扱いづらい人は、組織の異常検知センサーかもしれない
組織には、扱いづらい人がいる。
会議で空気を読まずに質問する。
みんなが流した論点を掘り返す。
決まったことに後から異議を出す。
上司の説明に納得しない。
制度の矛盾に細かく気づく。
「それ、本当に意味ありますか」と言う。
周囲は、少し疲れる。
また始まった。
そこは流してほしい。
今それを言う必要があるのか。
もう決まったことなのに。
もっと大人になってほしい。
そう感じることはある。
たしかに、扱いづらい人の中には、単に攻撃的な人もいる。
批判したいだけの人。
自分の正しさを証明したい人。
他者を下げることで存在感を出す人。
合意形成の責任を持たずに反対だけする人。
これは、組織にとって消耗である。
しかし、すべての扱いづらさを「問題行動」として処理してよいのだろうか。
ここに、かなり厄介な問いがある。
組織が「扱いやすい人」だけで満たされた時、本当に健全なのか。
誰も反対しない。
誰も違和感を出さない。
誰も決定の前提を疑わない。
誰も顧客の不満を持ち込まない。
誰も制度の矛盾を指摘しない。
その状態は、平和に見える。
しかし、静かに危ない。
私は、扱いづらい人をこう捉えたい。
扱いづらい人の一部は、組織の異常検知センサーである。
ただし、センサーはうるさい。
センサーは空気を読まない。
センサーは、気づきたくないものにも反応する。
だから組織は、センサーを止めたくなる。
しかし、止めた瞬間、組織は見たいものだけを見るようになる。
先に結論
扱いづらい人は、すべて大切にすればよいわけではない。
しかし、すべて排除すればよいわけでもない。
分ける必要がある。
一つ目: 破壊的な扱いづらさ
これは、組織や他者を傷つける扱いづらさである。
人格攻撃。
皮肉。
責任を持たない批判。
合意した後の妨害。
周囲への威圧。
情報の抱え込み。
被害者ポジションからの支配。
これは、放置してはいけない。
心理的安全性やチームの協働を壊す。
二つ目: 建設的な扱いづらさ
これは、組織にとって必要な違和感を出す扱いづらさである。
前提を問う。
リスクを指摘する。
少数意見を出す。
顧客視点を持ち込む。
制度の矛盾を見つける。
意思決定の甘さを突く。
これは、短期的には面倒である。
しかし、長期的には組織の学習につながることがある。
三つ目: 問題は、扱いづらい人そのものではなく、扱いづらさを処理する組織能力である
扱いづらい人がいること自体より、組織がその声をどう扱うかが重要である。
潰すのか。
放置するのか。
人格問題にするのか。
論点に変換するのか。
ルールに乗せるのか。
責任ある提案へ育てるのか。
ここに、組織の成熟度が出る。
四つ目: 建設的な扱いづらさには、器がいる
本人にも器がいる。
組織にも器がいる。
本人には、異論を出すだけでなく、対話と責任を持つ力がいる。
組織には、異論を不忠や面倒ごととして潰さず、改善情報として扱う力がいる。
今回扱う研究
今回は、「扱いづらい人」を性格の問題としてではなく、組織行動の研究から見る。
主に参照するのは、従業員の発言行動、建設的逸脱、創造的逸脱、少数意見、心理的安全性である。
1. 従業員の発言行動の研究
内容: 従業員の発言行動を、単なる不満表明ではなく、組織を改善するための建設的な挑戦として扱った研究である。今回の記事では、扱いづらい発言の一部を、組織改善に向かうプロモーティブな行動として読む。
著者: Linn Van Dyne、Jeffrey A. LePine
論文: Helping and Voice Extra-Role Behaviors: Evidence of Construct and Predictive Validity
掲載誌: Academy of Management Journal、1998年
2. 発言行動の統合レビュー
内容: 従業員の発言行動に関する研究を整理し、なぜ人が声を上げるのか、どのような条件で発言するのか、発言がどのように扱われるのかを検討したレビューである。今回の記事では、扱いづらさを「言い方の問題」だけでなく、組織が声を上げさせる構造を持っているかという問題として読む。
著者: Elizabeth W. Morrison
論文: Employee Voice Behavior: Integration and Directions for Future Research
