そのゲーム、「盛り上がり」を設計できていますか?――三幕構成で読み解く、プレイヤーが熱中するゲーム展開のつくり方
はじめまして、もしくは再度いらしてくださりありがとうございます。
カクマルゲームズのカクとマルと申します。
普段は二人でボードゲームを作っていますが、今回はボードゲームデザインにおける三幕構成について、僕らなりの考えをお話しできたらと思います。
前回の記事はこちらとなっておりますので、タイトルを見てご興味がありましたら是非ご覧いただければ幸いです。
1.ゲームの盛り上げ方ってどすればいいんだろう
テストプレイで、ルールは問題なく動いている。
勝率にも大きな偏りはない。
それなのに「何となく盛り上がらなかった」ことはないでしょうか?
「盛り上がり」とは一体なんなのか。
これに関しては様々な研究がなされており、全てをこの記事で語ることはできませんが、「盛り上がりがない」という感想の最もありがちな原因はゲーム体験の起伏がないことです。
では、ゲームの体験の起伏とはどのように作るのでしょうか?
まず言ってしまえば当たり前なのですが、ゲームの体験とはプレイヤーの内から湧き上がる感情です。
それは、ルールや効果、勝利条件の集合だけで決まるものではありません。
プレイヤーが、
どのタイミングでゲームを理解するのか
いつ勝ちたいと思うのか
どこで相手との競争を意識するのか
どの瞬間に勝負が決まったと感じるのか
といった、プレイ中の感情の流れもゲーム体験を大きく左右します。
つまり、これら別々の体験を上手いところ配置し、直線的なゲームの体験にならないようにするというのが起伏のあるゲーム体験になるわけです。
では、具体的にどのような体験の起伏があればゲームは盛り上がるのでしょうか?
まずゲームに起伏を作るためのツールとして、最も使いやすいものにランダム性があります。
しかし、全てがランダムに発生し何も予測できない混沌の中で進行するゲーム、というのもひとつの面白さですが、ゲーム体験のデザインという面では少々乱暴すぎます。
僕らは、プレイヤーのゲーム体験に楽しいストーリーが生まれ、最後にゲームの体験をまるで物語のように話してもらえるように、ゲームをデザインするべきだと考えています。
そこで、僕らは物語や映画脚本で用いられる三幕構成という技法をボードゲームデザインへ応用できるのではないかと考えました。
これは、いわゆるストーリーを紡ぐためのお約束ですが、今回は文章で紡ぐゲームストーリーではなく、プレイヤーが主役のプレイヤーの体験で紡ぐゲームストーリーの話をしたいと思います。
最初に期待が生まれ、中盤で競い合いが激しくなり、最後に決着がつく。
この流れがうまく機能しているゲームは、プレイヤーに「盛り上がった」「最後まで面白かった」「もう一度遊びたい」と感じてもらいやすくなります。
プレイヤーの「盛り上がり」を助ける体験のストーリーとは何か、それを意識しながらデザインすればゲームはぐっと面白くなります。

2.三幕構成って何?
三幕構成とは、物語を大きく三つの幕に分けて整理する脚本上のお約束です。
一般的には、次のように説明されます。
第1幕:設定
世界観、登場人物、置かれている状況、物語の目的を提示する。
第2幕:対立
問題が発生し、登場人物が目的の達成を目指して困難と向き合う。
第3幕:解決
対立がクライマックスを迎え、物語の結末が示される。
ざっくり言うと、最初に自己紹介があり、次に登場人物が本格的に戦い、最後に決着がつく。といった流れです。シンプルですね。
脚本術のこういったお約束は調べればいくらでも他の例が出てくるのですが、ワンプレイのゲーム体験という観点で見ると、この三幕の構造が一番オーソドックスで、設計する際に破綻が少ないと僕らは考えています。
脚本術ではこの三幕の比率を、第1幕を全体の25%、第2幕を50%、第3幕を25%に配分するという考え方が一般的です。
つまり、物語の中心となる第2幕の対立の場面を最も長く取る、1:2:1の構造です。
もちろん、すべての映画や物語がこの比率に正確に従っているわけではありません。
ボードゲームに応用する場合も、「必ずプレイ時間を25%、50%、25%に分けなければならない」という意味ではありません。
三幕構成はゲームを作るための公式ではなく、
プレイヤーは今、何を理解しているのか
いつ対立が始まったのか
どこから決着へ向かっているのか
どの幕が長すぎる、または短すぎるのか
を診断するための視点です。
物語では、登場人物が目的に向かって行動します。
ボードゲームでは、プレイヤー自身が目的を理解し、選択を行い、その結果を受け取ります。
この共通点があるからこそ、物語の展開を整理する三幕構成を、ゲーム展開の整理にも応用できると僕らは考えています。
3.第1幕:ゲームを理解し、自分の方針を作る
三幕構成における第1幕は設定を説明するパートでした。
では、これをボードゲームに置き換えた場合、この幕ではプレイヤーは何を体験するパートなのでしょうか?
