見出し画像

経営者を「助ける」のを、やめました

「熊谷さんなら、どうしますか?」

年間400件以上の経営相談をしていると、この質問をよく受けます。

昔の私は、この質問が少し嬉しかったのを覚えています。

「専門家として期待されている。」

そんな気持ちがあったからです。

だから私は、一生懸命に答えを考えていました。

「私ならこうします。」
「まずはこれから始めましょう。」
「この順番で進めるのがいいと思います。」

知っていることをできるだけ伝える。

それが経営支援だと、本気で信じていました。

でも、ある時から気付いたのです。

私がどれだけ良い答えを伝えても、それだけでは会社は変わらない。

だから私は、経営者を「助ける」という考え方をやめました。

正確には、助け方を変えました。


正しい答えなのに、会社は変わらなかった

会社員として新規事業に携わり、スタートアップ投資やM&Aにも関わってきました。

MBAでは経営を体系的に学び、数字を分析し、戦略を組み立てることも学びました。

当時の私は、
「正しいことを伝えれば、会社は変わる。」

そう思っていました。

だから相談では、

「まずこれをやりましょう。」
「優先順位はこちらです。」
「この方法がいいと思います。」

できるだけ具体的な答えを伝えていました。

ところが数か月後。

再びお会いすると、
「忙しくてできませんでした。」
「社内で反対されました。」
「結局、そのままです。」

そんな言葉を何度も聞きました。

最初は、
「なぜやらないのだろう。」

そう思っていました。

でも、それは私が現場を理解できていなかっただけでした。


経営者は考えていないのではない

相談件数が増えるにつれて、あることが見えてきました。

経営者は考えていないのではありません。

考えすぎているのです。

売上
利益
資金繰り
社員
幹部
銀行
取引先
家族
先代
将来への不安
会社の未来
社員の生活

そのすべてを、一人で抱えながら毎日判断しています。

例えば、
「新規事業を始めたい。」

そう思っても、
既存事業はどうする。
銀行はどう見る。
社員はついてきてくれるだろうか。
失敗したら会社はどうなる。

次々と論点が頭の中に浮かびます。

そして最後には、
「もう少し考えてみます。」

という結論になる。

優柔不断だからではありません。

考える材料が多すぎて、整理できなくなっているだけなのです。


私が変わった一つの相談

ある経営者との相談でした。

私はいつものように答えを用意していました。

でも、その日は違いました。

ふと、
「今日は結論を急ぐのをやめましょう。」

そう伝えました。

その代わり、
質問だけを続けました。

今、本当に困っていることは何ですか。
理想はどんな状態ですか。
何が一番怖いですか。
今日決めるべきことは何ですか。
今日決めなくてもいいことはありますか。

一緒にホワイトボードへ書き出しながら、頭の中を整理していきました。

相談が終わる頃、その経営者がこう言いました。

「答えをもらったというより、自分で決められるようになりました。」

その一言で、私は自分の仕事を見直しました。

私は答えを渡していたのではありません。

本当に価値があったのは、

経営者が、自分で判断できる状態をつくること。

そこだったのです。


最初にやることは、問題を解決することではない

だから私は、答えを急いで伝えません。

相談に来られる経営者の多くが、
「何を相談したらいいか分かりません。」

とおっしゃいます。

私は、この言葉を聞くと安心します。

整理できれば、前に進める可能性が高いからです。

最初にやることは、
問題を解決することではありません。

問題を整理することです。

現状は何か。
理想は何か。
そのギャップは何か。

本当に解決すべき課題は何か。

今決めること。
あとで決めればいいこと。

そこまで整理できると、不思議なくらい経営者は動き始めます。

答えを教えたからではありません。

自分で納得して決められるようになるからです。


私は「先生」になりたいわけではありません

私は、経営者より優秀だとは思っていません。

現場を一番知っているのは経営者です。

社員のことを一番考えているのも経営者です。

会社の未来に責任を負っているのも経営者です。

だから、私が代わりに答えを決めるべきではないと思っています。

私の役割は、

・見えていない論点を整理すること
・感情と事実を分けること
・選択肢を構造化すること

そして、
経営者自身が納得して決断できる状態をつくること。

年間400件以上相談していても、
創業でも、
事業承継でも、
第二創業でも、
新規事業でも、
最初にやることはほとんど変わりません。

頭の中を整理する。
問題を構造化する。

そして、
最初の一歩を決める。

派手ではありません。

魔法のノウハウもありません。

でも私は、この地味な作業こそが、会社を変える一番確実な方法だと信じています。


判断に迷ったときの簡単なチェック

もし今、

□ 休日なのに会社のことが頭から離れない

□ 社員には不安を見せられず、一人で抱えている

□ 何から手をつければいいのか分からない

□ 相談したいが、何を相談すればいいのかも分からない

□ 「もう少し考えてみます」を何度も繰り返している

2つ以上当てはまるなら、

能力が足りないわけではありません。

一人で抱える論点が多すぎるだけかもしれません。

私は、経営者の代わりに決断することはできません。

でも、

頭の中で絡まっている論点を整理し、

「これなら自分で決められる。」

その状態を一緒につくることはできます。

60分の壁打ちでは、

・いま置いている前提

・本当に残っている選択肢

・見えていないリスク

・現実的に取れる次の一手

を一緒に整理していきます。

決断は、そのあとで構いません。

経営者が持ち帰るべきものは、

誰かの答えではありません。

「これなら、自分で決められる。」

その感覚です。

もし今、一人で考え続けているなら、

一度だけ、頭の中を外に出してみませんか。


👉 60分無料相談はこちら
https://jissenstrategy.com/contact

info@jissenstrategy.com


熊谷 篤(くまがい あつし)
実戦経営アドバイザー/中小企業診断士

年間400件以上の経営相談に対応。事業承継後3年以内の後継者、創業者、第二創業の経営者を中心に、「考え、決め、動ける状態」をつくる伴走支援を行っています。

感情を勘定に――想いを数字に、理想を現実へ。

答えを渡すのではなく、自分で決められる状態をつくること。それが、私の仕事です。

次の記事

前の記事


いいなと思ったら応援しよう!

実戦経営アドバイザー熊谷篤 よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動に使わせていただきます!