もしもスーパーマ〇オの世界に税金があったら~コインを拾いすぎて税務署からマーク?~|妄想税務読物
お疲れ様です。税理士FPサラリーマンのかびです。
突然ですが、みなさんは「空想科学読本」をご存じでしょうか?
「空想科学読本」は、怪獣映画やマンガの世界で描かれる「ありえない現象」を現実の物理法則で検証する本です。
「『ドラえもん』のタケコプターがあれば実際に空を飛べるか?」—そんな疑問を科学的に解き明かしてくれる、ユーモアあふれる一冊です。
本記事「妄想税務読物」は私の専門分野である「税金」をテーマにした、空想科学読本風の記事です。
「空想税務読物」第3弾の主役は、世界一有名な配管工・スーパーマリオです。
彼はキノコ王国を走り回り、大量のコインを手にしていますが、ふと思ったことはありませんか?(ないか…)
「あのコイン、ちゃんと申告してるのかな…?」
果たしてBダッシュで税務署を振り切ることはできるのか。マリオの経済活動をガチ査察します。
笑いながら、ちょっとだけ税金を身近に感じてもらえたら嬉しいです。
※実際に起こりうる身近な税務リスクについても学べる内容です。また、税務関係者の方はどうか優しい目でお読みください。
なお、先に言っておきますが、異論・反論は大歓迎です!お気軽にコメントしてください!
※「妄想税務読物」過去作はこちら↓
コイン拾いは「ラッキー」か「業務」か?
マリオがブロックを叩いて手に入れる、あの輝く黄金のコイン。
ゲームでは「チャリン」という小気味良い音とともに100枚集めるごとに残機が増えます。
でも、もし現実の日本で同じことをしたら、その「チャリン」音、税務署が聞き耳を立てているもしれません。
私たちがまず直面するのは、「あのコインは、どの所得に分類されるのか?」という極めて現実的、かつ、面倒な所得税の問題です。
税理士的には以下の所得になると考えます。
一時所得
事業所得or雑所得
■運良く拾ったなら「一時所得」
もしマリオが散歩のついでに、そこらへんの道端(ステージの道中など)でコインを拾ったのであれば、それは税務上「一時所得」に該当する可能性が高いです。
一時所得とは、 簡単に言えば、営利を目的とした継続的な活動ではなく、いわば「ラッキー」で手に入ったお金のことです。
ここでポイントなのが、一時所得には50万円の特別控除があるということ。
つまり、拾ったコインの総額が年間50万円分を超えない限り、税金はかかりません。
あのコインの価値は不明ですが、単純に1枚=1円とすると、50万枚以上集めなければ所得税はかかりません。
どうでしょう?
私はクリアまでに50万枚も集めたことはない気がするのですが…。
まあ、確定申告したくないならコイン拾わなきゃいいですね!
【現実世界での一時所得の留意点】
たまたま当たった懸賞や競馬の賞金などは一時所得に含まれます。
また、保険の満期金・一時金も一時所得です。
なお、現実の私たちが道端でお金を拾った場合、まずは交番へ届け出ましょう。そのうえで、落とし主からもらった報労金は一時所得になります。
とはいえ、意外と「非課税」の枠が広い(年間50万円)ので、あまり気にしなくても大丈夫です。
■「ピーチ姫救出のついで」なら「事業所得」
マリオの行動をよく見てみましょう。
彼は「ピーチ姫救出」という明確な目的を持ち、プロの配管工としてなのか、副業としてなのか継続的にステージを攻略しています。
そうなると話は変わります。
その攻略過程で手に入れたコインは、もはや「ラッキー」ではなく、「業務に伴う収入」とみなされるのです。
よって事業所得(または雑所得)に該当すると考えられます。
事業所得(または雑所得)とは、簡単に言えば、 継続的に、対価を得て行われる活動から生じる所得です。個人事業主やフリーランスの人は事業所得を得ていることになります。なお、その規模が事業と認められない場合は雑所得になります。(会社員の副業などは雑所得になることが多いです。)
この場合、先ほどの50万円控除は使えません。
代わりに、ピーチ姫救出やコイン獲得のためにかかった費用(そんなものがあるかわかりませんが)は必要経費として、集めたコインの金額から差し引くことができます。
■マリオを襲う「20万円の確定申告ルール」
さらに、マリオが会社員として配管工の仕事をしながら副業としてヒーロー活動をしているのであれば、「年間20万円の壁」が立ちはだかります。
多くのサラリーマンが副業で直面する「副業の所得が20万円を超えたら確定申告が必要」というルール。これはマリオも例外ではありません。
もし、マリオが「本業は配管工のサラリーマン」で、「土日に副業でクッパ軍団と戦っている」のだとしたら、集めたコインから必要経費を差し引いた利益が年間20万円を超えた場合、確定申告が必要です。
彼は土管ではなく、税務署へ向かわなければなりません。
「キノコ」や「スター」の扱いは?
