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バイト代をもらいすぎだと思った経験の記憶がふとよみがえる


はじめに


 学生時代にはいろいろアルバイトした。友人のピンチヒッターとして代わりに出向いたことも。そんなときはたいていふつうに終わらないもの。

きょうはそんな話。

ある日


 たしか大学2年の今ぐらいの季節。まちがいなく休日だった。授業がないのでいつもよりゆっくりとした朝、いつもより遅くまでふとんにもぐりこんだまま。

木造アパートの、廊下の足音につづいて戸をたたく音で目覚める。外からわたしの名を呼ぶ声で友人のひとりとすぐにわかった。いそいで起き上がり寝姿そのままで、戸をあける。いつものバイクのつなぎの姿であわただしく一方的に「朝早くにすまん。」のひとことにつづいて、彼は何やからと一方的に話しはじめた。

半分寝ぼけて聞いていたが、どうやらバイト仲間が急遽来れなくなったらしく、代理を探しているとわたしに向かって言っているらしかった。

代理で


 道理で手にヘルメットをふたつにぎっている理由がようやくつかめた。これは応じるしかないかとふたつ返事。あわただしく服を着替えて何も食べないまま彼からヘルメットのひとつを渡された。とうぜんだがバイト先の事務所で待機する社員の方のもとへ急いで向かうらしい。

ようやく目が開いて表のあかるさに目がまだ慣れないうちに、彼の250ccのバイクの後ろに。あれ~ふたり乗りしたことあったかなと思う間もなく、彼はいつものごとくバイクを始動、「掴まれよ。」と声をかけられたと思ったと同時に表通りに出た。

郊外へ

 どこをどういったか思い出せぬまま、測量事務所の社員のおふたりが待つ駐車場。彼がわたしのことを手短に紹介してくれた。「今日はお願いします。」と頭をさげた。勝手のわかっている友人のするとおり、残りの用具のいくつかをワゴン車のうしろに運び入れ、「準備できました。」の合図とともに4人で出発。

街の郊外へ。こちらもどこをどういったのかわからない谷あいの集落近く。現場はヤブか畑のあとのような場所。

突然に


 ここを測量をするつもりらしい。友人とわたしはその作業がスムーズにすすむように、つまり機器の視界が整うようにヤブの草木を切り払う。友人のほうは大学の実習で測量の経験があり、しかも農家出身とあってこういった作業は身についている。しかし町なか生まれでそれまでそんな山仕事の経験のないわたしには細竹すらナタが入らない。

社員のおひとりが「貸してみろ」とわたしのナタではらってみせてくれた。なるほどとまねてみる。どうにかコツをつかめて数本を刈り、よそへ移したころあいで本降りの雨。

雨で


 「一旦、作業中止。機械を車へ。」の指示で友人とふたりで用具を車へもどす。20分近く車内で雨宿り。

ますます雨は激しくなり先に昼食をすますことに。近所の街道沿いの食堂へ移動しここで昼食。昼食代は会社持ちらしい。友人が「ここは待遇がいいから。」とひと言。たしかに納得。

こうした外作業の方々は安全のため昼休みは確実にからだを休めるらしいと知った。いつものとおりのようすらしいが、わたしにははじめて見る光景。ここまでぐっすり休まなくてもというぐらいゆっくり時間がすぎる。

おわりに

 社員の上司の方が、降り止まない雨と空を交互に見つつ事務所と電話で相談。こののちも大雨の予報らしい。「本日の作業は中止。」の声がかかる。わたしは友人と顔を見合わせた。

そのまま事務所へもどり、わたしは事務員の方から「金額を確認して署名してね」と指図を受けて、封筒入りの日当をいただく。友人から事前に伝えられた満額の日当が入っていた。半日お世話になった社員の方々にあいさつしてその日はそのまま帰った。すこしだけうしろめたさのある面白い体験だった。


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