83歳ポール・マッカートニーに「声が出ていない」はイジメか?
ポール・マッカートニーが16日、アメリカのSNL(サタデー・ナイト・ライヴ)に登場して、世界的に話題になりました。
SNLでの「バンド・オン・ザ・ラン」の演奏↓
Paul McCartney: Band on the Run - SNL(2026/5/17)
深夜コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」への復帰は、前回の出演から13年以上ぶりのことだった。(中略)
今回で5回目の出演となったマッカートニーは、5月29日発売予定のニューアルバム『The Boys of Dungeon Lane』からの感動的なリードシングル「Days We Left Behind」を、土曜日の放送で最初に披露した。
この夜2曲目は、1974年にビルボード・ホット100で1位を獲得したポール・マッカートニー&ウィングスの名曲「バンド・オン・ザ・ラン」の熱演だった。イギリス音楽界のレジェンドであるマッカートニーは、土曜の夜、いつもより多くカメラの前に登場した。(中略)
番組の終盤、視聴者はエンドロールが流れる中、スタジオ8HのステージでマッカートニーがフェレルやSNLのキャストと共に「おやすみ」を言う姿をもう一度見られるだろうと思っていたかもしれない。しかし、番組の最後の瞬間は、なんとアンコールのために延長されたのだ。マッカートニーは、1980年のビルボード・ホット100で1位を獲得した「Coming Up」をエネルギッシュに披露し、キャストパーティーを早めにスタートさせた。サタデー・ナイト・ライブの出演者たちはステージ脇でダンスを披露した。
(ビルボード 2026/5/17)
*SNLへの登場は13年ぶりと記事にありますが、ポール・マッカートニーは昨年、SNL50周年のイベントでは歌っています
新曲「Days We Left Behind」についての意見↓
この曲は元々この歌唱法
オリジナルからのキーチェンジをマスターして、歌詞間違えなかっただけで満点
原曲でポールが歌う高音旋律のカバーが女性なのが印象的、 ドラムなし曲なので、チャドにシェイカーをひたすら振らせる無茶振り
ジョンのくだり、メロディが崩れかるけど感情がこもるって泣ける
この曲は元々この歌唱法
— mcsky 🚉🎲🐦⬛ (@lesbeatnet) May 17, 2026
オリジナルからのキーチェンジをマスターして、歌詞間違えなかっただけで満点💯
原曲でポールが歌う高音旋律のカバーが女性なのが印象的、
ドラムなし曲なので、チャドにシェイカーをひたすら振らせる無茶振り
ジョンのくだり、メロディが崩れかるけど感情がこもるって泣ける https://t.co/uikPEWDLOy
ウィル・フェレルとのアンコール「カミング・アップ」の演奏↓
Paul McCartney and Will Ferrell singing Coming Up at the Saturday Night Live Season 51 finale May 16 2026 pic.twitter.com/WPnIjazeKL
— DIÁRIO DOS BEATLES (@Diario_Beatles) May 17, 2026
ファンには嬉しい大サービスぶりでしたが、「新曲に新鮮味がない」「声が衰えた」という悪評もSNSで流れました。
ミック・ジャガーと比べてみろ。彼は82歳、ポールは83歳。比較にならない。ポールは音楽から引退すべきだ。何も付け加えるものがないなら、その遺産を守るべきだ。ストーンズは活動を続け、ニューアルバムは素晴らしい。時代に即していて、斬新で、遺産に完璧に加わる作品だ。
Two words Mick Jagger. And he is 82, Paul is 83. No comparison at all. Paul needs to retire from music. If you have nothing to add protect the legacy. Stones roll on, new album is amazing. Relevant, new, a perfect add to the legacy.
