2026/03/04 「ごめんね」を抱きしめた帰り道 〜子どもの罪悪感と優しさ〜
2026/03/04
夜明け前、雨の音で目が覚めた。
時計を見ると3:46。4時まであと少し。
布団の温もりに引き留められながら、それでも名残惜しく起き上がる。湯気の立つお茶が、眠い頭をそっと起こしてくれた。
家を出る頃には霧雨になっていた。
レインコートがいるのかいらないのか、判断に迷う微妙な降り具合。着脱が面倒で、結局レインコートは着ないまま家を出た。
顔にかかる霧雨が不快で、ちょっと後悔。
風が冷たくて、気温よりずっと寒く感じる朝だった。
お迎えの「すいません」
夕方、保育園のお迎えで先生に声をかけられた。
「お母さん、すいません…」
その出だしで、ぐっと身構える。
話を聞くと、大縄跳びを途中で切り上げることになってもやもやしていた次女が、お部屋に戻る際に網戸をぱたんと閉めてしまい、後ろにいたお友達の指を挟んでしまったのだという。
故意じゃない。それはわかる。
大きなケガでもない。擦り傷程度だそうだ。
でも、次女本人にとっては一大事だったようだ。
「ごめんね」はちゃんと言えた。
先生とお友達とお話しの時間も落ち着いていた。
お友達も、にこにこして「平気だよ」と言ってくれた。
それでも次女の表情はすこぶる暗く、お友達との距離がいつもより遠い。ショックが、まだそこにある。
別の先生が帰り際に、次女を気遣ってだろうひと言を添えてくれた。
「給食の時間、汁物を掬うのに苦戦しているお友達の鍋を、さりげなく傾けて支えてあげていたんですよ」と。
そういう子だからだ、と思った。だからこそ、今日のことがショックでたまらないのだろう。
故意ではなくても、誰かを傷つけてしまった。
子どもにとって、それはとても大きな出来事なのだと思う。
涙が溢れたのは
園の外に出た瞬間、ずっと我慢していたらしい涙が溢れた。次女の目からポロポロではなく、ぼたぼたと落ちていく。
大きくなった次女を抱きかかえながら、「大丈夫よ」と声かけを繰り返した。
ごめんねが言えたこと、お友達が大丈夫だと言っていたこと、次から気をつければいいということ。
それだけを、涙が止まるまでゆっくりと繰り返した。
その日はチアの日だった。だから、急いで気持ちを切り替えさせようとしたくなる自分もいた。
でも、こらえてただ泣き止むのを待った。
気持ちの切り替えが難しいのはわかっていた。
それでも次女はちゃんとがんばって、笑顔を作っていた。すごいことだと思って見守っていた。
「せんせい、だいすき」
チアダンスの先生が4月から異動になるらしく、子どもたちはみんなそわそわしている。みんな優しくてチャーミングな先生のことが大好きなのだ。
6年生が中心になって、こっそり寄せ書きを作り始めたみたいだった。次女は自分の字で「せんせい、だいすき」と書いていた。
いつもより元気のない次女に、仲良しのお姉さんたちが優しく声をかけて誘ってくれたのだ。
「ありがとう」と心の中で何度も頭を下げた。
人を思う気持ちと、誰かを傷つけてしまった痛み。
その両方を、見守った日だった。
長女は顔に出ない。寂しさはあるのだろうけれど、まだどこか実感がないのかもしれない。それはそれで、彼女なりの受け取り方だと、今は思えるようになってきた。
涙も、寂しさも、その子のペースでゆっくり流れていけばいい。本当にそう思う。
子どもが感情を持て余しているとき、あなたはどう寄り添いますか?
誰かを大切に思うからこそ、こんなに胸が痛くなる。
その感覚は、きっと大事なものだから。
疲れ果てて深く眠る次女の額をそっと撫でながら、私も静かに目を閉じた。
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