なにげなくスーパーで手にしたある格安の食材を研究の材料に使えて思うこと
はじめに
大学で教育と研究のお手伝い。なにも科学研究の対象は高価で入手困難なものを選ぶ必然性はないし、それで研究の価値が違うものでない。身近で手に入りやすいものならばいちばんいい。ここ数年はいずれもそんな素材ばかり扱う。ある材料は交流のある方の縁で無償で手に入れられた。そして今回のものはなにげなく店で手にした百円余りのものから研究が開花した。
きょうはそんな話。
研究費はない
現政権において、大学の運営費が増額の方向にあるらしい(予算の審議がまだなのでキャンセルになるかも…)。おそらく増えた分は、ひろく浅く配るうちに間接経費などに消えてしまい、末端の研究室にはおそらくすずめのなみだほども届かないだろう。だからまったく期待しない。
それならばくふうあるのみ。ない袖は振れないから研究にかかる費用は自分もち。わたしは民間人なのでほかで稼いだ分から出費するから、なるべく安くですませたい。生活費をけずりあてがうわけだから、なるべく百円単位で済む素材が望ましい。
きょうも発展途上国の研究者が、最新の機器や手法を用いてなかなか興味深い論文を記しているのを目にする。もはやここにはそんな大がかりな機器を動かしつづける考えはない。ならば機器にたよらず手を動かし、時間と手間をかけて実験すればいい。古い手法の維持・継承にもなる。
店でさがす
そこでスーパーでさがす。なるべく加工度のすすんでいないもとの素材に近いものほどいい。年中ほぼ目にしていつでも買えるものが望ましい。ここにならぶものはたいていがいちばん安いもので百円前後。そのなかで買えるといちばんいい。
生鮮コーナーのはずれ、その目的の素材がみつかった。塩をまぶしてあるだけなのでほぼねらいどおり。これならば冷蔵保存でながもちして使える。実験をやりたいときにすこしずつ取りだして使える。1回の操作の費用はわずか5円ほど。これならばわたし個人の懐のダメージは小さくて済む。この研究で一流の国際学術雑誌への投稿を本気でねらうつもり。教科書の一部を書き換えるほどの気概で臨んでいる。
古い器具で
その実験に用いる機材はいずれも古いものから使っていく。ディスポーザブルの高価なプラスチック素材の器材は使わず、ほとんどがガラス製のものを洗いながらくりかえし使う。消耗していくばかりなので長くもたせるためにていねいにとりあつかう。したがって操作中であっても物音はほぼしない。ガラスどうしが触れ合うなどリスクの高いことをなるべく避ける。
ガラスなので慎重に洗うので安全対策になる。いずれも過去のまだこうしたガラス器具を買えた時分の頃の遺物で、耐熱性の高い比較的高価なシロモノ。粗雑にあつかうとそれこそかんたんに割れてしまう。たびかさなる実験に耐えて透明のまま長持ちさせるにはそれなりに技術がいる。ていねいにとりあつかい、実験の途上で置いたままにせずにただちに洗う。
するとけっこう透明度を維持したまま何年使いつづけても新品のように維持できる。おなじ人物が同様の操作に使う限りモノの傷みはごく小さいもの。何人もで共用するとただちに傷んですりガラスのようになり、よごれやすく使いづらくなりがち。
これがねらいか
財務省の本音は「研究費をあてがわずに研究成果だけは出せ。」だろう。「御上のことにはまちがいはございますまいから」、そのお望みのしたがいたんたんとやるだけ。もっとも、コストパーフォーマンスよくそれなりの成果をだすことができた研究者ほど評価されてもよいのでは。たとえば
発表論文のインパクトファクター/研究費用
この数値が大きいほど成果として評価する。あながち冗談でもない。8ケタや9ケタも研究費を得ながら、成果の論文や学会発表はたったこれだけ?というよりはるかにいいのでは。わたしも以前にそんな立場に一時期だけいてプレッシャーを味わった。いまは研究のお手伝いをしているだけに過ぎないが。
おわりに
以前に申請・採択された経験から提案したい。科研費の新ジャンルとして、もっとかんたんに年中申請できるタイプを設けてはどうか。以下のようなもの。いわばかつての「運営費」に近いかもしれない。
審査基準は所属や氏名は不記載とし、書類に不備がない条件だけでほぼ助成してもらえる。
審査の手間を大幅に省けて、申請額はごく少額(数万~十数万円程度)。
審査に通り、期間内で成果(発表、論文のアクセプト)が出て研究継続を希望すれば、それに応じて増額してもらえる。
その研究費の出納状況は、ネット上で常時だれでも見れるように公開。
そんなシステムにしたほうが、審査の手間を大幅に省けて、研究投資への「コスパ」もよく、しかも比較的少額で広く行き渡る。一部の利害者がきっと反対するんだろうなあ。
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