1年で7回の事故、膨れ上がる借金。 22歳、人生のどん底から私が立ち直るまで。 【第1話】
おはようございます。
先日の台風。
畑の野菜たちが奇跡的に無事で、ほっと胸をなでおろした松田です。
▼松田海都はこういう者です。
この記事を選んでくれて、ありがとうございます。
この物語は、シリーズとしてお届けしていきます。
これは、年収200万円。
その日暮らしで、満足にごはんも食べられなかった孤独な青年が、人並みより、ほんのちょっとだけ余裕のある暮らしにたどり着くまでの物語です。
その青年というのが、ほかでもない、私です。
▼第1話を読む前に、どんな物語なのか、よかったらこちらから。
今回の第1話は、正直に言うと、けっこう重たい話です。
ほんの少し「読む覚悟」がいるかもしれません。
でも、ここを話さないことには、
私がどうやってREBORN(再生)できたのか、
お伝えできませんので。
このお話は、畑はおろか、私自身を根こそぎ倒していった。
まさに心に猛威を振るった「嵐」の物語。
信じられないかもしれませんが、すべて「実話」なんです。
19歳から『ひとり』に。
19歳のとき、父が死にました。
母は、自分が小学6年のとき、家を出ていきました。
家は貧乏で、生命保険にも、一切入っていませんでした。
だから、バイトで学費と生活費を稼いで、なんとか卒業。
初めて就いた仕事が、「自動車ディーラー」の営業でした。
当時の私は、一般常識というものが、まるで身についていなかった。
今振り返れば、世の中をどう生きていくか、
その物事の見方や判断が、
同い年のみんなより、だいぶ遅れていたと思います。
そんな22歳の私には、頼れる親も、相談できる友人も、悩みを打ち明ける仕事仲間も、いませんでした。
ほんと、孤独だったんです。
好きなものは、音楽と、ドライブと、ゲーム。
嫌いなものは、勉強と、本と…… そして、自分自身。
今思えば、笑ってしまうくらい子どもでした。
体だけ大人で、頭の中身は、何も育っていなかった。
常識というものが、そもそも何なのか、
分かっていなかったんです。
そして何より、仕事が、嫌で嫌で、しかたなかった。
毎朝、車のハンドルを握るたびに、
心のどこかが「行きたくない」と叫んでいました。
その声に、ふたをして。 自分は毎日、車を走らせていました。
1年で、7回の過ち
私は、車が大好きなんです。
車の話をしているだけで、給料になる。
車オタクの自分にとって、それは夢のような仕事のはずでした。
でも、現実は、ぜんぜん違った。
待っていたのは、納車したあとの、終わりのない機嫌取り。
「高い車を買ってやったんだから、この程度の傷、タダで直せ」
「故障したのは、お前のせいだ。新しい車と交換しろ」
「点検してほしいなら、車を取りに来い」
そんな言葉を、毎日のように浴びました。
好きだったはずの車に、毎日、削られていく。
そんな日々が続くうちに、頭の中に、
いつも霧がかかるようになりました。
思考が、まともに働かない。
注意力なんて、ゼロに近かった。
ある日、狭い曲がり角で、ガードレールに。
別の日、縁石を踏んでパンクして、気づかずそのまま走って、ホイールごと交換。
またある日、勢いよくバックして、電柱に。 駐車場で、70センチのポールに気づかず突っ込んで、バンパー交換。
そのうち6回は、全部、自分の過失でした。
1年で、7回。
当たるべくして、当たっていたんです。
車を売るプロが、その車で、立て続けに事故を起こす。
我ながら、滑稽ですよね。
修理代は、1回で平均20万円以上。
貯金なんて、あるわけがない。
相談できる相手も、いるわけがない。
頼れる人なんて、ひとりもいない。
それで、自分が選んだのは、簡単にお金を貸してくれる「サラ金」。
事故を起こす。
借りる。
直す。
また事故を起こす。
また借りる。
借りたお金と大きな利子が、どんどん大きく膨らんでいきました。
頭の中の霧は、どんどん、濃くなっていく。
何かを考えるための隙間が、もうない。
いつも、ボーっとしている。 そんな感じでした。
音が消えた… あの日
7回目の交通事故を起こした時、
自分の心が、一度、壊れたんだと思います。
数えきれない事故と、膨らみ続ける借金。
自分はもう、生きていくのが、ぎりぎりでした。
だからこのとき、本気で思っていたんです。
次に事故をしたら、自分は、もう生きていけない。
そう思った、矢先でした。
その日、ようやく、自分の車が修理から戻ってきました。
何度もぶつけて、何度も直した車が、ようやく。
代車を返すために、自分はバックで車を動かしました。
ボコッ。
…… 嘘だろ。
…… 嘘だろ。
…… 嘘だろ。
違うよな。
勘違いだよな!