掲載誌: Academy of Management Annals、2011年
3. 建設的逸脱のレビュー
内容: 組織の規範やルールから外れる行動の中にも、組織や関係者にとって有益なものがあるとして、建設的逸脱を整理したレビューである。今回の記事では、扱いづらい人の一部を、単なる逸脱者ではなく、既存ルールでは拾えない価値を見つける存在として読む。
著者: Abhijeet K. Vadera、Michael G. Pratt、Pooja Mishra
論文: Constructive Deviance in Organizations
掲載誌: Journal of Management、2013年
4. 創造的逸脱の研究
内容: 組織から止められた新しいアイデアを、従業員が非公式に進めるような行動を、創造的逸脱として捉えた研究である。今回の記事では、組織の公式判断が常に正しいとは限らず、扱いづらい人が未来の価値を先に見ている場合があるという補助線として読む。
著者: Charalampos Mainemelis
論文: Stealing Fire: Creative Deviance in the Evolution of New Ideas
掲載誌: Academy of Management Review、2010年
5. 少数意見と創造性の研究
内容: 少数派の異論や反対意見が、集団の思考を揺さぶり、より多様な情報処理や創造性につながる可能性を扱う研究領域である。今回の記事では、扱いづらい少数意見を、単なる邪魔ではなく、集団思考を破る刺激として読む。
著者: Charlan Jeanne Nemeth ら
研究領域: Minority Dissent、Group Creativity、Decision Making
6. 心理的安全性の研究
内容: チーム内で対人リスクを取っても大丈夫だと感じられる状態が、学習行動や発言に関わることを扱った研究である。今回の記事では、扱いづらい声を人格問題にせず、学習情報として扱うための土台として読む。
著者: Amy C. Edmondson
研究領域: Psychological Safety、Team Learning
扱いづらい人とは何か
扱いづらい人とは、周囲の期待通りに滑らかに動かない人である。
空気を読む。
流れに合わせる。
上司の意図を汲む。
決まったことに従う。
波風を立てない。
このような組織の暗黙ルールに対して、どこかで引っかかる。
ただし、扱いづらい理由は一つではない。
扱いづらさには種類がある
一つは、感情的な扱いづらさである。
怒りっぽい。
被害的に受け取る。
対話が攻撃になる。
自分の正しさを譲れない。
これは周囲を消耗させる。
もう一つは、認知的な扱いづらさである。
前提を疑う。
細部の矛盾に気づく。
曖昧な合意を嫌がる。
論点の粗さを放置できない。
これは面倒だが、組織の思考を深くすることがある。
さらに、倫理的な扱いづらさもある。
不正を見過ごせない。
顧客に不利益な運用を疑う。
社員に不公平な制度を指摘する。
数字のために境界線を越えることを拒む。
これは、短期的には邪魔に見える。
しかし、長期的には組織を守ることがある。
扱いづらさは、本人の問題だけではない
扱いづらい人を見る時、組織はすぐに本人の性格へ寄せる。
頑固。
面倒。
協調性がない。
空気が読めない。
こだわりが強い。
もちろん、本人側の課題はある。
しかし、それだけではない。
組織の側が、異論を扱う器を持っていないこともある。
曖昧な決定をしたい組織にとって、明確化を求める人は扱いづらい。
責任をぼかしたい組織にとって、責任の所在を問う人は扱いづらい。
成果だけを追いたい組織にとって、倫理や顧客影響を問う人は扱いづらい。
つまり、扱いづらさは、本人の性格と組織の盲点がぶつかる場所に生まれる。
建設的な扱いづらさとは何か
建設的な扱いづらさとは、組織の現状に摩擦を起こすが、その摩擦が改善や学習につながる可能性を持っている状態である。
ただ反対するのではない。
ただ文句を言うのでもない。
組織が見落としているものを見せる。
一つ目: 前提を問い直す
建設的に扱いづらい人は、前提を問う。
なぜこの評価基準なのか。
なぜこの会議が必要なのか。
なぜこの顧客対応でよいのか。
なぜこの制度は現場に負荷をかけているのか。
なぜこの目標が正しいと言えるのか。
これは面倒である。
