[映画]『アバター: ファイヤー・アンド・アッシュ (IMAX/3D)(ジェームズ・キャメロン監督/2025)』

データ
原題: Avatar: Fire and Ash
監督: James Cameron
製作年度: 2025
製作国: アメリカ
アスペクト比: 1:2.39f
時間: 3h17
公開日: 2025/12/19
鑑賞日: 2026/01/10
配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン
はじめに (寄り道話)
2026年の映画館初めは景気よく『ワーキングマン』で、この作品は二本目となる。アメリカで3週連続で興収第一位を記録して日本でもヒットしていると聞いていたが、観に行った映画館はガラガラで、来週は夜一回とか、下手するとIMAX上映が無くなっていたかもしれない。
超大作の前に昨年新規オープンしたディスクユニオンを覗いてみる。予想以上に広く、ここなら何時間でも時間を潰せるなあ…と思った。距離的にも行きやすいので今後は映画のついでに覗こうかと思った。
時間が無いのでとりあえず中古ブルーレイの棚をざっと覗いて『ファイヤーボール (Fast Company/1978)』を買う。1993年に開催されたクロネンバーグ回顧展で観たが、ドラッグレースの世界を描いた凡作だった。ではなぜ買ったかと言うと映像特典で『ステレオ/均衡の遺失 (Stereo/1969)』と『クライム・オブ・ザ・フューチャー/未来犯罪の確立 (Crime of the Future/1970)』という二本の中編が収録されているためだった。この二本も1988年にユーロスペースのレイトショーで観た。かったるいながらちょっと惹かれる作品で、YouTubeにもupされているが字幕版で観直したかったのだ。何よりも中古版なので激安だったのがポイント。
そんなこんなで覚悟を決めて(笑)、劇場へ。
予告編ではクリストファー・ノーランの新作『オデュッセイア』の予告編が上映されていた。トロイの木馬の再現シーンだが、これがプロローグになるのかな。
概要
前作で長男ネテヤム(ジェイミー・フラッターズ)を失ったジェイク・サリー(サム・ワーシントン)とその妻ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)、次男のロアク(ブリテン・ダルトン)、娘のトゥクティレイ(トリニティ・ジョー=リ・ブリス)、養女でキリ(シガニー・ウィーバー)、そして地球人(スカイ・ピープル)でクオリッチ大佐(スティーブン・ラング)の息子であるスパイダー(ジャック・チャンピオン)は喪に服している。
ジェイクは一家を受け入れてくれたトノワリ(クリフ・カーティス)率いるメトカイナ族に対し、地球人との戦闘の際に残された兵器を海底より回収し、次の攻撃に備えるように伝えるが、トノワリもネイティリも"鉄の武器"の使用を拒否する。
ネイティリはネテヤムを殺した地球人を憎み、そのためスパイダーに対しても愛情を持ちきれずにいた。一方、パンドラでは酸素マスク抜きでは生きられないスパイダーはマスクのバッテリー切れで命を落としかける。スパイダーの安全を考慮したジェイクは地球人の科学者キャンプに戻す決意をする。
そして"ウインド・トレーダー(飛行商船団)"がやってきた際にリーダーのペイラック(デヴィッド・シューリス)に飛行船への乗船を頼み、家族でスパイダーを送っていくこととする。
船団が飛行中、ヴァラン(ウーナ・チャップリン)率いるマンクワンに襲撃される。彼等は火山の噴火で一族を失い、そのときに手を差し伸べなかった"エイワ"を拒絶し、火を信仰するようになった。船団は次々墜落し、乗員は殺されていく。ジェイクの一家も戦闘の最中にバラバラになってしまう。
