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【133】 渡瀬庄三郎とヒメインドマングース

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(写真は食肉目マングース科カニクイマングース属ヒメインドマングース)

マングースを沖縄に導入したのは渡瀬庄三郎(1862-1929)。東京帝国大学動物学の第5代教授で、「【127】 飯島魁とタコノマクラ」で紹介した第4代の飯島いさお(1861-1921)の下で学んだ。しかし飯島と真逆で、ロクなことをしなかった。はっきり言って、マッド・サイエンティストである。

マッド・サイエンティストは、自分が悪いことをしている自覚はない。善業だと確信している科学者のことだ。

渡瀬は北米から食用としてウシガエルを導入し、そのエサとなるアメリカザリガニも導入。いずれも現在では生態系を破壊する「日本の侵略的外来種ワースト100」に入っている。日本ではカエル食もザリガニ食も、まったく流行らなかった。

1907年、セイロン島でコブラを襲うマングースを見たと言う渡瀬は、沖縄のハブ駆除に役立つと訴て独自の研究を行い、確信を持って1910年にヒメインドマングース29頭を沖縄島に放った。

1979年には、沖縄島から約30頭のマングースが奄美大島に持ち込まれ放たれた。渡瀬の死から50年、この頃までの沖縄人はマングース効果を信じていた訳だ。

しかしマングースは昼行性、ハブは夜行性でそもそも出会わない。わざわざハブを襲わずとも、弱い動物がたくさんいて食うに困らない。ハブ駆除にまったく役に立たないどころか、養鶏場を襲ったり、今では絶滅危惧種のヤンバルクイナやアマミノクロウサギが餌食になるというとんでもない結果に。

仮に渡瀬の説が正しくても、マングースがハブを食べ尽くしたら、今度は別の生物が餌食になるのは自明の理だ。そんなことは学者でなくたって分かる。この男には知識人としての最低限の想像力さえなかった。

1990年代にようやく渡瀬のウソに気づいて駆除が始まり、2005年には「特定外来生物」に指定され、駆除活動を国が支援をするようになった。当時の予想生息数は約3万頭。約百年で千倍に増えた訳だ。

私は1993年に、沖縄旅行で「ハブ vs. マングースの決闘」を見たことがある。当時は私もマングースはハブを襲うのだと信じ込んでいた。この見世物は、2000年の動物愛護法改正により廃業したらしい。

ちなみにマングースがヘビを襲うという俗信は、インド在住イギリス人ラドヤード・キプリング作の短編集『ジャングル・ブック』の一編『Rikki-Tikki-Tavi』の影響だと思われる。英国駐在員のペット、マングースのリッキ・ティッキ・タヴィが、コブラの夫婦から主人の家を守るという内容だ。

私は、渡瀬はこの話を読んでいたのだと思う。それでマングース vs. コブラが気になってしまったのではないか。『ジャングル・ブック』は1894年に発表され、動物文学のパイオニアとして世界中で評価された。渡瀬の十数年間の北米留学とも時期が合致している。動物学者なら当然読むだろう。

想創話の影響は計り知れない。このような俗信は、他にもいくつか知っているので、いつか紹介する。

2024年9月、奄美大島でマングース根絶を宣言。沖縄島ではまだ根絶宣言はされていない。

このマングースの失敗、人間にだって当てはまる。役に立つと思って入れたら害だらけ。入れるのは簡単だが、出て行かすのは至難の技。移民推進をする輩は日本を滅ぼしたいのだろう。百年で千倍になるぞ。被害を受けるのは我々の子や孫世代だと、想像力を働かせて欲しい。

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