しかし、前提が間違っている時、前提を問う人がいなければ、組織はきれいに間違える。
二つ目: リスクを早く拾う
扱いづらい人は、リスクに敏感なことがある。
この運用はあとで問題になる。
この表現は顧客に誤解される。
この人員配置では現場がもたない。
この評価は不公平に見える。
この数字は一時的に良くても、後で反動が来る。
周囲は「細かい」と感じる。
しかし、組織の事故は、細かい違和感を見逃した先で起きる。
三つ目: 少数意見を出す
会議で一人だけ違うことを言う人がいる。
それは、空気を壊す。
しかし、少数意見は集団の思考を揺さぶる。
みんなが同じ方向を見ている時、別の角度から問いを出す。
その意見が最終的に採用されなくても、検討の質を上げることがある。
四つ目: 顧客や現場の不快な真実を持ち込む
扱いづらい人は、現場の不快な真実を持ち込むことがある。
顧客は本当は納得していない。
現場はこの制度を信用していない。
若手はこの評価を不公平だと思っている。
管理職はこの施策を回せない。
採用候補者にはこの説明では刺さらない。
組織は、自分に都合のよい情報を好む。
だから、不快な情報を持ち込む人は扱いづらくなる。
しかし、その情報こそが価値であることがある。
破壊的な扱いづらさとは何か
ここを曖昧にしてはいけない。
扱いづらい人を大切にしよう、という話は危険でもある。
なぜなら、破壊的な扱いづらさまで正当化してしまう可能性があるからである。
一つ目: 人格を攻撃する
論点ではなく、人を攻撃する。
あなたはわかっていない。
だからこの部署はだめなんだ。
こんなことも考えられないのか。
前から思っていたが、あなたの判断は甘い。
これは建設的ではない。
どれだけ論点が正しくても、人を傷つける形で出されると、組織は対話できなくなる。
二つ目: 責任を持たずに批判する
批判だけする。
代案は出さない。
実行には関わらない。
決まった後も協力しない。
失敗した時だけ「だから言った」と言う。
これは、建設的な発言ではない。
組織をよくする意志ではなく、自分の正しさを守る行動になっている。
三つ目: 場を支配する
扱いづらい人の中には、正論で場を支配する人がいる。
論理は強い。
知識もある。
指摘も鋭い。
しかし、周囲が発言できなくなる。
議論がその人のペースになる。
反対すると攻撃される。
これは、心理的安全性を壊す。
正しいことを言っていても、場を壊しているなら、組織としては扱いを間違えてはいけない。
四つ目: すべてを問題化する
何でも問題にする。
どんな小さな変更にも反対する。
少しの曖昧さも許容できない。
すべてに説明を求める。
すべてを制度や原則の話にする。
これも組織を疲弊させる。
建設的な扱いづらさには、重要な論点を選ぶ力がいる。
すべてに反応するセンサーは、アラームとして機能しない。
組織がやりがちな失敗
扱いづらい人に対して、組織はよく三つの失敗をする。
1. すぐに人格問題にする
あの人は面倒だ。
協調性がない。
空気が読めない。
扱いづらい。
このラベルを貼ると、組織は楽になる。
なぜなら、論点を見なくて済むからである。
しかし、その人が出している問いの中に本当の問題がある場合、組織は改善機会を失う。
2. 優秀だからと放置する
扱いづらいけど優秀だから。
成果を出しているから。
専門性が高いから。
顧客から評価されているから。
こう言って、破壊的な扱いづらさを放置する組織もある。
これは危ない。
周囲が黙る。
若手が萎縮する。
異論が出なくなる。
優秀な人が辞める。
一人の扱いづらさを放置した結果、組織全体の声が消えることがある。
3. 正しい声まで潰す
逆に、扱いづらい人への疲れから、組織がすべての異論を潰すこともある。
今は決まったことだから。
前向きに考えて。
それは不満に聞こえる。
もっと建設的に言って。
もちろん、言い方は大事である。
しかし、「建設的に言って」という言葉が、実際には異論封じに使われることがある。
本当に建設的な声かどうかは、耳障りのよさでは決まらない。
組織に必要な情報を含んでいるかで決まる。
人事はどう扱うべきか
人事が扱いづらい人を見る時、最初にすべきことは、本人の性格分析ではない。
その人の扱いづらさが、何を知らせているのかを見ることである。
1. 論点と態度を分ける
まず分ける。
論点は何か。
態度はどうか。
論点が正しくても、態度が破壊的な場合がある。
