QからMへ(ライカ沼と5年目の浮気)
その沼は実存する。
2025年末、Leica M11-P Safariをお迎えした。僕のカメラ遍歴の一部をここに記す。
(追記あり)
ライカは水の中から
僕の場合、ライカのカメラとの付き合いは意外なモデルからだった。
2016年発売のLeica X-U (Typ 113)だ。レンズ一体型であるLeica Xの防水バージョンで、当時インドネシア駐在中で頻繁に海に行っていた僕はこのカメラを手に島々を回った。

オートフォーカスが遅く、シュノーケリングだと特に波の影響もあってなかなか思い通りの画にならない。難儀なカメラだが、うまく撮れた時の美しさはほかの水中カメラを圧倒する。Summilux F1.7を水の中でも使えるのはこのカメラだけだ。いまでも現役で使っている。(水中写真撮影については別記事にまとめたいと思う)
Qにキュン
さて、やや横道に逸れてしまったが、2021年12月にLeica Q2 Reporterと出会った。確かクレジットカードの会員誌かなにかで見たのだったと記憶している。僕はオリーブグリーンのその機体に一目惚れした。(本物ではなく雑誌でみただけなのだが)。
80万円近くするコンパクトデジタルカメラを買う経験はもちろん初めてだし、店もなんだか敷居が高い。僕は銀座のライカストアに恐る恐る足を運び、小声で「予約したい」と伝えた。12月18日国内発売だったが、何台入るかはわからないと言われた。そもそも、その時点では値段すらはっきりしなかった。
手に入れたのはクリスマスイブの夕方だった。ストアで充電済みのバッテリーをいただき、数寄屋橋交差点で最初の1枚を撮った。その後、丸の内のイルミネーションを撮影して家路についた。

Q2 Reporterは撮れる写真もそうだが、カメラとして美しい。プライベートはもちろん、仕事でも持ち歩いている。24年の英国滞在でも頼れる相棒であり、パートナーと言ってよかった。
5年目の浮気?
なのに、なぜ、M型ライカを手に入れたのか。浮気ではないのか、と言われれば否定はできない。
苦しい言い訳をすれば「カメラの設定を全部コントロールして、撮影する体験そのものをもっと楽しみたい」。そんな欲求が僕の中で生まれてきたからだ。
遠いきっかけはCarl ZeissのSuper Semi Ikontaというフィルムカメラに触れる機会があったことだ。この時に初めてレンジファインダーカメラを使った。

撮影に時間がかかる上、フィルムを現像するまで意図したように撮れているかもわからないが、うまく撮れたときの喜びは大きいし、なにより写真を撮っているということを強く意識させてくれるカメラだった。
オリーブグリーンに縁を感じた
そして2025年。オリーブグリーンのLeica M11-Pを購入した。ずっとライカM型に興味はあったが、最後のひと押しとなったのが、オリーブグリーンのSafariエディションだった。「カッコいい」。自然と足は近所のライカストアに向かっていた。
M11-P SafariはQ2 Reporterと同系色だ。ライカの赤いロゴがつかない点も共通する。

M11-P Safariは、見た目はコンパクト。なのにずっしりと重い。レンズは銀色のSummilux 50mm F1.4とSummilux 35mm。いずれも、オールドレンズを復刻させたものだ。
ホットシューカバーには、ベルリンのライカストアで購入したLeica 100周年記念のものを。レリーズボタンはシルバーではなくてブラスにしてアクセントをつけた。
構図を確認して、焦点を合わせ、ボタンを押す。カシャッ、カシャッ…。機械式のシャッター音が心地いい。

もちろん、Q2も現役だ。夜景もそうだし、オートフォーカスに頼りたい場面は多い。M11-Pはクラシックレンズを中心とした撮影に、Q2は現代風のシャープな写真撮影にという棲み分けをなんとなくしている。
これから、Q3やQ3 43mmに気持ちが向かうことはない…と思う。少なくとも現状では。しかし、この沼は底なしのように感じる。実はもう、新しいレンズに心が揺れている。
「ああ、どうしよう」。僕は目移りしないようにしっかりとカメラを構えた。
半年後の追記
半年がたって、気がつけばレンズが増えた。グリーンの本体にあわせるため、基本的にはシルバー/クローム系のレンズしか買わないと決めている。
Super-Angulonの第一世代、第二世代を両方ともクロームで揃えた。でも、禁を破って黒いボディのレンズも買ってしまった。レンズのシリアルナンバーで製造年や場所がわかる本まで手元に。
そしてライカ沼は底なし沼に…。