— score guy (@highburyhigh) May 17, 2026
ポールの声の衰えについては以前から指摘されており、SNLのライブでも、それは目立っていたと言わざるを得ません。
GoogleのAIは、この問題について以下のように解説しています。
ポール・マッカートニーの声は、加齢による自然な影響と数十年にわたる過酷なツアー活動により、明らかに衰えを見せています。驚異的なスタミナは維持しているものの、高音域のパワーは失われ、難易度の高い名曲では時折、声がかすれたり、震えたりすることがあります。
加齢と声帯の衰え
他のボーカリストと同様に、ポールの声帯の自然な弾力性は時間とともに弱まっています。全盛期には、澄んだ力強い歌声と伸びやかな高音メロディーで称賛されていました。現在、彼の話し声は明らかに低く、かすれ気味で、2時間半に及ぶショーの序盤では、歌声も細く、かすれたように聞こえることがよくあります。
原曲キーでの歌唱
彼の声の衰えに関する議論の多くは、彼が楽曲のキーを変えようとしないことに起因しています。彼はより快適な低音域に調整する代わりに、「ヘイ・ジュード」「ヘルター・スケルター」「死ぬのは奴らだ」といった伝説的な力強い歌を、オリジナルの難易度の高いキーで歌い続けています。これは本物のサウンドを期待するファンには応えるものの、彼の衰えつつある声帯に大きな負担をかけています。
ファンと批評家の議論
彼の声の変化に関する議論は、大きく2つの陣営に分かれます。
批評家:Redditや様々なビートルズフォーラムの参加者や批評家の中には、彼の声はもはやかつてのようなものではなく、引退するか、あるいは輝かしい功績を守るためにアレンジを変えるべきだと指摘する人もいます。
支持者:擁護者たちは、80代の人物に完璧な歌声を期待するのは無理があると主張します。彼らは、マッカートニーが世界ツアーに尽力し、今なおエネルギッシュなショーを披露できること自体が驚異的だと強調します。
最近のコンサートレビューの内訳や、彼のライブパフォーマンスをめぐる議論の詳細については、以下をご覧ください。
Paul McCartney at 83: Is His Voice Finally Gone? (The 2026 Truth)
(GoogleのAI Overview)
今回のSNLで、その議論が再燃したわけですが、当然ながら「擁護派」が、「引退すべき派」を圧倒しています。
ポールの歌声を悪く言う人たちは、自分が83歳の男性のことを全く理解していないと思う。これまでの人生で成し遂げてきたことを考えれば、彼がまだ歌声を保っていること自体がすでに奇跡なのだから。
eu acho que as pessoas falando mal da voz do paul não tem noção que tão falando de um senhor de 83 anos pelo amor de deus JÁ é um milagre ainda ter voz pra cantar considerando tudo que ele já fez na vida
— paul mccartney loiro (@ontheone909) May 17, 2026
ポール・マッカートニーの声が衰えてきたからもう好きじゃないと言う人がいるのを見ると、本当に腹が立ちます。一体どういうこと? 83歳になったら、20代の頃と同じ声なんてありえないでしょう。年を重ねた声には、一部の人には理解できない美しさがあるんです。結局は好みの問題ですが、彼の声が気に入らないからといって、歌うのをやめろなんて言うべきではありません。彼は伝説であり、彼がパフォーマンスを披露してくれる喜びを私たちに与えてくれること自体が奇跡なのです。
(上記 SNL動画のコメント欄より)
今年84歳になる、マッカ師匠にハイトーンの声が出てないやキーを下げるのはガッカリと言うのは、酷な話ではないでしょうか。 元気にライヴ活動をしてくれてるだけでありがたいですし、全盛期のハイトーン自体が普通の男性の声域以上であって、あれをずっと求めるのは無理があると思うんです。
今年84歳になる、マッカ師匠にハイトーンの声が出てないやキーを下げるのはガッカリと言うのは、酷な話ではないでしょうか。
— k-rock (@ksan1974) May 18, 2026
元気にライヴ活動をしてくれてるだけでありがたいですし、全盛期のハイトーン自体が普通の男性の声域以上であって、あれをずっと求めるのは無理があると思うんです。
ポールは、来月6月18日で84歳になります。
私がこの問題に関心があるのは、それが「老年問題」でもあるからです。
でも、ポールは、キーを下げず、昔のヒット曲を昔のままに歌う、というスタイルを続けています。
決して、調子を下げた「老年様式」で、逃げようとしていない。
(ロバート・プラントは、とっくに昔のように歌うのは諦めているようですし、さまざまな事情で70代で歌を引退したロックボーカリストは多い)
そこに私は、いつものように、彼の「人格」を見るわけですね。
彼はいつも、「いつもの自分」を変えようとしない。そこに哲学があるんです。
あまり指摘されていませんが、SNL放送日翌日の5月17日は、1971年にポール・マッカートニーとリンダ・マッカートニーが「ラム」を発売した日でした。
1971年のこの日、ポールとリンダ・マッカートニーはアルバム『ラム』をリリースしました。
当初は批評家から酷評されましたが、今では史上最高のアルバムの一つとして高く評価され、インディーロックやポップスといったジャンルの礎を築いた作品とされています。
On this day in 1971, Paul and Linda McCartney released their album “Ram”.
