《エモナイツ:銀河感情戦記》①
【あらすじ】
銀河歴3177年。
かつて詩と花にあふれた星《ルミナリア》は、今や感情を失い灰色に沈んでいた。
感情の力で銀河を救う使命を帯びた戦士たち《エモナイツ》が、最初の救済星としてこの星に降り立つ。
“感情遮断ユニット”により支配されたルミナリアを舞台に、少年たちは“怒り・悲しみ・喜び・愛”の力で戦い、仲間と心を通わせながら、星の記憶を取り戻していく――
感情とは、希望なのか。それとも痛みなのか。
これは、感情を取り戻す銀河戦記。
そして、すべての心に火を灯す物語の序章である。

■ ユウ
「感情が、俺たちの武器だ」 かつて“怒り”を暴力でしか表現できなかった少年。だが今では、全感情を“力”として使う〈エモナイツ〉のリーダー格へと成長。不器用だが熱い芯を持ち、仲間との絆を何より大切にする。

■ レン
「その怒り、悲しみ――全部、お前の武器になるんだよ」
ユウの相棒。感情に翻弄された過去を持ちつつ、それを力へと転化する術をユウに伝えた人物。軽口を叩きながらも、仲間想いの熱い男。武器に詳しく、エモナイツの戦術を支える頭脳でもある。

■ セナ
「泣いていいんだよ。私も泣くから」
“悲しみ”に寄り添う少女。普段は静かで口数も少ないが、誰よりも深く他者を理解しようとする。詩や歌で感情を紡ぎ、“共鳴”によって空間を変える能力を持つ。

■ ナオ
「守ってやるって、決めたんだ」
レンの旧友であり、かつてノイドグラムに心を奪われた“無感情の戦士”。ユウたちの想いに触れ、“恐れ”を抱きながらも人間らしさを取り戻しつつある。冷静沈着に見えるが、内に深い情を秘めている。

■ リリ
「感情って、怖いけど……美しいんだね」
ノイドグラムの実験によって、感情を封じられていた少女。
ユウたちとの出会いで少しずつ心を開き、
旅の中で“怒り”や“悲しみ”を知り、
やがて“愛”の詩を紡ぐまでに成長する。
彼女の変化は、星の奇跡を導く鍵となる――。
■ ゼログラム
「感情はノイズ。秩序こそが美だ」
宇宙全体から感情を消し去ろうとする、謎多き敵組織。構成員は無機質な仮面をかぶり、感情のない冷徹な判断だけで行動する。各星に《感情遮断ユニット》を送り込み、星の“心”を封じている。
その真の目的は、まだ明かされていない。
(注)ノイドグラムは、ゼログラムの戦闘兵。
第1章「灰色の空に、感情の刃を」
銀河歴3177年。
銀河系第七星域――星《ルミナリア》。
かつてこの星は、「詩」「花」「音楽」に満ちた、“感情の楽園”と呼ばれていた。
しかし今――
空は鉛色に沈み、草花は色を失い、音楽は止まり、
住民の瞳には、生気すら感じられない。
感情が、抜け落ちていた。
その静寂を裂いて、一隻の船が降りてくる。
感情波航行船――《エモクラフター》。
鋼鉄の船体に、赤・青・金・紫の四つの感情エンブレムが揺らめく。
「……やっぱり、ここが最初の星か」
船の縁に立ち、無感情の空を見上げるのは――少年・ユウ。
黒のパーカーをまとい、胸には怒りの紋章《怒焔》が浮かぶ。
エモナイツのリーダーにして、“怒り”の感情を武器とする者。
その隣、青い瞳の少女・セナが、空を見上げて呟いた。
「……音が、まるで聞こえない。悲しみすら、止まってる」
「ゼログラムの“感情遮断ユニット”が働いてるんだ」
ユウが静かに頷いた。
船内から、元気な声が響く。
「おーい、降りんのか? 喜びが腐っちまうぞー!」
ひょいと現れたのは、陽気な兄貴分・レン。
金髪サングラスに、眩しい笑顔。
彼は“喜び”を司る剣士。
「ったく……こういう場所こそ、明るく行こうぜ? じゃないと、負ける前から負けてんぞ」
最後に姿を見せたのは、怯えがちに船の陰から覗く小さな少年――ナオ。
紫の髪、恐れに震える目。
彼は“恐れ”をエネルギーに変える使い手だった。
「……ここ、怖い。星ごと、泣いてる……」
こうして、“感情”を宿した四人の騎士たち――エモナイツは、
最初の戦場《ルミナリア》に降り立った。
彼らの使命は一つ。
この星に、愛を取り戻すこと。
そして、最初の“出会い”は――
感情を奪われ、無表情となった子どもとの出会いだった。
少女の名は、リリ。
かつて歌が大好きだったというその瞳には、今や何の色も宿っていない。
「お兄さんたち、何しにきたの?」
リリの無感情な声に、ユウがそっと拳を握る。
「……感情を、取り戻しに来たんだよ」
――星を照らす、“最初の刃”が、静かに光りはじめた。
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