それは、「プレイヤーがゲームの状況を理解し、自分がどのように戦うかを考え始める」というパートです。
初めて遊ぶプレイヤーにとっては、次のようなことを理解するパートになります。
このゲームでは何をするのか
どのようなカードや駒があるのか
自分は何を目指しているのか
どの行動が勝利につながるのか
自分の行動に対して、ゲームがどう反応するのか
これは物語でいう、世界観や登場人物、目的の紹介に近い部分です。
第1幕では、選択肢の多さより「作法」の理解を優先する
第1幕で重要なのは、最初から大量の選択肢を提示することではありません。
むしろ、スローペースかつ少ない選択肢でプレイヤーが、
「このゲームでは、このように考え、このように行動すると、こういう結果が返ってくる」
というゲーム固有の「作法」を理解してもらい、ゲームの全体像を学ぶ足がかりを与えることが重要となるパートとなります。
たとえば、ゲームの中心が資源管理であるなら、序盤のうちに資源を獲得し、それを使用し、結果を得るところまで経験できる必要があります。
エリア争いが中心なら、エリアを取ることにどのような意味があり、相手に取られると何が起こるのかを早い段階で確認できた方がよいでしょう。
ゲームの仕組みを理解できていないのに、終盤と同じ複雑な読み合いを要求されても、プレイヤーはただ辛いだけです。

「どちらを選ぶか迷う」のではなく、「何をすればよいのか分からない」という混乱になってしまいます。
よいUXとは、プレイヤーからすべての負荷を取り除くことではありません。不要な混乱を減らし、ゲームとして意味のある葛藤へ注意を向けられるようにすることです。
そのため、序盤には次のような設計が考えられます。
最初に利用できるアクションを限定する
初期資源によって基本的な行動を促す
序盤ではカード効果を単純にする
ラウンドの進行に合わせて選択肢を解放する
最初の行動によって、ゲームの目的を実感できるようにする
選択肢を完全になくす必要はありません。
重要なのは、プレイヤーが理解できる範囲の選択肢を提示し、ゲームの基本的な仕組みを経験させることです。
経験者同士では「戦略の自己紹介」になる
すでにゲームを遊んだことがあるプレイヤー同士の場合、第1幕の役割は少し変わります。
ルールを学ぶ時間ではなく、お互いの方針を示し合う戦略上の自己紹介になります。
自分は攻撃的に進めるのか
序盤は資源を蓄えるのか
どの得点源を重視するのか
今回は前回と違う戦略を試すのか
相手はどのような方針で動いているのか
こうした情報を、実際の行動を通じて見せ合う時間です。
第1幕が終わる時点で、プレイヤーが「自分は今回こうやって勝とう」と考えられていることが理想です。
第1幕は単なる準備時間ではありません。
プレイヤーがゲームのナラティブと目的を受け取り、勝利へ向かうモチベーションを作るための時間です。
4.第2幕:プレイヤーの方針が衝突する
三幕構成における第2幕は登場人物が本格的に対決をするパートでした。
ボードゲームにおいては、プレイヤー同士がゲームの理解と自己紹介を終え、ここから本格的に勝利を目指して競い合うパートになります。
このパートで重要なのは、プレイヤーが単独で自分の作業を続けるのではなく、相手やゲームの状況によって判断を変えなければならないことです。
対立は、必ずしも相手を直接攻撃することだけを意味しません。
限られた資源を奪い合う
得点源を先に確保する
エリアやアクションスペースを取り合う
カードを取るタイミングを競う
相手の計画を予測して行動する
共通の脅威や時間制限に対処する
勝利条件への異なる道を競い合う
このように、自分以外の存在によって計画の修正を求められる状態が、ゲームにおける対立です。
協力ゲームや1人用ゲームの場合は、他のプレイヤーではなく、ゲームシステム、敵、時間、資源不足などが対立の役割を担います。
対立は、徐々に強くなる必要がある
