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高市さんが示した「メディアの手本」

高市さんと、TBS・膳場貴子キャスターとの、記者会見でのやり取りが、SNSで話題になっていました。


高石早苗さん
TBS報道特集の悪質な印象操作質問を
あっさり返り討ち
さすがです!
(ひで2022真実を追求 2025/11/2)


まあ、「返り討ち」というのとは、違う気がします。


これ、SNSで見た人は、高市さんが総理になった後の記者会見かと勘違いするかもしれません。実際は2021年、高市氏が初めて自民党総裁選に出馬した時のものです。

膳場さんが「報道特集の膳場です」と言っていますが、現在彼女は「サンデーモーニング」に移っています。


このやり取り、2021年当時は、膳場が見事に高市に斬り込んだ、というふうに話題になっていました。


膳場貴子アナ戦闘態勢で痛烈質問 高市早苗氏笑顔消え「これが私」(デイリー 2021/9/8)


それが、4年後、高市さんが総理になった後は、「高市が膳場を返り討ちにした」と、逆に捉えられているのが、まず面白いと思いました。

実際のやり取りを、上に引用された動画から、文字起こししてみます。



膳場:TBS報道特集の膳場と申します。

高市:あ、膳場さんですか。こんばんは。

膳場:あの、政権構想の中で、経済的な弱者や、格差の解消の問題について、ほとんど言及をされていないので、どういうお考えなのか、ぜひ伺いたいと思います。ちなみに、高市さん、2012年、社会保障を考える文脈で、こういうことをおっしゃってます。「さもしい顔をして、もらえるものはもらおうとか、弱者のふりをして、少しでも得をしよう、そんな国民ばかりがいたら、日本が滅びる」。困窮する国民を、どういう目で見てらっしゃるのか。まず確認をさせてください。弱者への視点が欠けているという不安、批判の声もあります。どう考えるのか、お聞かせください。

高市:おそらくその発言は、民主党政権の期間中に、生活保護の不正受給が非常に多かったという問題にどう取り組むか、という議論を、創生日本の有志でしていた時の流れの発言だと思います。あの頃、いろんな方法で、この生活保護を不正受給するという方がいらっしゃいました。でもこれは、皆様の大切な税金でございます。やはり、こういった福祉というものは、私は公正であるべきで、また公平であるべきだと考えております。でも本当に、どんなに努力しても、働けない時っていうのは、働けないんです。怪我をしてですね、入院して、働けなくなってしまう方もいらっしゃいます。それから難病をかかえておられて、短い時間しか働けないという方もいらっしゃる。また介護や子育てをしながら、一生懸命働いている方もいらっしゃる。(ここでカットがある)あとは、私に対して、非常に色がついている、と見られるというご指摘でございますけれども、でもこれが私です。私は私なりの信念を持って、政策を発信してまりましたし、また実際に実行もしてまいりました。まあ今の、ありのままの私を皆様がどう評価して頂けるのか、あんなんじゃダメだぞと思われるのか、そのまま自然体でいていいんだよと言ってくださるのか、それは分かりませんが、これまでのことも含めて、これが私でございます。ただ、割と素直なほうなので、こういうことはダメだよ、とか、違うんじゃないの、もっとこういう考え方もあるんじゃないのと、同僚議員からの様々なアドバイスに対しては、けっこう柔軟に対応してきたほうだと思っております。


︎*


このやり取りを、私も取り上げてみたいと思ったのは、この4年間の変化と、4年たっても変化しないメディアの体質の両方を、浮き彫りにしていると思うからです。


ここで問題になっている「生活保護不正受給」について、どう考えるべきかというのは、私の現役時代に、新聞社内でも大いに議論になりました。

その時のことを、以前noteに書いたことがあります。


簡単に言えば、

A:生活保護は必要だから、一部の不正については騒ぐべきではない。不信感の広がりが生活保護廃止論に結びつくといけないから。

B:生活保護は必要だからこそ、一部であれ不正については厳しく追及すべきだ。不正が広がって廃止論に結びつくといけないから。

という二つの立場の対立でした。


Aが多数派で、Bを主張したのは、その場では私だけでした。


同じような議論が、この記者会見の動画で、繰り返されていることがわかるでしょう。

Aの立場を取るのが膳場氏で、Bの立場を取るのが高市氏でした。


4年前には、Aの立場をいう膳場氏のほうが正しい、と見られたのかもしれません。

だから、膳場氏の「厳しい質問」に、高市氏がタジタジになったかのように報じられました。


しかし、4年たって、Bの立場が正しいと思う人が、増えたのではないでしょうか。

だから、SNS上では、「TBSの印象操作に高市氏が斬り返した」というふうに捉えられたのでしょう。


でも、Aが正しい、というメディアの立場は、4年たってもほとんど変わっていません。


その後、同様の対立は、たとえば外国人問題にもありました。


A:外国人との共生は必要であるから、一部の外国人の不正について騒ぐべきではない。その不信感が外国人との共生を不可能にするかもしれないから。

B:外国人との共生は必要であるから、一部の外国人の不正について厳しく追及すべきだ。以下同


このあいだの川崎市長選で明らかになった、神奈川新聞・しばき隊と、宮部龍彦候補との対立も、突き詰めれば、同じような対立です。


A:差別をなくす運動のためには、多少の運動上の不正や行き過ぎがあっても、見逃すべきだ。以下同

B:差別をなくす運動のためには、少しでも運動の不正や行き過ぎがあれば、剔出すべきだ。以下同


以上のような対立群で、今のメディアは、ほぼ必ず「A」の立場をとる。

「A」の立場が、正しいジャーナリズム、のように考えられている。


AとBの対立は、「左翼リベラル」と「右翼保守」の対立のように、一般には見られるかもしれません。

だから、ほぼ必ず「A」の立場をとることこそ、今のメディアの「左翼偏向」の中身だと言えます。


さらに悪いことに、「A」の立場をとる人の中には、「B」の立場を取る人を、「差別者」「レイシスト」「排外主義者」などと一方的にレッテル貼りする者もいます。神奈川新聞の活動家記者のように。


でも、AとBの対立は、イデオロギーの対立というのとは、ちょっと違うと私は思っています。

私自身、新聞社内での不正受給の議論では、何も思想的な議論をしているつもりはありませんでした。

Aのような考えもあるだろうけど、Bのような考えもある。Aを否定するわけではないが、Bの考えとバランスをとってほしい、と言いたかったのでした。


ここで言いたいのは、上の高市さんの答弁は、今のメディアがよい方向に変わっていくヒントにもなっている、ということです。

つまり、「違うんじゃないの、もっとこういう考え方があるんじゃないの」と指摘し合う姿勢を、お互いにとったほうがいい、と思うんですよ。


なぜ、今のメディアは、このTBSの膳場さんみたいに、頑なにAの考えばかりを正しいと考えがちなのか。

そこには確かに、偏った思想の人が経営や編集の中にいたり、それらの人々を排除できない構造的な問題があったりして、すぐには変えにくいかもしれないけど。


でも、変わるべきだ、と考えている人も、メディアの中にも増えていると思う。その変化に、もっと素直になるべきなんですね。

Bもあるんじゃないの、とメディア自身が考えるべきだし、読者や視聴者も、「別の考えがあるんじゃないの」と問うべきです。


左翼偏向メディアはもう終わりだ、と私も思っているけど、メディアそのものがなくなるわけではない。

これからは、イデオロギー対立、思想対決になるのをなるべく避けて、メディアを具体的にどうやって正常化させるか、という方法の模索になると思う。

そのためのヒントが、上のやり取りの中にもある、と思ったから、ここで記録しておきました。


<参考>


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