代車で。 直ったばかりの、自分の車に。 ぶつけた。
膝から、力が抜けていきました。
その場にしゃがみ込んで、立ち上がれなくなった。
その時、まわりの「音」が、一切、聞こえなくなったんです。
周りには、たくさんの人がいました。
同じ勤務先の人。 数人のお客。 整備士も。
みんなが、こっちを見ている。
なのに、自分の口から、勝手に声が出ていました。
「ウぅっぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーうぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーー」
恥ずかしいとも、思いませんでした。
止めようとも、思わなかった。
ただ、勝手に出ていた。
生まれて初めて、頭の中が、真っ暗になりました。
真っ白では、ないんです。
黒い影が、脳を、ぜんぶ覆って。
思考が、完全に、止まった。
何も、感じなかった。
その日、自分がどうやって家に帰ったのか、覚えていません。
ただ、ひとりになった夜。
酒屋で買った、一番安い酒。
食事もとらず、ただ、それだけを飲んでいました。
そして、こらえていた何かが、いっきに、あふれ出しました。
「なんで…… なんで、こんなことばっかり、起こるんだよ。
神様。
自分は、なにか、そんなに悪いことをしましたか。
なんで…… なんで、
こんなに苦しい思いを、させるんですかーーーーーー!」
大きな声で叫びながら、号泣していました。
自分でも、もう、なにがなんだか分からなかった。
楽になりたかった… 逃げるように辞めた。
精神的に、もう危ないところまで来ていたと思います。
それでもなんとか、会社には通い続けていました。
助けてくれる人なんて、いません。
ただ一人、先輩が
「お祓いに行ってこい」
と言ってくれた。
それくらいでした。
上司は、自分の様子になんて、気づきもしない。
かけてくる言葉は、いつも仕事のことだけ。
心配の一言も、ありません。
そんなある日。
取引先と、納車の日取りを進めていたときのことです。
上司から、こう言われたんです。
「急ぎの客を先に通す。お前が担当してる、あの引き渡し。 1か月、延ばしてこい」
自分のせいでも、なんでもない。 それでも、頭を下げに行くしかなかった。
取引先からは、思いきり、怒鳴られました。
その瞬間、なんとか繋がっていた、最後の糸が。
ぷつっと、切れる感覚がしました。
もう、無理だ。
ここにいたら、自分は、
どんどんおかしくなってしまう。
もう少し我慢すれば、夏のボーナスがもらえる。
退職金がもらえるまでも、あと1か月。
そんなことは、どうでもよかった。
いや、それどころじゃなかった、という言い方のほうが、
あっているかもしれません。
「今すぐ辞めさせてください」
上司に何を言われたのか、覚えていません。
ただ、一刻も早く、ここから脱出したかった。
解放されたかったんです。
ボーナスも、退職金も、ぜんぶ、捨てました。
…… 今思えば、自分はもう、限界だったんだと思います。
あのまま頑張っていたら、本当に、戻れなくなっていた。
22歳。
手元に残ったのは、サラ金の借金と…
壁に何度も、何度も殴りつけた、傷だらけの両手。
その傷は、今も右手のこぶしに、小さな「いぼ」として残っています。
少し触れただけで、激痛が走る。
病院に行けば、すぐに治るそうです。
でも、治していません。
あの頃の自分を、自分で自分を傷つけたことを、忘れないために。
世界の、すべてが憎かった
あの頃の自分は、本気で、こう思っていました。
現実は、残酷だ。
この世界のすべてが、憎かった。
そして、誰よりも、自分自身が。
そんな世界に、味方なんて、ひとりもいない。
失敗が、何度も、何度も続くと。
人はやがて、「もう、何をしても無駄だ」と思い込んでしまう。
逃げることすら、できなくなる。
人の心は、そうやって、静かに壊れていくんです。
あの頃の自分は、まさに、それでした。
たった一つだけできたことが、逃げることだったんです。
もし今。 あの頃の自分に、52歳の私が会えるなら。
肩を、ぽんと叩いて、こう言ってやりたい。
「大丈夫。 大丈夫。 世界はね、自分が思っているより、ずっと、ずーっと、優しいんだ。
…… それをこれから、たくさん学ぶことになるからね」
次回、第2話へ
頭が「闇」に覆われ、世界のすべてが、敵に見えていた。
22歳の、私。
でも、今ならわかるんです。
世界を「残酷だ」と思い込んだことで、
私は、本当に残酷な現実を、味わってしまった。
頭の中が闇に包まれると、人は誰でも、
世界が敵に見えてしまうのかもしれません。
次回、第2話。
逃げるように辞めてしまった、自動車ディーラーの仕事。
その後、私がどうやって生き直して、
あの生きづらさから抜け出していったのか。
いろいろな出会いを通じて、
それは、人だけではありません
少しずつ、変わっていきます。
その続きは、また次回。
このREBORN編は、これからシリーズで続いていきます。 少しでも気に入っていただけたら、フォローして、続きを待ってもらえたら嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
私は、特別な人間ではありません。
むしろ失敗ばかりしてきました。
でも一つだけ、確信していることがあります。
人は、何歳からでも変われます。
このnoteでは、どん底から立て直す中で気づいたことを、
少しずつ書いています。
しんどいとき、隣にそっと置いてもらえる文章を届けたい。
深刻にならず、真剣に。
なんとかならないことはありませんよ。
松田海都
▼第2話は、こちらから読めます。
▼この物語は、こちらのマガジンにまとめています。 最新話も、ここから読めます。
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