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第1回“正しいのに伝わらない”を変える、承継者の第一歩

“正しい提案なのに、なぜ現場が動かないのか?” その答えは──

「この戦略でいきましょう!」
勇気を出して会議でそう提案した瞬間、シーンと静まり返る。
古参幹部は視線を落とし、若手従業員は「また始まった」という顔をしている。
沈黙に耐えきれず、心臓がドキドキする──。

そんな経験、ありませんか?

あなただけではありません。
多くの承継者が同じ壁にぶつかっています。
MBAやセミナー、経営書で学び、フレームワークも理論も頭に入っている。
分析もできる。計画も練った。
でも現場に持ち込んだ途端──
なぜ誰も動いてくれないんだ!?
この違和感に、私は年間400件以上のご相談で幾度となく直面してきました。


「正しい」戦略なのに、なぜ現場は動かないのか?
ある承継者の方はこう漏らしました。
「これだけしっかり考えて計画したのに、なぜ社内は協力してくれないのか…」
実は、学んだ内容が間違っているのではありません。
IPOを目指すスタートアップでも、老舗の承継企業でも、同じ現象は繰り返し起きています。

ケース1:新規事業を若手に任せたら…

  • 社長:「新規事業は若手中心で進める」

  • 古参幹部:(表面上は賛成しつつ)「そんなやり方じゃ現場が混乱する」と裏で結束

  • 若手:「結局は先代の顔色を見ないとダメなんでしょ」

結果、戦略は机上の空論扱いされ、社長は孤立…。

ケース2:KPIとPDCAを導入したら…

  • 社長:「KPIを設定してPDCAを回しましょう」

  • 古参幹部:「またカタカナか…」と苦笑。「今まで通りで十分だ」

  • 若手:「上が全然聞いてくれないので、やっても評価されない」

議論は進まず、社員の間では「社長は勉強かぶれだ」という陰口が広がってしまいました。


問題の本質:「翻訳」ができていない
理論的に正しい提案でも、現場の受け止め方次第で簡単に“空気が凍る”のです。
なぜか?
答えはシンプル。
理論を現場の言葉に翻訳できていないからです。
例:

  • ❌「顧客セグメント戦略で…」

  • ⭕「今のお客さんの中で、一番喜んでくれている人を一緒に探してみませんか?」

  • ❌「KPIを設定して進捗を可視化しましょう」

  • ⭕「毎週ホワイトボードに売上メモを貼って、みんなで拍手してみませんか?」

同じ内容でも、言葉と形を変えるだけで「理解される・動いてもらえる」可能性が大きく変わります


今日からできる実戦法
小さな一歩から始めてみましょう。
次の会議で提案する前に、こう言ってみてください。
「先代が守ってきたやり方を土台にしつつ、ここだけ少し変えてみませんか?」
この一言で、従業員の反応はガラリと変わります。

  • 「否定された」と思えば反発する

  • 「尊重されたうえで改善」と感じれば受け入れやすい

これは翻訳の第一歩です。
あなた自身も、相談相手から頭ごなしに否定されるより「受け入れてもらいながら改善点を示される」方が納得できるのではないでしょうか。


承継者としての役割
学んだ理論が会社で通用しないのは、理論が間違っているからではありません。
現場の言葉に翻訳できていないから動かないだけ
承継者がやるべきことは「理論を振り回すこと」ではなく、
「現場に通じる翻訳者」になること。
あなたの会社では、どんな理論を『翻訳』する必要がありますか?


まとめ

  • 学んだ理論が通用しないのは翻訳不足が原因

  • 現場の言葉に置き換えることから始める

  • 承継者の役割は「翻訳者」になること

  • 小さな言葉の変化から大きな変化が生まれる

※事例は一部加工しています。実在の企業・人物とは関係ありません。

次回は、「承継者を推そう3つの壁」について考察をしていきます。

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熊谷 篤(くまがい あつし)
実戦経営アドバイザー/中小企業診断士

年間400件以上の経営相談を行い、承継後3年以内の承継者を中心とした伴走支援を実施。VCでのIPO支援や、年商100億円規模企業の改善支援など、多様な現場で成果を創出。
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