《不定期連載》負けられない者達14 プロ野球チームコメッツの闘い2014
新興球団ヴォルツ
インターリーグ最終戦はヴォルツであった。
ヴォルツは二〇〇一年にフォクシズやネプチューンズ、ジェッツと共に出来た新規参入球団であった。
十二球団から十六球団への拡張案が一九九八年に計画されたから二年後の十月に創設された。
選手はドラフトによる加入、各球団からの分配やトレードによる加入、戦力外やフリーエージェントなどの理由で自由契約となった選手のみを加入させることが出来た。
ヴォルツのオーナーは大手家電量販店の谷畑デンキの会長である谷畑国彦であった。
業界最王手の谷畑デンキであれば資金力には困らない。一番経営難に陥らずに強くなる球団。財界ではそう考えていたらしい。
けれど、谷畑は球団を強くするための後押しをしなかった。試合の戦略にはやたら口を出す。チーム名のヴォルツもその影響を諸に受けている。電圧の単位であるボルトが由来である。
フリーエージェントの選手に手を出さず、海外リーグから安い選手を得る程度。
結果は見てわかる通り、初年度から三年連続最下位で終わった。
四年目は六位になるも、五年目は最下位。六年目はチームワーストの一〇一敗で最下位となった。
一年目は齢三十五であった通算一二九勝の宮藤をエースに迎え、ナナダ二部から獲得したアダム・リヴァンやスワンソン・リーなどでローテーションを作っていた。
しかし、一年目の過登板が原因となり宮藤は故障のまま二年間登板なく引退。リヴァン、リーの両投手も肩や腰を痛め、登板は一桁に留まりチームを去った。
代わりとなって出てきたドラフト投手も次々と身体を壊していく。出来上がっていない身体で一軍登板を繰り返し、疲労を抱えたまま短い登板間隔で投げて壊れていくといった状態を繰り返していた。
ツテなどで名将や定評のあるコーチを招聘し、チームの黎明期を創り上げることに成功した他三球団とは、いつの間にか大きな差となっていた。
谷畑の道楽的な手法に、機構側は何度も注意や勧告を行った。しかし全く改善の兆しを見せなかったため、機構は二〇〇九年に「改善を行わなければ、ベイカムリーグの所属を解除する。球団経営から手を引かせる」という警告を出した。それからは谷畑は目立った動きを見せない。
創設十三年目となる今季までヴォルツは一度も四位になったことがない。インターリーグでアバントリーグの球団は「ヴォルツは貯金を作る試合。谷畑銀行」と揶揄されていた。
二 中沢
右 神戸
一 銀子
三 シスラー
左 キャメロン
遊 鮫山
中 土佐
捕 川島
投 高島
チームは前カードのガーディアンズ戦を二敗一勝で終えていた。最終戦のみ勝利で終えた。
試合前半は点数の入らない投手戦が続いた。高島ののらりくらりと打線のバットを躱していく。
十個のゴロアウトと一つの奪三振。被安打が六、死球を一つ与えて高島は六回を無失点で投げ終えた。
七回の表には倉田が代打に送られて三振に倒れた。
一番に戻って中沢はサードのエラーで出塁。二番の神戸はフォアボールでワンアウト二塁一塁になった。
三番の銀子は初球を一二塁間に引っ張ってセカンドゴロ。スタートしていた二人のランナーはそれぞれ進塁。進塁打となってツーアウト三塁二塁となった。
その後のシスラーは三振に倒れる。この采配はネット上で失敗ではないかと批判の的になった。ツーアウトになるにも関わらず進塁打を打たせた行為は批判された。
チームはその後チャンスすら作れず、無得点で敗戦。二対〇で敗戦した。
二試合目、三試合目も負けてしまい、三連敗。チームは史上初めてヴォルツに負け越す結果になった。
「あれは仕方のないこと。挑戦の結果ですよーー」
「リリーフを三度も出せば、打者は目が慣れて最後は確実に打てるようになるだろう。投手も疲労を抱えたまま投げるんだ。打たれるに決まっている。勝てるからといって、リリーフを三連投させるのは実力のない監督の言い訳にすぎないーー」
「監督になって、試合の途中で勝てると思ったことはない」
安形の三日間のコメントを抜粋したものである。そこには悲痛な思いも隠されているのだろう。
選手を擁護し、監督は自ら敗戦の責任と向き合うのみ。それは他の監督の采配すらを批判することになっても。
少しブレを感じる。これまでの監督安形とは異なっている。勝利に徹した姿とは異なり始めた。
「神戸は欠場した理由は……また今度」
そういって一戦目の七回の表、銀子の打席後に交代した神戸については何も言及されない。神戸が自力でベンチに下がった。右足を引きずった状態を考えれば、軽症であろうか。それはファンや記者に対して一切口外されなかった。
ライトには銀子が入る。ファーストは中沢と併用であった堀原が入った。
調子をなんとか取り戻した神戸は二番に入ったが、故障によってスタメンを外れることとなってしまった。
また、チームに難が訪れる。中心となる選手が一人いなくなった。
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