資が載せられており、その解放祭が無事行われたことで、フリーレン達は記憶の継承に間接的に貢献した。
この話では、銅像を作ってもらう理由をヒンメルが言及しています。銅像などで勇者一行の旅の記憶を継承していくことで、長い人生を歩むフリーレンを一人ぼっちにさせないようにするという、ヒンメルなりの優しさが理由にありました。

第14~23話 断頭台のアウラ編
・継承する記憶
勇者一行がアウラの配下のほとんどを討伐し、グラナト伯爵領を救った。
・フリーレンの貢献
フリーレン一行がアウラとその配下を完全に討伐し、グラナト伯爵領を救った。
過去のアウラと不死の軍勢との戦闘と違う所は、フリーレンがほとんど軍勢を傷つけずに戦闘を完了させた点で、ヒンメルと共にフリーレンの名も長く語り継がれることになると考えられます。


第25話 剣の里
・継承する記憶
ヒンメルが勇者の剣を引き抜かずに、魔王討伐を達成した。
・フリーレンの貢献
里の周りの魔物、特に山の主を討伐して、里の安全を確保した。
この話は「記憶の継承」の特殊な例で、ヒンメルが勇者の剣を引き抜かなかった事実も継承しますが、引き抜いたという偽物の英雄譚も世間へ流布されるように、里長が意図的に事実を秘密にしていました。フリーレン以外の他の冒険者に、魔物の討伐依頼を出さなかったのがその証拠です。個人的には事実も格好良いので秘密にする必要はないかなと思いますが、秘密でなくなるとフリーレンが剣の里を訪れる理由が薄くなるので、秘密にしているのはフリーレンとの交流を大事にしている里長の都合なのかなと想像しています。

第33話 フォル爺
・継承する記憶
フリーレンとフォル爺との会話内容
・フリーレンの貢献
フォル爺の記憶を未来へ連れて行くことを約束した。
この話も「記憶の継承」の特殊な例で、フォル爺という個人の記憶をフリーレンが継承するというものでした。フリーレンはフォル爺がヒンメル達を知る機会をくれたことに感謝しており、その恩返しというのが、記憶を継承する一つの理由だと思われます。
また知る機会というのは、勇者一行とフォル爺との会話の流れで、ヒンメルがフリーレンに、勇者一行の旅の記憶を未来に連れて行く役割を与えたことだと思われます。フォル爺との会話も勇者一行の大切な記憶なので、役割を果たすために記憶の継承を約束したとも解釈できます。


このフォル爺の回は、様々な解釈ができる場面が数多くあるので、別記事にて詳細な部分の個人的な解釈を書きたいと思います。
長くなりましたので、他の具体例については以下の記事に分けたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