ジェイクは家族を捜すが、そこへクオリッチ大佐とウェインフリート中尉(マット・ジェラルド)が現れる。二人とも過去の戦闘で戦死したが遺伝子操作でナヴィ族とのハイブリッドであるリコビナントとして復活していた。ジェイクはスパイダーが予備の酸素マスクを持っていないことを伝え、三人はマンクワンと戦いつつスパイダーを探し始める。
一方、森の中を逃走している子供達。スパイダーは酸素マスクの電源が切れて仮死状態になる。"エイワ"と交信できるキリは"クル"で大地と繋がると、地面からのびた菌糸がスパイダーの体を包み、そして体内に入り込む。するとスパイダーは蘇生し、さらにパンドラの大気を受け入れる体に変わっていた。
子供達はマンクワンに捕まる。その際にロアクが使用した銃火器にヴァランは興味を示す。そこへクォリッチとジェイクが助けに入るが、彼らも捕らわれの身となる。ヴァランは麻痺状態となったクォリッチから銃火器の使い方を聞き取る。
夜、キリが再び大地と繋がり、近くの花から棘のようなものを銃弾のように放ち、マンクワンの監視を殺し、脱出に成功する。翌朝、川岸でジェイクはクォリッチにもはやかつての軍人ではないのでパンドラを理解するように説得するが、クォリッチはあくまで海兵隊であることに拘り、ジェイクは脱走兵であるという考えを変えなかった。
クォリッチは森の中に消え、ジェイクたちは故郷に戻る。ネイティリの母親モアト(CCHパウンダー)はキリに出生の秘密を伝える。キリは地球人のグレース・オーガスティン(シガニー・ウィーバー)のアバターが聖なる樹と繋がったことで生まれたのだった。
メトカイナに戻るとトゥルクン(鯨に似た巨大海洋生物)の評議会が暴力行為を扇動した罪でパヤカンを裁こうとしている。パヤカンは前作でジェイクたちの戦いを支援しており、暴力を否定するトゥルクンの掟に反する行為とみなされ、追放処分となる。パヤカンの親友であるロアクは異議を唱えるが受け入れられなかった。ロアクはジェイクと口論になり、その流れでジェイクは長男の死の原因がロアクにある、と言ってしまう。
ロアクはツィレヤ(ベイリー・バス)、ロチョ(デュアン・エバンス,Jr.)、アオヌン(フィリップ・ゲルヨ)たちとともに去っていったパヤカンを追いかけていく。
クォリッチはウェインフリートを伴いマンクワンの村を訪れ、ヴァランに銃火器の提供を伝える。そしてジェイク達を捉えるため海兵隊に協力するように持ち掛ける。火を信仰するヴァランは火炎放射器の炎に魅せられる。
マンクワンの協力でクオリッチはスパイダーを確保し、また、メトカイナへRDAの艦隊とともに向かう。ジェイクはクオリッチと交渉し、自首することで戦闘を回避する。
RDAの基地ブリッジヘッド・シティに連行されたジェイクは投獄され、またスパイダーは様々な調査を受ける。地球人がパンドラの大気の中でマスク無しで活動できるのであれば、よりパンドラ制圧を進めやすい。スパイダーの体内の構造の調査が続く。
一方でトゥルクンが儀式のために集結する時期を狙っての狩猟が計画される。生物学者のイアン・ガービン(ジェメイン・クレメント)は反対するが、アドモア将軍(エディ・ファルコ)とハンターのリーダーであるスコアスビー(ブレンダン・コーウェル)に無視される。
海兵隊の裏切者としてスケルトンの牢獄で晒しものにあっているジェイクにクオリッチがやってきて翌朝銃殺刑とすると伝える。一方、スパイダーにも会いに行き父親として接する。クォリッチはスパイダーにせがまれて海兵隊時代の認識票を譲り渡す。スパイダーは(クオリッチにとっては親子の絆の証である)認識票を使って脱走する。
"鉄の兵器"に対して拒否感を持っていたネイティリはジェイクが隠していた爆薬付きの弓矢を手にブリッジヘッドへ向かう。
パヤカンを捜していたロアクはイカに似た凶暴な生物に襲われるが、パヤカンに救われる。
