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【238】 妹の死と中革連

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(写真は玄界灘)

「なにかいいのこすことはないか。」

といったらわずかに笑みをうかめてうなずいた。もう死ぬのはなんともなかったのかもしれない。よくいったように死にたかったのかもしれない。××さんは、床に顔をおしつけてたまらなそうに泣いた。

……妹の瞳孔は散大してなにも見えないらしかったが、その眼もとうとうつぶってしまった。それでもなにかいうらしく唇をうごかして、自分の顔のまえにかきさぐるような手つきをした。が、間もなく息をひきとった。

最後の息というものはいくたび見ても最後らしく、そしてよそ目にはせつなそうなものである。皆はまわりによって泣いた。

私はそういう場合の私の習慣?にしたがって涙はひとつぶもこぼさなかった。そうして彼女の死のために、ひとに忘れられてからからになってる西洋かいどうに水をかけてやった。

バラ目バラ科リンゴ属ハナカイドウ

鳩がいつものとおり餌をひろいにきていた。晴れて暑い夕べであった。名物の夕なぎがはじまって、ポプラーも夾竹桃も細工物のように静にたっていた。

たいを家にはこんで座敷にねせておく。こうなると私はいつも奇異な気もちに襲われる。

このすえものの人形みたいによこたわってるものをみて、これはいったいなんだろう、と思う。釜屋の親仁おやじさんは子供をつれてきて、

「これみいさいや。お母様はなんまみ様にならっしゃったが。」

という。子供はけろりとして眺めている。

みんなそれぞれの用事にまぎれてるので、屍体が床のまえにおきはなされている。で、寂しがって私をよんだことなど思いだしてそばに坐っている。

翌日入棺。

土地の習いでみんなして南無阿弥陀仏を紙にかいていれてやる。釜屋の親仁さんは、

「私もいれさせていただきましょうわい。」

といって書いていれる。身うちの者だけは手足の爪をきって紙に包んでいれる。平生かんしょうに爪をきる私にはとろうにも爪がない。で、申訳ばかりけずっていれる。

蒼白く硬直して窮屈な棺のなかに合掌してる死骸を、ふとみればやっぱり妹のような気もする。この手は昨日まで 寂しいから、といって私にさしだしたそれにちがいない。

夜、火葬場へゆく。

あくる朝はやく××さんと壺をもって骨をひろいにゆく。おんぼうぬりの土をばらばらとはぎおとして鉄の扉をあける。

鉄板のうえに砕けた骨が灰にまざってるのをこうじんぼうきに長い柄をつけたようなもので、かきだしてりわける。焼き場もりの男はかまの後ろの口へまわって、

「これだけむこうに落ちとりましたで。」

と頭蓋骨のつぎめからはなれたのを二、三枚拾ってきた。私たちは灰のなかから、これが肋骨、これが椎骨、大腿骨、なぞとひとつひとついじってみては壺にいれる。

大きなのはからりと、小さなのはちりちりと音がする。骨のなかに黒ずんだのがあるのを焼き場もりの男は、

「脂などがあるとどうしてもこうなります。」

といってつまみだしてみせる。そばで隠坊が骨の粉をふるいはじめたので灰かぐらがもうもうとたつ。私たちはしばらく外へ出る。

海には――火葬場は海岸にあった――玄海島、のこの島、鹿の島などというのがみえる。

沖のほうに海の中道といって、長くながくつきでた砂洲がある。

中道は行き止まり、満潮で消滅。
この鳥たちは、中革連に入党したクズどものイメージ。

舟がすきな妹はそこへゆきたがってたので、いつかつれてゆくはずだったのだそうだ。ふるいわけられたなかから、またいくつかの歯をひろいだす。

壺が小さくてはいりきらないのを焼き場もりの男が上からおしつけて、骨をみじゃくので大きなのととりかえる。

つぎの朝庭の赤い実のなる木に蝉のぬけ殻があったのを、よくみればそばにぬけたばかりのみんみんがじっと休んでいた。

どこもかしこも、まだみずみずしくうすい色をして、はねなど白珊瑚とすいの骨組に水晶をのべてはったようなのが、露にぬれてしっとりとしている。……

夜。葬式。

寺の墓地は広くて大鳥毛みたいな形をした、いちょうの大木が五、六本まっ黒にならんでいた。妹の墓は実をもったはぜの木のあいだにたてられた。

妹は二十三だった。

面影は十七年ものながいあいだ、いつも昨日のようにあざやかにのこって、そのままに私が年をとるだけ若く子供らしくなっていった。その面影を目に浮べながら私は筆をとった。

そうしてこの小品を書きおえるまでに、いくたびも筆をおいて、ともすればあふれそうになる涙をとめなければならなかった。私は今にして、自分がいかに深く彼女を愛してたかを知った。

明治四十五年夏
昭和三年

『妹の死』(中勘助)

2003年、鳩山民主党と小沢自由党が合併(民由合併)し、これが現在の立憲民主党の本質。今年で23歳。

合掌。

なお、「なんまみ様」とは、南無阿弥陀仏の俗称。

鳩山由紀夫は鳩山友紀夫に改名したそうだ。意図は知らぬし知りたくもない。この「改名すれば過去の悪行がリセットされる」かのように錯覚している頭のおかしい連中が日本の政界にはたくさんいる。唾棄すべき愚かさだが、騙される側も同レベルに愚かである。

鳩山には私が名付けしてやろう。その名は鳩並 IQ 夫。

【235】 妖怪カシパンヒックリカヘシ」はこちら。

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