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第9回壁打ちのあと、経営はどう変わるのか

60分の壁打ちというと、
「その場で少し整理される時間」
というイメージを持たれることがあります。

もちろん、それも間違いではありません。
ただ、実際に起きている変化は、もう少しその先にあります。

壁打ちの価値は、60分の中だけで完結するものではありません。
本当に意味があるのは、その後の経営の進み方が変わることです。

経営者は、日々たくさんのことを考えています。
・現場で起きていること。
・数字の変化。
・社員や幹部の反応。
・取引先との関係。
・新しくやりたいこと。
・気になっているリスク。
どれも大事で、どれも無視できません。

だからこそ、頭の中が混ざったままだと、
一応動いてはいるけれど、どこかで重さが残ります。

・会議はしているが、何となく前に進んでいる感じがしない
・判断はしているが、いつも迷いが残る
・やることは増えているのに、重要なことに集中できていない
・現場で動くほど、かえって論点が増えていく

こうした状態では、
「行動していない」わけではありません。
むしろ、動いているからこそ複雑になっていることが多いです。

壁打ちのあとに起きやすい変化は、
何か特別な正解を受け取ることではありません。

多くの場合、まず起きるのは、
経営の見え方が変わることです。

例えば、

・何が事実で、何が解釈なのかが分かる
・何を今決めるべきで、何はまだ保留してよいかが見える
・悩みの正体が「論点の多さ」なのか「判断基準の曖昧さ」なのかが分かる
・周囲の意見をどこまで参考にし、どこから自分で引き受けるべきかが整理される

こうしたことが整理されると、
同じ状況でも、感じる負荷がかなり変わります。

それまで
「全部重い」
と感じていたものが、

「これは今決める」
「これは事実確認が先」
「これは今月は保留でよい」
「これは自分の方針として言葉にする必要がある」
と分かれてくるからです。

すると、経営の進み方が変わります。

例えば、こんな変化が起きやすくなります。

・会議で話すべきことが絞られる
・社員や幹部への伝え方が明確になる
・次に確認すべきことがはっきりする
・新しい打ち手を増やす前に、何を止めるべきかが見える
・判断の先送りが減る
・自分の中で「この方向で進む」と決めやすくなる

これは、気合いが入るからではありません。
判断の構造が整うからです。

経営では、
やる気が出れば進むわけでも、
情報が増えれば決まるわけでもありません。

むしろ多くの場合、必要なのは、
何を前提に、何を守り、何を先に決めるか
を整理することです。

壁打ちのあとに起きる変化は、まさにそこです。

実際には、壁打ちの直後に
「これで全部解決した」
となるわけではありません。

ただ、

・今月やるべきことがはっきりした
・次の会議で何を決めるべきか見えた
・迷っていた理由が言葉になった
・自分の違和感がどこにあったのか分かった
・誰かの正解ではなく、自分の判断として持てるようになった

こうした変化が起きると、その後の1か月の動き方はかなり変わります。

特に大きいのは、
迷いがゼロになることではなく、迷ったままでも前に進めるようになることです。

経営では、不確実性がなくなることはほとんどありません。
新規事業でも、承継後の経営でも、組織の見直しでも、
最初から全部がクリアに見えることは少ないです。

それでも前に進める経営者は、
不安がない人ではありません。
不安と事実を分けて、判断の順番を持てている人です。

壁打ちで起きやすいのは、
まさにその状態に近づくことです。

「まだ全部は見えていない。
でも、次に何を見ればよいかは分かる」

「不安はある。
でも、何を基準に判断するかは整理できている」

「周囲の意見はある。
でも、最終的に自分がどこを引き受けるかは見えている」

こうなると、経営は少しずつ前に進みやすくなります。

壁打ちは、単に話してすっきりする時間ではありません。
アドバイスを受け取って終わる時間でもありません。

本質的には、
経営者が自分の判断軸に戻るための時間
です。

だからこそ、その場だけではなく、
その後の会議、判断、現場での動き方に変化が出てきます。

実際には、経営者の方から
「何をやるかより、何をやらないかが見えた」
「迷いが消えたわけではないが、進めるようになった」
「自分の中では分かっていたことが、言葉になって腹落ちした」
という形で表現されることも少なくありません。

壁打ちのあとに経営が変わるのは、
外から新しい何かを足すからではありません。

すでに頭の中にあったものを整理し、
順番を整え、
判断できる状態に戻るからです。

経営は、誰かが代わりに進めてくれるものではありません。
最終的には、自分で決め、自分で引き受けることになります。

だからこそ大事なのは、
答えを増やすことではなく、
自分の判断が機能する状態をつくることです。

壁打ちのあとに起きやすい変化は、
まさにその部分にあります。

「相談したその場だけで終わるのではなく、
その後の経営の進み方を変えたい」

そういう方にとって、この時間は機能しやすいです。

次回は、このマガジン全体のまとめとして、
実戦経営アドバイザーがどんな場面で、どのように使われるのかを整理します。

※本記事は、複数の支援経験をもとに再構成した内容です。実在の企業・人物とは関係ありません。

📩 判断に迷いがあるときの簡易チェック

次のような状態はありませんか?

□ 何が問題なのか、うまく言葉にできない
□ 論点が多すぎて、どこから考えるべきか分からない
□ 人に相談しても、整理されるより論点が増える
□ 決めたいことはあるが、判断基準がはっきりしない
□ 答えがほしいというより、まず頭の中を整えたい

もし2つ以上当てはまる場合、それは能力や経験の問題ではなく、論点や判断の順番が整理されていない状態かもしれません。

私は、「こうすべきです」と一方的に答えを示すのではなく、経営者が自分の前提・論点・判断軸を整理し、自分で決められる状態を整える支援を行っています。

60分の壁打ちでは
・いま何が混ざっているのか
・今回、何を判断したいのか
・その判断で守りたいものは何か
・次に何を確認し、どう動くべきか
を一緒に整理します。

まだ相談するほどか分からない、という段階でも問題ありません。
整理する前の混ざった状態にこそ、壁打ちの意味があるからです。

必要なタイミングかどうかを含めて、一度整理してみませんか。

👉 お問い合わせ
https://jissenstrategy.com/contact
✉ info@jissenstrategy.com

熊谷 篤(くまがい あつし)
実戦経営アドバイザー/中小企業診断士

年間400件以上の経営相談に対応。承継後3年以内の後継者・創業者・第二創業の経営者を中心に、現場で「考え、決め、動ける状態」をつくる伴走支援を行っています。

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