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店のにんじんのなかで、かたちや見てくれのふぞろいのほうを手に取りがちなのは栽培していた頃を思い出すから


はじめに


 店でやさいを買うようになり7年目。それまでは常備野菜といわれるものはいずれも自家栽培していた。いちどきに食べきれないほど採れるので販売していたといっていい。その頃は、正直なところ今の買う立場になる状況は想像できなかった。

店のひとつひとつのやさいには、それぞれかならず生産される方々がいて、まちがいなくご苦労なさっている。それを思うと応援したくなり、なるべくふぞろいのものや見てくれのいまひとつのほうを選びがちになる。

きょうはそんな話。

店で買うまえ


 さまざま試行錯誤しつつやさいを作っていただけに、こんなにきれいにつくれるなんてと店で見惚れる。わたしはやさいのなかでは中玉トマトをいちばん得意にしていた。房なりのもの、しゃれたふたつき容器入りのブランドラベルをつけて、いち早く露地の促成栽培で店に出した。30パック(240個)をほぼ毎日出しても売れていく。すこしずつ食べるという消費者の方々の声を伺ったことがヒントになり、そういう「売り方」をまなべた。

中玉トマトはあまり見なくなりさびしいが、いちばんよくつくっていた当時の新品種はどういうわけか今も残り、取引されていてうれしい。

当時はあたらしい品種で周囲よりもいち早くつくりはじめ、店の担当者の方の評判もよく、定期的においてほしい要望をもらったり、地元と東京のレストランの経営者の方から取引してほしいとのお話をいただいたりするなどトマト専門でいこうかなと思う時期もあった。

かれこれ7年


 はやいもので昨今の流行病の状況下で、順調に行きかけた学習サポートと農業の兼業はピンチに。またたくまにはたけしごとに手が回らなくなり、そのとたんにやさいや果物を買う立場に変わった。自然相手のしごとなのにどうしてと思われそうだが、そうもいかない。当時、本業の学習サポートのほうをいかにつづけるかに意識を集中させないと廃業が近くにしのびよる状況にあった。

そうでなくとも長くつづけてきた教室が使えない状況でネットへのきりかえが必須。しかしネットの開設がままならないご家庭が多く、それが原因でおやめになる方々がけっこうな数に。

流行り病がきっかけで


 のんびりやさいをつくっている状況ではなかったが、あせりはなかった。さまざまやりさえすればネット開設で残りの方々はつづけてくださると、ほぼ自分に言い聞かせるようにやり、なんとかしのげた。だが畑は壊滅的な動物害がとどめとなり、やめる結果に。あまりに被害が度重なり、何度も耐えて尽力するだけの気力を失った。

自然災害に見舞われる一方で、もちろん順調なときにはやさいとくだものの販売で、現在の買う費用の何倍かを稼げた。やさいによっては経費の何十倍もの金額を売り上げることも。農業とはいえ、販売や加工品の生産・販売までおこなう6次産業化までいくとなおさら収入は大きくなる場合もある。そんな堅固で軌道に乗った経営をされる方を訪問させていただきお話をうかがえた。そこまでにたどりつくご苦労とともに、ものはやりようだなとつくづく思った。

おわりに


 今は、やさいやくだものを買うのにこんなに費用がかかるのかとあらためて思う。それはそうで作るほうの経費もさまざま高騰している。店にならぶ値段もそれなりに高値にならざるを得ない。それがわかるだけに、おなじねだんの袋のなかでいちばん売れ残りそうなものから選ぶことがよくある。

処分品の棚にならぶ品はなおさら同情したくなる。わたしも販売していた頃は、わずかに売れ残ったみずからつくった商品をひきとりに向かっていた。その経験があるだけ、最後まで残ったやさいの生産者のことを応援したくなり、手に取って精算に向かいたくなる。


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