— The Beatles Earth (@BeatlesEarth) May 17, 2026
Initially slammed by critics, it is now considered to be one of the best albums of all time and to have paved the way for the genres of indie rock and pop.
What’s your favorite song from the album? pic.twitter.com/oWbBFevyts
*発売日データには5月21日説もあり。国によって発売日が違った
SNLでポールが「バンド・オン・ザ・ラン」を演奏する背景には、リンダ・マッカートニーの画像が映っていました。

そこに、彼の思いがあったのではないでしょうか。
数日前の記事でも触れましたが、70年代のポール・マッカートニーとウィングスは、今では考えられないほど批評家に叩かれていました。
その大きな理由は、音楽の素人のリンダ・マッカートニーを、バンドの一員として扱っていたことでした。
しかし、その時も、ポールがそれについて言い訳したという記憶はありません。
彼はいつも、自分が考える「いつもの自分」を貫くのです。
そして偶然、「ラム」発売の1年前、1970年の5月18日は、ビートルズの(発売)最後のアルバム「レット・イット・ビー」が、アメリカで発売された日でした。
1970年5月18日:ビートルズの最終章
イギリスでの発売から10日後、アメリカでは音楽史上最も期待されたアルバムの一つ、「レット・イット・ビー」がリリースされた。ビートルズ最後のLPレコードである。
期待は最高潮に達し、このアルバムはまさに決定的な瞬間を象徴していた。ファブ・フォーの公式な別れ、二度とない時代の終焉。
世間もそれを理解しており、実際、アルバムが店頭に並ぶ前から「レット・イット・ビー」はあらゆる記録を塗り替えていた。予約注文数は370万枚を超え、売上は約2600万ドルに達した。
収録曲には、ノスタルジア、緊張感、そして天才的なひらめきが共存している。「アクロス・ザ・ユニバース」から「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」、そしてタイトル曲「レット・イット・ビー」まで、このアルバムはビートルズの並外れた冒険を象徴的に締めくくる作品となっている。
📀 18 maggio 1970: l’ultimo capitolo dei Beatles
— Yesterdaypills 🍏 (@yesterdaypills) May 18, 2026
Negli Stati Uniti, dieci giorni dopo rispetto all’Inghilterra, esce uno degli album più attesi della storia della musica: “Let It Be”, l’ultimo long playing dei Beatles.
Le aspettative sono alle stelle e questo disco rappresenta… pic.twitter.com/tzkvtStbZq
*日本では6月5日発売
そういえば最近、ポール・マッカートニーと「レット・イット・ビー」をめぐる「美談」を、YouTubeで見ました。
Paul McCartney Found Homeless Veteran Playing Beatles Song—What Paul Left Behind Changed His LIFE(ポール・マッカートニーがビートルズの曲を演奏するホームレスの退役軍人を発見――ポールが残したものが彼の人生を変えた)
2003年、ロンドン市街をポールが、帽子を目深にかぶり、お忍びで歩いていると、退役軍人のホームレスが「レット・イット・ビー」を歌って、小銭をかせいでいた。
ポールはその歌声に惹かれて、彼と「レット・イット・ビー」の意味について問答する。
ホームレスは、問答しながら、自分が話している相手が、「レット・イット・ビー」の作者本人であることに気づき、驚愕する。
ポールは、そのホームレスに、ある提案をするーー
ーーという、現代のおとぎ話のようなエピソードですが。
ポール自身が話すことはありませんが、こういう「伝説」は、もうたくさんあるようですね。
たぶん、ポールがこの世からいなくなったら、こういう話が、教科書に載るんだろうと思います。
<参考>
