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作家とライターの違い

作家とライターの違い。
たくさんある(そもそも、文章を扱う以外は全くの別物と捉えるべきだ)が、そのひとつに私は、「手首を切るようなエッセイ」を書けるかどうか、があると思っている。

「手首を切るようなエッセイ」とは、ライターの師匠の佐藤友美さんに教えてもらった言葉だ。元は、彼女の友人の編集者から教えてもらったという。
その編集者さんは、一般のエッセイ投稿者に向けて「手首を切るようなエッセイ」を書いてはいけない、と伝えていたそうだ。
「手首を切るようなエッセイ」を書くのは、現在進行形で自分が傷ついている問題をエッセイのネタにしてしまうことだ。それは、膿んでいる傷口を他人に晒すような行為である。だから、髪の毛や爪といった、既に切っても血が出なくなったところだけを切って書くように、と伝えていたらしい。
つまり、まだ自分の中で全然解決していなくて、現在進行形で苦しかったり、傷ついたりしていることは、書かない方が良い、ということだ。それは、命にかかわる行為だから、と。

だから、もし、この文章を読んでいる人で、自分の傷ついた経験をエッセイにしようと考えている人がいるなら、少し立ち止まってもらえたら、と思う。
ただ、そういうエッセイを書きたくなる気持ちはわかる。誰かに聞いてほしくて、分かってほしくて書きたくなる。
そでれも、やっぱりやめておくことをお勧めする。そんなことを書いても、きっと救われないから。心無い言葉だって飛んでくるかもしれないし、何より書いてて自分が苦しくなるはずだ。
だから、そういう話は本当に親しい人達の間だけでするか、どうしても書きたいならチラシの裏にとどめておく方がよいだろう。傷口から、血が流れなくなるまでは。

「手首を切るようなエッセイ」を書けるのは、作家と呼ばれる人たちだけだ、と私は思う。
生半可な気持ちで、真似しちゃいけない。


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