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読書記録。「春の星々(140字小説コンテスト2025)」一次選考通過作品


季節の星々

季節の星々とは「季節ごとの課題の文字を使った140字小説のコンテスト」。
公式さん曰く「日本語の140字には、物語を表現できるだけの長さがある」とのこと。
確かにX(旧ツイッター)でも140字小説というハッシュタグを見かける。

2025年春のテーマは「原」。
漢字の「原」を140字内に入れることが決まりになっているようだ。

私も応募しました、と言いたいところだが残念、その存在を知らなかった。
存在を知っていれば絶対、応募していたはず。
なんか悔しいので、一次選考通過作をすべて読んでやりました!

その中でも特に気に入ったものを勝手に紹介していきます。

かわむら しまえさんの作品

意を決して原田さんのデスクを訪ねた。社長直下だが、いつも倉庫の横の薄暗い場所にいる。最終手段として先輩から聞いたことを思い出し、経緯をまとめた資料を渡すと、黙ってうなずいた。翌朝、すっかりトラブルは片付いていた。半年分の寿命だった。原田さんは社歴がとうに100年は超えている。

一瞬、意味がわからなかったが、読み返すと「なるほど」となった。
なんか説明しすぎてないところが好き。
「半年分の寿命」ってところがなんか絶妙ですよね。

木畑十愛さんの作品

星野さんは、原理は不明だけど光っている。眩しいので教室では暗幕を体に巻いて過ごしているくらいだ。ある日意地悪な子が鉛筆で突いたせいで暗幕に穴が開き、漏れた光が映写機のように壁を照らした。皆も星野さんも笑っていて、私だけが笑えなかった。咄嗟に隠した鉛筆は、今もまだ先端が光っている。

最初の一文で引き込まれた。
情景がイメージしやすく「私」の心情は明確に描かれていないものの想像はできる。
この文章をプロローグにした短編小説を読みたい感じ。

才田リツさんの作品

彼も私も牡羊座で、化学が好き。毎朝二人でラッキーナンバーをチェックして、原子番号と結びつける。一昨日はカルシウムの20。一緒にホットミルクを飲んだ。昨日は硫黄の16。温泉に浸かって癒された。今日は銀の47。ちょうどよかった。誕生日プレゼントに、シルバーのネックレスを用意してたの。

前の2本と違って特に「オチ」とかはないんだけど、なんか好き。
「原」と聞いて「原子番号」を思いつく発想は私にはないので、楽しく読めた。
ハッピーエンドなのも嬉しい。

文月さんの作品

小さい頃、父が遠くの地図を広げてこう言った。みんな幸せになるために内緒で土地を買ったぞ。これは秘密な。俺はワクワクした。でもそれは原野商法で、母にバレて怒られた。父は背中を丸め小さくした。今日、俺はその土地の売却の書類にハンコをついた。親父ありがとう。娘の手術代なんとかなったよ。

やっぱり私はハッピーエンドが好きらしい。
140字の中にちゃんと「物語」が感じられてよい。
原野商法を知らなくて、ググったのは内緒の話。

見坂卓郎さんの作品

うちの息子は語尾に「草」をつける。草って何だよと訊ねると、「そんなことも分かんないの草」と返る。彼が草と言うたび本物の草が生えてくる。「家じゅう草ばっかで草」高校を卒業して海外でふらふらしていた彼は、今では砂漠を草原に変える仕事をしている。現地では草の神と呼ばれてるみたいで草。

これが一番好きかもしれない。
私の場合、コンテストとなるとつい体にも、文章にも力が入ってしまう。
なのでこういう「力の抜けたエッセイ」のような文章に出会うと「はえ~」と尊敬してしまう。
140字の中に母と息子の関係性も感じられてよき。
つい、面白くて草と言ってしまった。

推しが通過するか楽しみ

「原」が今回のテーマだが「原付」が意外と多かったのに驚いた。
あとはやっぱり「原っぱ」や「草原」も多かったね。
「原子記号」ですら被ってしまうのか。
「原」を「名字」で使っちゃう潔さが私にもほしい。

ちなみにこの先、第2次選考、そして最終選考が待っているようだ。
上記の5つの「推し作品」が選考を通過するかどうか、勝手に楽しみにしている。
応援してます!
そして夏の星々にはぜひ参加したい!

6月18日に追記

と思ってたらすでに6月13日の時点で二次選考通過作品が発表されていた様子。

かわむら しまえさんと木畑十愛さんの作品が通過されてましたね。
おめでとうございます!


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