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広告経済の次 #4: サブスクなら良いのか?

この「広告経済の次」シリーズではこれまで、広告経済依存が私たちの情報環境にもたらしている問題を、段階的に整理してきました。
#1: 個人の情報インフラが広告に依存している現状とこれまでの経緯
#2: 広告経済依存の弊害の構造とその重大さ
#3: 世界の有識者たちもこの問題に警鐘を鳴らし始めていること

個人向けサービスでは広告以外のビジネスモデルも模索されています。
なかでも「サブスク」 (サブスクリプション) はすでに広く普及していると言えるでしょう。
みなさんも日常的に複数のサブスク型サービスを利用しているのではないでしょうか。

では、サブスクは「広告経済の次」と言えるでしょうか?
今回はそこを掘り下げてみます。

サブスク型サービス

みなさんはどのようなサブスク型サービスをお使いでしょうか?
メジャーな例として以下のようなものがあります。

  • Netflix、Amazon Prime Video、Disney+(動画配信)

  • Spotify、Apple Music(音楽配信)

  • Kindle Unlimited(電子書籍)

  • 新聞や雑誌のオンライン購読

  • クラウドストレージ、仕事用アプリ

良いサブスクと悪いサブスク

これらは確かに、広告による弊害からは解放されていると言えるでしょう。
しかしその中には、個人にとって望ましくない構造のものがあります。

良いサブスク: 継続的購読というオプションに対するディスカウント取引
悪いサブスク: サービス会員の囲い込みのための取引

古き良きサブスク

サブスク自体は古くからあるモデルです。
紙の新聞や雑誌の購読がそれです。
これの何が「良い」かというと、消費者に新たな選択肢を提示しているだけだからです。

消費者は、いつでも他紙・他誌に乗り換えられます。
また、新聞・雑誌を一部づつ買う選択肢もあります。
連載小説などは、後で書籍として出版され、買うこともできます。

売り手は取引コストを削減でき、安定した収入を得られます。
買い手も手間を省け、ボリュームディスカウントを得られます。
win-win なのです。

悪いサブスクーー囲い込み型サブスク

現在浸透しつつある動画・音楽のサブスクは、これとは構造が違います。
多くの現代的サブスクでは、作品へのアクセスが「そのサービスに加入していること」によって制限されており、他の選択肢が事実上存在しない場合もあります。
サブスク以外の選択肢がある場合もありますが、それも提供者の思惑次第です。

例えば、あるドラマ1本を観たいだけでも、そのドラマが配信されているサービスと月額契約しなければなりません。
真田広之が主演し、エミー賞とゴールデングローブ賞を受賞した "Shogun" は Disney+でしか配信されてません。現時点では DVD などの発売予定も発表されてません。 

1ヶ月だけ入って抜けるということは可能ですが、月末に自動退会する予約機能などはサポートされてません。
退会を忘れてしまうリスクがあります。
退会プロセスをややこしくしてあったりもします。
意図的ではないかもしれませんが、現に辞めにくいサービスがたくさんあります。
また、加入時のキャンペーンとの関係なども明記されてなく、ペナルティーなくやめられるのか不安にさせます。

この構造では、作品へのアクセスがサービス契約に縛られ、個人の選択肢を狭めてしまいます。

書籍で言えば、「この小説を読みたいならこの出版社と月契約してください」と言われるようなものです。

最近驚いたのは、Amazon Prime Video です。
なんと映画の途中でも広告が流れるようになったのです。
で、それが嫌なら、月額390円の「広告なしオプション」に加入しろ、と。
ユーザーに選択肢がない状況で、新たな課金を求められる――こうした構造にこそ問題の本質があります。

これが独占の怖さです。

問題の本質

問題の本質は、「個人に主権がない」ことにあります。

広告モデルの問題は、「広告主のための最適化」を促してしまうこと。
同様に、囲い込み型サブスクは「独占のための最適化」を促してしまう。
この構造が放置されれば、文化的コンテンツへの自由なアクセスすら脅かされかねません。

そして、独占・寡占が進めば、その先に待っているのは値上げです。


囲い込み型サブスクが進む中で、私たちが「個人の主権」を取り戻す方法はあるでしょうか?
「広告経済の次」と併せて考えていきたいと思います。



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