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お盆休みなのに、会社のことが頭から離れないあなたへ

お盆休み。

会社も休み。
取引先も休み。
メールもほとんど来ない。

家族と過ごしたり、実家に帰ったり、お墓参りをしたり。

本来なら、少し仕事から離れられる時期なのかもしれません。

でも経営者になると、不思議なことがあります。

仕事が止まっている時ほど、会社のことを考えてしまう。

今年のお盆、私がまさにそうでした。

頭から仕事が離れなかった。

理由は、営業先から反応がなかったからです。

「何も起きていない時間」が、意外と苦しい

もちろん、私も営業活動をしています。

連絡する。
提案する。
そして、待つ。

返事が来るかもしれない。
来ないかもしれない。

興味を持ってもらえているかもしれない。
そもそも、まだ見られていないかもしれない。

こちらには分かりません。

そして、お盆に入る。

頭では分かっています。

「今は休みだから、すぐに反応がなくても普通だろう」

経営相談で同じ話をされたら、私はたぶんそう整理します。

ところが、自分のことになると違います。

「反応ないな」

「内容が悪かったかな」

「このまま仕事が進まなかったらどうしよう」

そんなことを考えてしまう。

我ながら、人間だなと思います。

私は経営者に「最後に決めるのはあなたです」と言う

普段の経営相談では、少し厳しいことを言う時があります。

特に、周囲の意見に振り回されている時です。

「知人にこう言われました」

「社員は反対しています」

「専門家にはこう言われました」

もちろん、意見を聞くことは大切です。

私の意見だって、その一つにすぎません。

でも最後に、私はこう確認することがあります。

「その人は、この事業の結果に責任を取ってくれるんですか?」

借入をするのは誰か。
社員の給与を払うのは誰か。
投資を決めるのは誰か。
失敗した時に、その結果を引き受けるのは誰か。

最後は経営者であるあなた自身です。

だから私は、答えを渡すことを目的にしていません。

前提を整理する。
選択肢を並べる。
リスクを見る。
数字を確認する。

そのうえで、
「あなたはどうしたいですか」
と聞きます。

経営者の意思決定を、外部の人間が奪ってはいけないと思っているからです。

だったら、自分にも同じことをしないと格好がつかない

お盆休みに営業先からの反応を待ちながら、ふと思いました。

人には、
「最後に決めるのはあなたですよ」
と言っている。

では、自分はどうなのか。

営業先から返事がない。

仕事が進んでいない気がする。

不安になる。

早く結果を知りたくなる。

これは、私が普段向き合っている経営者と同じではないか。

そこで私は、自分が経営者との相談でやっていることを、自分自身にもやってみました。

感情と事実を分けてみる

まず、事実は何か。

営業先から、まだ返事が来ていない。

それだけです。

では、解釈は何か。

「この営業はうまくいっていないのではないか」

「このまま仕事が進まないのではないか」

でも、これは事実ではありません。

しかも今はお盆休みです。

相手が休んでいるかもしれない。

まだ見ていないかもしれない。

社内で話している途中かもしれない。

現時点では、判断材料が足りない。

次に、感情は何か。

仕事が進まないことへの焦り。

これも、事実とは別です。

そして最後に、まだ決めていないことは何か。

いつまで待つのか。
反応がなければ、次に何をするのか。

ここまで分けると、やることはかなりシンプルになります。

焦って次々に別の営業先へ連絡することではない。

「いつまで待つか」を決め、その時点で改めて判断する。

それだけです。

状況は何も変わっていない。でも、頭は静かになった

面白いもので、ここまで整理すると、かなり落ち着きました。

営業先から返事が来たわけではありません。

仕事が進んだわけでもありません。

状況は何も変わっていない。

でも、頭の中は変わった。

なぜなら、

「分からない状態」と「何をすればいいか分からない状態」は、同じではない

と気づいたからです。

結果はまだ分からない。

でも、次にどう判断するかは決められる。

これだけで、不確実性の持ち方はかなり変わります。

不安だから動くのと、必要だから動くのは違う

経営では、ここを間違えると危ないと思っています。

不安になると、人は何かしたくなります。

売上が落ちた。

広告を増やそう。

営業の反応がない。

もっと営業しよう。

社員が動かない。

人を替えよう。

資金が減っている。

とにかく借りよう。

もちろん、それが正しい場合もあります。

でも、

「必要だから動く」のと、「不安に耐えられないから動く」のは別です。

不安を消すために意思決定すると、判断が荒くなります。

だからこそ、

事実は何か。

解釈は何か。

感情は何か。

何をまだ決めていないのか。

一度、分ける必要があります。

私が「感情を勘定に」と言っているのは、感情を否定したいからではありません。