そしてマンクワンの部族の振りをして基地に潜入したネイティリは弓矢で攻撃を始め、またガービンは巨大なブルドーザーでジェイクの牢獄を破壊し脱走させる。そしてネイティリとジェイク、そしてスパイダーは脱出する。
ジェイクはネイティリにスパイダーを殺すことを伝える。パンドラのためにスパイダーの秘密を地球人に解析させるわけにはいかない…という理由だった。ジェイクはスパイダーにナイフを突き立てようとするができなかった。またネイティリも後悔し、最後はスパイダーはジェイクたちに受け入れられる。
メトカイナで再びトゥルクンの評議会が集結する。RDAの襲撃を前に平和主義では生き残れないと説くジェイク。そして地球人の虐殺で生き延びたタノクが証言者として現れ、トゥルクンの評議会は闘いに参加することを決意する。ジェイクは他のナヴィ族にも共闘を働きかける。
翌日、RDAの艦隊にガードされてハンターたちが襲撃する。待ち伏せしていたトゥルクン、そしてナヴィたちが総攻撃をかけ地球人は大打撃を与える。しかし直後にクオリッチとマンクワン族が襲撃し、ナヴィ側に犠牲者が広がる。ロチョは戦死し、トノワリのパートナーであるロナル(ケイト・ウィンスレット)は重症を負う。妊娠の身でありながら戦闘に参加していたロナルはネイティリの手助けで娘プリルを出産し、死亡する。ネイティリはヴァランに捕らえられてしまう。
キリは"エイワ"に語り掛け助けを乞うが"エイワ"は心を開かない。スパイダーとトゥクティレイがキリを助け、ようやく"エイワ"に想いが通じる。ロアク達を攻撃したイカに似た生物がキリの命令を受けて地球人に攻撃を開始する。RDAの軍艦も狩猟船も壊滅的な打撃を受け、スコアスビーもタノクによって深海に引きずり込まれていく。海から空まで延びる強力な磁場に巻き込まれそうになりアドモア将軍は艦を放棄する決定をする。
一方、ジェイクとロアクは家族を救うために艦に乗り込む。スパイダーはクオリッチと交渉してジェイク一家を安全と引き換えにクオリッチについていくことを提案し、またキリはヴァランと対決し撃退し、ネイティリを救う。
ジェイクは家族を逃すとクオリッチの後を追う。戦艦は磁場の渦に巻き込まれていくなか、浮遊する岩場にクオリッチを追いつめる。スパイダーの前でクオリッチとジェイクは対決する。岩場にネイティリ達が助けにやってきて、観念したクオリッチは身を投げる。
戦いが終わりジェイク一家とスパイダーたちは海底の精霊樹と繋がり"エイワ"との交流の儀式を行う。そこでは死者と生者が交流する場で、キリはスパイダーに母親のグレース・オーガスティンを紹介し、ロアクは兄ネテヤムと再会する。そしてスパイダーはナヴィに受け入れられる。
感想
ドラマ造り
2作目『アバター: ウェイ・オブ・ウォーター (Avatar: The Way of Water/2022)』で海の民メトカイナとの交流で、本作では火の民マンクワンとの闘いとなった。作品ごとに新たなキャラクターが登場するのはシリーズものの常だが、キャラクターが多すぎると描写が荒くなっていく。
このシリーズにどこまで物語性を期待するかにもよるが、今回は2作目に続く完結篇としての物語はしっかりとしていた。単純な"スカイピープル"との攻防戦では無く、キリが覚醒(?)したり、スパイダーが"エイワ"に受け入れられるなど、ナヴィたちがパンドラという惑星全体と共存しているという根幹の話をうまくまとめ上げたと思った。
一方でそれだけでは話がもたないと思ったのか、"スカイピープル"同様に好戦的なキャラクターを新たに登場させている。"エイワ"に見捨てられたと思い、火に魅せられた一族という設定は良いのだが、あまり話に絡んでこなかった気がする。ジェイクの敵を増やしただけだったような。