マリオがキノコを食べて巨大化し、スターで無敵になる。
ゲーム機の前では「よっしゃ!」と叫ぶ嬉しい瞬間ですが、これはどうなるのでしょうか?
基本的には、前の章の「コイン」と同じ扱いで、一時所得か事業所得(雑所得)になると考えられますね。
では、もしマリオが「ピーチ城」に雇われていて、「キノコ」や「スター」などのアイテムが「ピーチ城」から支給されているとしたら…。
税務署の職員はこう囁くでしょう。
「そのキノコ、給与として源泉徴収しましたか?」
■キノコを食べると年収UP?
税法には「経済的利益」という考え方があります。
現金で給料をもらっていなくても、会社から「本来なら自分でお金を払って手に入れるべき利益」を受け取った場合、それは給料とみなされる場合があります。
もしキノコが、「マリオの身体能力を向上させるためのサプリメント」のような扱いなら、それは現物給与(非金銭給与)になる可能性があります。
キノコの時価が1個5,000円(そこそこのマツタケぐらい?)だとしたら、キノコを食べるたびにマリオの年収は5,000円ずつ加算されていくことになります。
【現実世界での現物給与の留意点①】
会社からもらう「まかない飯」や「記念品」も、一定のルールを超えると所得税がかかります。「タダでもらったからラッキー」では済まされないのが税務のリアルです。(会社がしっかりしていれば、税金がかからないように社内規定を整えているはずなのでご安心を。)
■スターの無敵時間は「特別ボーナス」?
さらに厄介なのが「スター」です。
一定時間、あらゆる敵を跳ね返し、BGMまで変えてしまうあの圧倒的な優位性。
例えるなら、社員に与えられる「超豪華な研修旅行」や「高級スポーツクラブの会員権」に近いでしょうか。(スターがなくても職務を遂行(ステージクリア)できる点で同じ?)
もしスターが「特定の優秀な社員(マリオ)だけに与えられる特別な恩恵」であれば、その価値(時価)は全額、給料として所得税の対象になります。
無敵になってクリボーをなぎ倒している間も、マリオの納税額は右肩上がりに積み上がっているのです。
■「非課税」で済ませるための裏ワザ
マリオがこの課税を逃れる方法はただ一つ。
それは「業務遂行に不可欠な安全装備である」と主張することです。
ヘルメットや作業着と同じ理屈で、「クッパ軍団と戦うという極めて危険な環境で働く上で、巨大化(キノコ)や無敵化(スター)は、ヘルメットや安全靴と同じ『身を守るための装備』である」と認められれば、非課税となる可能性は十分にあります。
ただし、前述の通り特定の社員だけに特別に支給するなどしている場合は、現物給与と認定される可能性が高くなります。
「マリオにはキノコやスターをあげるけど、ルイージにはあげない」
こいうのはダメと言うわけですね。
【現実世界での現物給与の留意点②】
会社から支給されるPCや制服に税金がかからないのは、それが「私生活のため」ではなく「仕事のために絶対必要」だからです。
「私用でも使えるかどうか」、「職場に属する全員又は一定の仕事に従事する全員が対象か」、このあたりは税務署が目を光らせるポイントです。
ピーチ姫からの「お礼」と、高額納税の地獄
クッパを倒し、ピーチ姫を救い出したマリオ。
エンディングで流れる感動のBGM。
そして、ピーチ姫から感謝のしるしとして「お礼のキス」(さすがにこれは非課税!)と、さらに「キノコ王国の領地」をプレゼントされたとしたら…。
残念ながら、ここがマリオの人生最大のピンチかもしれません。
クッパのファイアブレスよりも恐ろしい「税金」という名の裏面のボスが姿を現します。
■「お礼のキス」は非課税、でも「不動産」は別
税務の世界では、愛や感謝などの「精神的な利益」に税金はかかりません。ですので、ピーチ姫からのキスは1万回受けても非課税です。
しかし、領地(土地)となると話は別です。
これらは「経済的価値のある資産」とみなされ、受け取ったマリオには、いくらコインを集めても払えないような贈与税や所得税が課せられる可能性があります。
■衝撃の納税額:領地をもらうと「自己破産」?