感情はあります。

私にもあります。

ただ、その感情と事実を混ぜたまま経営判断をしない。

それだけです。

経営者が休めないのは、仕事が多いからだけではない

経営者が長い休みに入ると、会社のことを考えてしまう。

それは単に仕事量が多いからではないと思っています。

頭の中に、

「まだ結果の出ていない意思決定」

がたくさん残っているからです。

あの投資は正しかったのか。

あの社員に任せて大丈夫なのか。

値上げするべきか。

新規事業を続けるべきか。

先代のやり方を変えていいのか。

銀行に相談するべきか。

答えはまだ出ていない。

でも、会社は動いている。

普段は目の前の仕事に追われて考えなくて済んでいたことが、休みに入ると浮かんでくる。

お盆休みは、そういう時間でもあるのだと思います。

私は昔から、不確実性に強かったわけではありません

むしろ、正解を探すタイプでした。

ちゃんと準備する。

間違えないように考える。

できるだけ確実な答えを出したい。

そういうことを、ずっとやってきました。

MBAでも徹底的に予習しました。

仕事でも、かなり考えてから動く方です。

だから、

「やるだけやった。あとは分からない」

という状態は、今でも簡単ではありません。

でも、経営の現場に長くいるほど分かってきました。

経営とは、不確実性をなくす仕事ではない。

不確実なままでも、

何が分かっていて、

何が分かっていなくて、

どこまでリスクを取れて、

いつ見直すのか。

それを整理して、決める仕事です。

だから私自身も、自分の事業で同じことをやります。

人に言っている以上、自分もやらないと格好がつきません。

お盆休みに会社のことを考えてしまった経営者へ

もしこのお盆休みに、

家族と過ごしているのに、会社のことを考えてしまった。

お墓参りをしながら、来月の資金繰りが頭をよぎった。

スマートフォンを開いて、仕事のメールを確認してしまった。

そんなことがあったなら、一度だけやってみてほしいことがあります。

紙に書いてみてください。

事実は何か。
解釈は何か。
感情は何か。
まだ決めていないことは何か。

例えば、あなたの場合なら、こんな整理になるかもしれません。

事実。

今月の売上が前年を下回っている。

解釈。

このまま会社が悪くなるのではないか。

感情。

焦り。怖さ。

まだ決めていないこと。

いつ、何を基準に手を打つのか。

ここまで分けるだけでも、頭の中の景色は変わります。

私の仕事は、たぶんこういうことです

私は、経営者に正解を教える人ではありません。

その人の頭の中にある、

事実。

感情。

数字。

過去。

社員への思い。

先代との関係。

将来への期待。

失敗への怖さ。

それらを、一度机の上に出す。

そして、

「これは今考えることですね」

「これはまだ考えなくていい」

「ここは数字を確認しましょう」

「これは誰かの意見ではなく、あなたが決めることですね」

と、一つずつ分けていく。

すると、最初は、

「何から手をつければいいか分からない」

と言っていた経営者が、

最後には、

「じゃあ、まずこれをやります」

と言うことがあります。

私は、その瞬間が好きです。

答えをもらった顔ではありません。

自分で決めた人の顔になるからです。

このお盆休み。

会社のことが頭から離れなかったなら、

問題は「休めていないこと」そのものではないのかもしれません。

頭の中に、

まだ整理されていない経営課題が残っている。

ただ、それだけかもしれません。

私にも不安はあります。

でも、

不安なまま意思決定はしません。

感情をなくす必要はない。

不安にならない経営者になる必要もない。

大切なのは、その感情と事実を一度分けて、自分が何を決めるべきなのかを見える状態にすることです。

私が言う、

「感情を勘定に。」

とは、たぶんこういうことなのだと思います。

休み明けに何から始めるか。

そこがまだ整理できていないなら、一度話してみてください。

きれいにまとめてから相談する必要はありません。

むしろ、

「何が問題なのか、自分でもまだよく分からない」

という状態の方が、整理する意味があります。

私は答えを渡しません。

事実と感情と数字を一緒に整理する。

そして最後は、あなた自身が決める。

その「決められる状態」をつくることが、私の仕事です。

※本記事の事例は、守秘義務に配慮し、一部内容を変更・再構成しています。


熊谷 篤
実戦経営アドバイザー/中小企業診断士

事業承継・第二創業・新規事業を中心に、年間400件以上の経営相談に対応。

経営者の頭の中にある感情・数字・利害・選択肢を整理し、自分で意思決定できる状態をつくる伴走支援を行っています。

感情を勘定に。想いを数字に、理想を現実へ。

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「何から相談すればいいか分からない」という状態でも構いません。

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