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「この程度で相談していいのだろうか」と思っている経営者へ

「こんなことで相談しても、いいのでしょうか。」

経営相談が始まると、最初にこう言われることがあります。

売上が急激に落ちているわけではない。
資金繰りが今すぐ危ないわけでもない。
社員が一斉に辞めたわけでもない。
会社は、一応回っています。

だから経営者自身も、
「もっと深刻な会社が相談するものではないか。」
「自分で考えるべきことではないか。」
「こんな曖昧な状態では相談にならないのではないか。」

そう思っています。

でも、私はむしろ、その状態だからこそ相談する価値があると考えています。


問題はある。でも、何が問題なのか分からない。

これまで数多くの経営相談を受けてきましたが、本当に困っている経営者ほど、
「何に困っているのか、自分でも整理できていません。」
と言います。

ある方は、
「社員が動かないんです。」
と相談に来られました。

話を聞いていくと、

先代との関係。
古参社員との距離感。
新規事業への投資。
銀行との付き合い方。
会議の進め方。

すべてが頭の中で混ざっていました。

社員が動かないことだけが問題ではありません。

複数の論点が絡み合い、
どこから手を付ければよいか分からなくなっていたのです。

これは珍しいことではありません。

経営の問題は、一つずつ順番に起こるわけではないからです。

だから一人で考え続けるほど、
頭の中はさらに複雑になります。


相談するときは、質問が整理されていなければならない?

そう思っている経営者は少なくありません。

でも実際には、
話があちこちに飛んでも構いません。

途中で昔の話になっても構いません。
社員への愚痴でも構いません。
違和感だけでも構いません。

私は最初から整理された相談を期待していません。

むしろ、整理されていない話の中に、
本当に考えるべきテーマが隠れていることが多いからです。


本人が困っていることと、本当の問題は違うことがある

以前、
「営業を強化したい。」
という相談がありました。

ホームページを作り直そう。
営業代行を使おう。
広告を出そう。

そんな話でした。

でも詳しく聞いていくと、
そもそも誰の、どんな困りごとを解決する商品なのかが整理されていませんでした。

「ターゲットは全ての会社です。」
「競合はいません。」

そう話していました。

この状態で営業を増やしても、おそらく成果は出ません。

営業力の問題ではありません。
ホームページの問題でもありません。

問題は、
顧客が本当に困っていることが整理できていなかったことです。

商品から考え始めてしまい、
顧客の課題を十分に見られていませんでした。

現場では、このようなことがよくあります。

相談内容は「営業」。

でも、本当に整理する必要があったのは「顧客」でした。


私が最初に聞くこと

私は相談の最初に、
いきなり解決策を話すことはほとんどありません。

まず聞くのは、
「理想通りになっていたら、会社はどうなっていますか。」
ということです。

未来を当てるためではありません。

経営者が何を大切にしているのかを知るためです。

売上なのか。
利益なのか。
社員が自走する組織なのか。
事業承継を成功させることなのか。

会社によって答えは違います。

理想が違えば、
打ち手も変わります。

だから最初に、
理想。
そして現状。
その間にあるギャップ。

ここを整理していきます。


「頭が整理された」で終わらせない

相談の終わりによく言われるのが、
「頭が整理されました。」
という言葉です。

でも私は、
そこで終わらせません。

会社へ戻れば、
電話が鳴り、
会議があり、
日常業務が始まります。

そのままでは、
また元の状態に戻ってしまいます。

だから最後は、
「次の10日で何をするか」
まで整理します。

例えば、
・誰に話を聞くか
・どの数字を確認するか
・何を決めるか
・何をまだ決めないか

必要であれば、
ホワイトボード一枚、
またはA4一枚に整理して終わります。

大切なのは、
完璧な計画ではありません。

最初の一歩が明確になることです。


今日の整理

もし今、
何となくモヤモヤしていることがあるなら、
次の4つだけ書き出してみてください。

理想

5年後、会社がどんな状態になっていますか。

現状

今、実際にはどうなっていますか。
評価ではなく、事実を書いてみてください。

ギャップ

理想と現状の差は何でしょうか。

次の10日でやること

すべてを解決しようとせず、
まず一つだけ動けることを書いてみてください。

それだけでも、
次の判断はずっとしやすくなります。


相談は、
整理された質問を持っていく場所ではありません。

整理できていない頭の中を、
一緒に整理する場所です。

「この程度で相談していいのだろうか。」

そう思っている段階だからこそ、
まだ選択肢があります。

違和感が小さいうちに整理することは、
将来の大きな判断を助けてくれます。


次回予告

第2話|相談の60分で、本当は何をしているのか

相談が始まると、多くの経営者が最初にこう言います。

「今日は何から話せばいいですか。」

実は、その一言を聞くたびに私は、
「今日は整理できそうだ。」
と思います。

次回は、相談の60分で実際に何をしているのか、その中身をお伝えします。


※本記事の事例は、守秘義務に配慮し、一部内容を変更・再構成しています。


もし今、頭の中が整理できず、何から手を付ければいいか迷っているなら、一度整理してみませんか。

私は事業承継後の後継者、第二創業、新規事業責任者を中心に、経営者が自分で意思決定できる状態をつくる伴走支援を行っています。

▼初回相談・お問い合わせはこちら

熊谷 篤
実戦経営アドバイザー/中小企業診断士

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