この場合、領地のもらい方によって課税関係が変わります。
ピーチ姫が個人的なお礼として領地をあげた場合
→個人(ピーチ姫)から個人(マリオ)への贈与ピーチ城が特別ボーナスとして領地をあげた場合
→会社(ピーチ城)から従業員(マリオ)への現物給与
1.贈与の場合
贈与税は、数ある税金の中でもトップクラスに税率が高いことで知られています。
もし、プレゼントされた領地の価値(評価額)が「1億円」だった場合、マリオが支払うべき税金はいくらになるでしょうか。
贈与税の計算例(一般贈与)
(1億円 - 基礎控除110万円)× 税率55% - 控除額400万円 = 約5,040万円(正確には50,395,000円)
なんと、領地をもらっただけで約5,000万円の現金を納税しなければなりません。(しかも、現金でもらっていないので、納税資金がありません)
マリオが「わーい!今日から僕も領主だ!」と喜んでいる横で、税務署は「期限内に現金で5,000万円払ってくださいね」と淡々と告げてくるのです。
【現実世界での贈与税の留意点】
「親から家を建ててもらう」「タダで土地をもらう」といったラッキーな出来事には、必ずこの贈与税がついて回ります。(ただし、年間110万円までは非課税です。)
特例(住宅取得等資金の贈与など)を知らないと、マリオのように資産をもらった瞬間にキャッシュが底をつくことになります。
2.現物給与の場合
日本の所得税はアメリカなどの諸外国と比べると、高所得者ほど高い税率なります。
もし、ピーチ城からボーナスとして支給された領地の価値(評価額)を「1億円」だとすると、領地に係る所得税はいくらになるでしょうか。
所得税の計算例(給与所得)
(1億円-給与所得控除額195万円)×税率45%-控除額479.6万円=約3,900万円(正確には39,326,500円)
基礎控除などの所得控除は無視していますが、単純計算で約3,900万円の所得税が課され、さらに住民税約1,000万円も課されます。(所得税+住民約=4,900万円!)
ボーナスでもらったとしても、多額の納税をしなければなりません。(こちらも納税資金がありません…)
■「納税義務」はBダッシュでも振り切れない
最大の問題は、贈与税も所得税も原則として「現金一括払い」であることです。
マリオがそれまで集めてきたコインをすべて「1UP(残機)」に変えてしまっていたらどうなるでしょうか。
手元に現金がなければ、せっかくもらった領地を差し押さえられるか、売却して納税資金を作るしかありません。
ピーチ姫を助けた結果、借金まみれになって土管の下で生活する…。
そんな悲劇のエンディングを回避するために、マリオには「クッパに立ち向かう勇気」よりも「タックスプランニング(税金計画)」が必要だったわけですね。
マリオといえども、税金からは逃げられない
コイン、キノコ、そしてスター…。
マリオがキノコ王国で繰り広げてきた大冒険を税務の視点からみると、そこには「現実世界の私たちも直面しうるリスク」が詰まっていました。
スーパーマリオといえど、Bダッシュしても、土管でワープしても税金からは逃げきれません。
最後に、マリオが身をもって教えてくれた「税金の鉄則」をおさらいしましょう。
■今回のまとめ:キノコ王国の税務概況報告
コイン集めは「20万円の壁」を意識せよ
たかがコイン、されどコイン。副業やポイ活で得た利益と同様に、年間20万円を超えた瞬間に「確定申告」という名のボスが登場します。あと、拾ったお金は交番に!アイテムに注意せよ
会社から受ける恩恵(現物給与)は、私的な利益とみなされると税金の対象になります。「タダでもらえるものは、税務署も狙っている」と心得ましょう。エンディング後の「お礼」に備えよ
大きな成功や臨時収入(贈与・ボーナス)の裏には、高税率の裏面のボスが潜んでいます。受け取る前に「納税資金」があるかを確認するのが、真のヒーローの嗜みです。
■最後に:知識こそが最強の「スター」
もしマリオが税金の知識ゼロで冒険を続けていたら、せっかくピーチ姫を救ったのに「巨額の納税義務」によって破産します。
ゲームをクリアしたはずなのにゲームオーバーを迎えていたかもしれません。
人生という名のゲームを攻略するために必要なのは、Bダッシュではなく、正しくルールを知る「知識」です。
税金は知っているだけで防げるダメージがたくさんあります。
マリオがスターで無敵になるように、あなたも税務の知識を身につけて、この複雑な社会を軽やかに走り抜けてください。
おまけ:ルイージの処遇問題
ところで、いつもマリオの影に隠れている弟のルイージ。
もしマリオが個人事業主として活動しているなら、ルイージを「青色事業専従者」として届け出ることで、彼に支払う給料を全額必要経費にできるかもしれません。
「兄さん、僕の給料も経費で落としてよ!」
そんなルイージの切実な願いについては…
また別の機会にでもお話ししましょう。
※本記事は一般的な情報の紹介であり、個別の税務判断を行うものではありません。
よければ↙️の「スキ❤️」よろしくお願いします!
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