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《不定期連載》負けられない者達15 プロ野球チームコメッツの闘い2014

インターリーグを終えて


 インターリーグを乗り越えたコメッツ。神戸の負傷という結果はチームが影を落とす要因となりかけていた。チームリーダーとなっていた神戸の負傷により、潤沢な外野の層が一気に崩れてしまった。

 コメッツはインターリーグ終了後、ブルーバーズと一対一のトレードを行った。コメッツ内野手の町田まちだ常成つねなりとブルーバーズ内野手の西内にしうち哲二てつじが交換となった。

 この間のトレードは珍しくない。だが、同一リーグでのトレードは異例であった。両者共に差し迫った状況を伺える。メディアの報道はそんなものであった。

 どちらもかつては主力であった二遊間を守る内野手だ。コメッツの正遊撃手である私、|鮫山さめやまあらたはそれほど危機迫った状態を感じていなかった。

 インターリーグ終了後最初の相手はカンガルーズであった。


  三 シスラー

  二 中沢

  一 銀子

  指 キャメロン

  遊 鮫山

  右 西内

  中 土佐

  捕 下栗

  左 倉田

  投 九条


 安形は西内を一軍昇格のち即スタメンで起用した。

 チームにはすぐに溶け込むよう努力している。誰隔てなく声をかけては話をしている。悪い印象はない。ただし、自身とポジションを競う相手であることは事実である。

 そんな複雑な思いを重ねながら、西内の一打席目を見ていた。

 カンガルーズ先発の瀬戸内が投げる初球はど真ん中の速球であった。右投手の中ではリーグで最も制球力が高く、多彩な変化球を投じる技巧派。技巧派といっても速球は一五〇キロ中盤は出る。

 西内は堂々と見逃してストライク。わざと見逃したのだろう。目を慣らす作業か。西内は、今季のブルーバーズで出場が七試合に留まっている。全てスタメンではない。打席は一桁台であった。かつては正二塁手であったが、鍵宮らの若手の台頭でチャンスを失っていた。

 二球目の速球を叩いてライト前ヒット。一打席でチャンスをものにした。

 西内は早打ちの打者であった。それはデータで表れている。ファーストストライクが持ち味である。その強みを生かした結果であろう。

 ライトの守備は難なくこなし、最後まで試合に出場した。結果は四打数一安打。あれ以降安打は出なかった。

 チームが安打が三本に沈み敗戦。どこかまだ、敗戦をひきずっている。そして神戸なき状態が影響している。

「多分、ライトは今日まで」

 試合後、安形のコメントはこれだけであった。西内加入の真意はメディアやファンに対して見せなかった。

 コメッツは三位カンガルーズとのゲーム差を二・五としていた。このカード負ければ三位後退である。

 一方、西内がかつていたブルーバーズは四位で二位コメッツとのゲーム差は四としている。射程圏内である。移籍した町田常成はブルーバーズの二軍にいるようだ。使われる可能性は低い。

 もしかしたら、西内を放出する目的のトレードであったのか。

 翌日はスタメン落ち。ベンチで声を出す程度。ライトには銀子が入る。ファーストは堀原が守っていた。

「調子がいいから使うしかないーー」

 過去に発言したシスラーに対してのコメントである。安形はシーズンで長く起用している。昨年はバイレスがいたことで出場機会を大きく減らした。その影響もあってか、今季はやけに気合いが入ったプレーを続けている。既に昨年の出場数を上回っている。規定打席には到達している。

 試合には負けた。これで五連敗。カンガルーズとのゲーム差が縮まる。

 その焦りからか、チーム内の雰囲気も一気に悪くなった。西内はその空気に飲まれていた。

「鮫山さん」

 誰もいないロッカールームにて声を掛けてきたのは中沢であった。

「どうした」

「見ました?」

 その言葉でわかっていないことをすぐに察したようだ。

「ごめん、わからない」

「機構が早くても来季から評価を導入するらしいですよ」

「評価?」

 評価であれば、各球団がシーズンオフに来季の契約を決めるため、常に行っている筈である。

「FAが変わるらしいです。それに合わせて球団の均衡策を改定するとかで」

「ああ、そういうことね」

 そう口にしたが、話は見えてこない。

「評価というのは仮称で選手に数字を付けるらしいです。それを元に戦力均衡化を行う仕様に変えるとか」

「へぇ」

「それと、下部リーグ創設によって支配下人数が変わるとか。今まで一軍にいる選手も影響が出ますよ」

「そうだね」

 それから私は中沢のいうことを調べた。下部リーグ創設計画を発表してから約一か月半、オーナー側は草案を選手会と機構に提出した。

 選手会長の土佐は忙しそうだ。あれ以来、チームに帯同しつつ、時々離れることがあった。チームはよりバラバラになり始めていた。

 中心なきチームはどこへ向かうのか。まとめるものがいない中でいい加減蜂起しなくてはならない。

 それは成宮や神戸の力を借りずに自身で行わなければならないことを自覚し始めていた。


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