態度が柔らかくても、論点が浅い場合もある。
逆に、態度は少し荒いが、論点には価値がある場合もある。
ここを一緒にすると、組織は判断を誤る。
人事は、こう見る。
何を指摘しているのか。
それは事実か。
誰に影響しているのか。
繰り返し出ている論点か。
本人の言い方に改善余地はあるか。
組織側にも受け止めるべき点はあるか。
2. 異論を出すルートをつくる
扱いづらさが爆発する組織は、異論を出す正式なルートがないことが多い。
会議でしか言えない。
上司に直接言うしかない。
言ったら面倒な人扱いされる。
改善提案がどこに行くかわからない。
この状態では、異論は個人の勇気に依存する。
人事は、異論を出すルートをつくる必要がある。
評価制度への意見。
業務改善提案。
ハラスメントや倫理上の懸念。
顧客対応上のリスク。
制度運用の矛盾。
これらを適切に受け取る場所を分ける。
3. 批判を提案へ変換する型を渡す
扱いづらい人に必要なのは、黙らせることではない。
言い方と責任の持ち方を育てることである。
たとえば、こういう型を渡す。
何が起きているか。
なぜ問題だと思うか。
誰に影響しているか。
放置すると何が起きるか。
代案は何か。
自分はどこまで関わるか。
この型があると、批判は提案に変わりやすい。
4. 上司に「面倒な声」の扱い方を教える
上司は、扱いづらい声に疲れる。
だから、上司だけに任せると、潰すか、放置するかになりやすい。
管理職には、面倒な声の扱い方を教えた方がよい。
まず論点を聞く。
人格評価にしない。
感情的な言い方は境界線を引く。
事実確認をする。
採用できない場合も理由を返す。
提案者に実行責任を持たせる範囲を決める。
扱いづらい声を扱える管理職は、組織の学習能力を高める。
5. 破壊的行動には境界線を引く
建設的な扱いづらさを活かすには、破壊的な扱いづらさに境界線を引く必要がある。
人格攻撃は認めない。
威圧は認めない。
差別的発言は認めない。
合意後の妨害は扱う。
情報の抱え込みは是正する。
これを曖昧にすると、建設的な異論まで嫌われる。
安全な異論を守るには、破壊的な振る舞いを放置しないことが必要である。
扱いづらい本人に必要なこと
扱いづらい側にも、成長課題はある。
組織が悪い。
周囲が鈍い。
自分は正しい。
このままだと、建設的な扱いづらさは破壊的になっていく。
一つ目: 正しさより、届き方を見る
正しいことを言っているか。
それも大事である。
しかし、組織で仕事をするなら、届き方も大事である。
誰に言うのか。
いつ言うのか。
どの順番で言うのか。
どの言葉なら受け取られるのか。
相手が何を恐れているのか。
正しさは、届かなければ機能しない。
二つ目: 異論に責任を持つ
異論を出すなら、少し責任を持つ。
代案を出す。
情報を集める。
関係者を巻き込む。
検証する。
実行に一部関わる。
すべてを背負う必要はない。
しかし、言いっぱなしにしない。
異論に責任を持てる人は、扱いづらい人から、信頼される異論者へ変わる。
三つ目: すべてに反応しない
扱いづらい人は、違和感の感度が高いことがある。
これは強みである。
しかし、すべてに反応すると、周囲は疲れる。
どれが本当に重要か。
今言うべきか。
誰に言うべきか。
どの程度まで言うべきか。
この選択が必要である。
センサーは、感度だけでなく、優先順位が必要である。
四つ目: 自分の感情も客体化する
扱いづらい人は、論点の奥に感情を持っていることがある。
怒り。
失望。
焦り。
不信。
悔しさ。
正義感。
これらは悪くない。
しかし、感情が強すぎると、論点が届かなくなる。
自分は何に怒っているのか。
何を守りたいのか。
何を恐れているのか。
どの言い方なら論点が届くのか。
これを見られると、扱いづらさは成熟する。
一癖ある人を活かす組織の条件
一癖ある人を活かすには、きれいごとだけでは足りない。
「多様性が大事です」
「異論を歓迎します」
これだけでは機能しない。
必要なのは、異論を扱う具体的な条件である。
1. 異論を出しても不利益にならない
異論を出した人が評価で不利になる。
上司に嫌われる。
面倒な人として扱われる。
重要な情報から外される。
こうしたことが起きると、誰も声を上げなくなる。
心理的安全性は、優しい雰囲気ではない。
対人リスクを取っても大丈夫だと思える状態である。
2. 異論を検討する型がある
異論は、その場の空気で扱うと疲れる。