キャメロンの話では映画のタイトルにもある"炎と灰"はそれぞれ憎悪と喪失を意味しているらしいが、ヴァラン含むマンクワン族ははるか昔の西部劇の先住民族やH.ライダー・ハガードの探検ものに出てくる蛮族とさして変わらない描き方をしていた。
フランソワ・トリュフォーがリトヴァグの『うたかたの戀/1935』について、主人公たちの悲恋のメロドラマ性を高めるために他の登場人物をすべからく悪人にするという手法を批判していたが、だいたいにおいて、善悪を明確に分けるとドラマは単純化してしまう。ステイサムのアクション映画ならばそれでも良いのだが、マンクワン族の描き方はそれで良かったのか?と思った。
一方で"スカイピープル"もまた単純悪として描いている。にも関わらず妙な既視感に襲われた。RDA(資源開発局)がパンドラに眠る希少な地下資源を発掘するために、軍隊を伴って先住民族を攻撃する…という1作目の骨格自体が、いまの世情に伴い異様なリアリティを感じてしまった。
映像
一方で映像の力はとてつもなく魅力的だった。キャメロンというと、"動体力学の"監督という印象が強く、キャラクターや物体(飛行船や軍艦)の動きが、仮に目にしたことが無いような動きをしていても観客を有無を言わさず納得させてしまう、そのねじ伏せるような説得力がキャメロン演出の根幹にある。
前回の海に続いて今回は空、そして炎が決してこれ見よがしではなく、ドラマ運びのための手段として理に適った動きをしている。大半がモーションキャプチャーとCGで構築されているにも関わらず、映像への没入感は半端ない。
映像とドラマの一体感がこの上なくエモーショナルに発揮するのが、やはりキャメロンらしく三つの戦闘シーンである。
一つ目が"ウインド・トレーダー"がマンクワンに襲撃される空中戦。船団の規模感の割にはジェイク一家の乗った船に特化した描写となっていてバランスの悪さを感じつつも、空中戦ならではの上昇と下降の効果を実感させられた。
二つ目はネイティリがブリッジヘッドを襲撃するシーン。ここではジェイクが酷い扱いを受けているシーンを事前に観ているため、ネイティリが矢を放つシーンで観客は快哉を叫ぶような高揚感を感じさせる演出となる。
そして三つ目がクライマックスのトゥルクンやナヴィたちがRDAや狩猟船に逆襲するシーン。こちらも事前に悲惨なトゥルクン狩りを観ているため、観客はナヴィたちに感情移入せざるを得ない。
単純な演出だが最大限まで効果を発揮させられるのがキャメロン監督の力だと思う。そしてその演出力と実際のストーリー展開が、この映画のテーマに相反しているようにも感じられた。結局、力には力で抗するしかない、ということなのか。
『アバター: ファイヤー・アンド・アッシュ』は目的(テーマ)は十分に伝わるが、そのための手段がぎこちない、そんなモヤモヤ感が残った。
"エイワ"が祈りを受け入れた結果がイカかよ…というそんなモヤモヤ感以上に、キリがイカに対して"一人残らず殺せ"と指示するシーンで感じる違和感。
私はこれでもういいんじゃないか…と思ったが、キャメロンはまだ続けるらしい。5作目まで観れば前述のようなモヤモヤ感から解放されるのだろうか…。

さいごに
まさにキャメロンのライフワークなのだろが、たまには『ターミネーター2 (Terminator 2: Judgement Day/1991)』や『トゥルーライズ (True Lies/1994)』のような重量級の娯楽アクションを観たいのだが…。無理かなー。
追記 (26/1/13)
今回3Dを久しぶりに観て、映画の技術の進化(変化?)を実感した。フィルムの質感は当然皆無だが、デジタルの薄っぺらさを感じられなかった。前作もIMAX 3Dだったが、ナヴィと地球人が画面内で一緒になるとナヴィの違和感が感じられたが、本作ではそんなに気にはならなかった。画面の均一感というか、実写の中で浮き出たような違和感は無かった。
新しい映画だったのかな、と思った。