だから型がいる。
論点は何か。
事実は何か。
影響は何か。
緊急度はどれくらいか。
誰が判断するか。
採用しない場合、理由をどう返すか。
この型があると、異論は感情戦になりにくい。
3. 少数意見をすぐに多数決で潰さない
多数派が正しいとは限らない。
少数意見は、すぐに採用する必要はない。
しかし、すぐに潰してはいけない。
一度、問いとして置く。
その意見が示している前提は何か。
多数派が見落としている情報は何か。
採用しないとしても、検討する価値はあるか。
この一呼吸が、組織の思考を深くする。
4. 逸脱を無条件に称賛しない
建設的逸脱や創造的逸脱という言葉は魅力的である。
しかし、逸脱を無条件に称賛すると危ない。
ルールを破ってもよい。
上司の指示を無視してよい。
自分が正しいと思えば進めてよい。
そういう話ではない。
逸脱が建設的かどうかは、動機だけでは決まらない。
影響。
リスク。
透明性。
倫理。
説明責任。
組織への学習。
これらとセットで判断する必要がある。
違和感として締める
扱いづらい人は、組織にとって面倒である。
これは本当だ。
しかし、面倒なものの中には、価値がある。
人事制度の矛盾。
評価の不公平。
顧客への無理な約束。
現場に押しつけられた負荷。
会議で誰も言わない前提。
上司が聞きたくない情報。
扱いづらい人は、こうしたものに反応することがある。
その反応は、時に荒い。
言い方も未熟かもしれない。
周囲を疲れさせることもある。
それでも、その中に組織が見るべき信号が混ざっていることがある。
だから、扱いづらい人を見た時、人事や管理職が最初に問うべきなのは、
「この人をどう抑えるか」
ではない。
「この人は、何に反応しているのか」
である。
もちろん、破壊的な振る舞いは止める。
人格攻撃、威圧、妨害、無責任な批判は許さない。
しかし、論点まで潰さない。
ここが難しい。
扱いづらい人を活かす組織は、優しい組織ではない。
異論を構造化できる組織である。
怒りを論点に変える。
批判を提案に変える。
違和感を検討事項に変える。
少数意見を問いに変える。
逸脱を学習に変える。
これができる組織は強い。
逆に、扱いやすい人だけが評価される組織は、静かに弱くなる。
誰も波風を立てない。
誰も面倒なことを言わない。
誰もリスクを指摘しない。
誰も前提を疑わない。
そして、問題が大きくなってから気づく。
一癖ある人は、組織にとってノイズかもしれない。
しかし、ノイズの中には、未来の不具合を知らせる信号がある。
組織の成熟とは、ノイズをゼロにすることではない。
信号と騒音を聞き分ける力を持つことである。
関連記事
このテーマに近い記事も書いています。
優秀な人を集めても、チームが機能しない理由 パート2
チームが機能しない理由を、役割と構造から掘り下げています。組織におけるインテグリティは、信頼を生むだけでなく判断を守る
組織における誠実さが、判断と信頼に持つ機能を扱っています。関係論的能力主義とは、能力は個人の中だけにあるのか
能力を個人単体ではなく、関係の中で現れるものとして捉え直しています。
根拠・確認メモ
Van DyneとLePineの発言行動研究を確認した。従業員の発言は、単なる不満ではなく、組織改善を意図した建設的な挑戦行動として扱われている。
Morrisonの発言行動レビューを確認した。従業員が声を上げるかどうかは、個人の勇気だけでなく、組織の受け止め方、権力関係、リスク認識と関わる。
Vadera、Pratt、Mishraの建設的逸脱レビューを確認した。逸脱行動の中にも、組織やステークホルダーに有益なものがありうる。
Mainemelisの創造的逸脱研究を確認した。組織が止めたアイデアを非公式に進める行動が、後に創造的価値を持つことがある一方、説明責任やリスクの問題もある。
Nemethらの少数意見研究を確認した。少数派の異論は、集団の情報処理や創造性を刺激する可能性がある。
Edmondsonの心理的安全性研究を確認した。異論や懸念を出すには、対人リスクを取っても大丈夫だと思える環境が必要である。
#AI
#人事
#HR
#人事の仕事
#これからのHR
#組織開発
#マネジメント
#リーダーシップ
#心理的安全性
#建設的逸脱
#従業員の声
#少数意見
#創造性
#異論
#会議
#評価制度
#人材育成
#チームビルディング
#組織文化
#管理職
#問題社員
#扱いづらい人
#論文紹介