第2幕が始まった直後から、ゲームの勝敗を決定づけるほど強い攻撃ができると、プレイヤーが十分に戦略を組み立てる前にゲームを続けるモチベーションを失ってしまいます。
一方で、第2幕のあいだ何も状況が変化しなければ、プレイヤーは同じ行動を繰り返すだけになります。
つまるところ三幕において最も長いパートである第2幕では、その中にも徐々にゲーム内の変化が激化するグラデーションが必要になるということです。
たとえば、
資源が徐々に不足する
得点効率の高い場所が減っていく
プレイヤーの戦略が盤面に現れる
序盤の行動が中盤以降の選択を制約する
新しいカードやアクションが解放される
中間決算によって優先順位が変化する
といった変化が考えられます。
プレイヤーが第1幕で示した方針が、第2幕で相手の方針と衝突することで、駆け引きが生まれます。
第2幕で十分な対立が発生しない場合、プレイヤーはそれぞれ自分の盤面や資源を処理するだけになります。
ゲームの終了時に得点を比べるまで、自分が優勢なのか、相手の行動に対応する必要があるのかが分かりません。
この状態では、ゲームの中心となる展開が弱くなります。
反対に、一度の失敗で回復不能になったり、早い段階で一人の勝利がほぼ確定したりする場合、第2幕は十分な長さを保てません。
その後のプレイは、競争ではなく結果確認の作業になります。
第2幕では、競い合いが発生しながらも、すぐには結論が出ない状態を作る必要があります。
単純に逆転補正を入れるだけでなく、
複数の勝ち筋を残す
一時的な優勢と最終的な勝利を分ける
相手の戦略に対応できる余地を残す
優勢なプレイヤーにも新しい判断を要求する
といった方法が考えられます。
5.第3幕:勝ち筋を対決へ変え、速やかに決着させる
三幕構成における第3幕は各登場人物の対決が最終的に解決するパートでした。
ボードゲームにおいてはもちろん、ゲームの勝敗が収束し、最終的な決着がつく時間です。
ここで重要なのは、単に終了条件を満たすことではありません。
プレイヤーが、
「次の行動で決まるかもしれない」
「ここを取られたら負ける」
「この選択が最後の勝負になる」
と感じられる最も盛り上がる対決の時間を作ることです。
勝敗が見えた後に長く続いていないか
ボードゲームでは、勝敗がほぼ決まっているにもかかわらず、その後も長くプレイが続くことがあります。
点差を逆転する方法が残っていない
盤面上の優勢を崩せない
勝利条件の達成を止められない
それでも残りラウンドを処理しなければならない
この状態では、ゲームの終盤が盛り上がりではなく消化試合になります。
やり慣れたゲームであれば投了なども選択肢になるでしょうが、始めてのゲームでは、
「その判断もつかずやる意味の無い時間をダラダラとやる事になった」
という体験が最後に残ってしまいます。
素晴らしい対決があったとしても、これでは台無しです。
ゲームの対決をデザインすると同時に、どこが実質的な勝敗を決めるタイミングなのかを見極め、その時点で速やかにゲームを終了できるように設計するのが第3幕では重要になります。
対立が起きる前に終わっていないか
また、逆のパターンもあります。
それは、特に他のプレイヤーの行動も覚えていないが勝敗は決まった。という状態です。
これは、単純に対決が無いゲームというパターンが思いつきますが、第2幕で説明したゲーム内の変化が激化するグラデーションが無いゲームというものも当てはまります。
ゲームの遊び方が分かったとしても、各プレイヤーの行動に変化がなければ、自分も行動を変える必要はありません。
なにを考えるということもなく終わってしまうため、相手への対応や戦略の修正といったゲーム本来の駆け引きを経験できません。
第3幕で注意したい「エッジ効果」
ゲームが決着へ近づく第3幕では、エッジ効果にも注意が必要です。
エッジ効果とは、ゲームの終了や得点計算といった「境界」が近づいたときに、プレイヤーの行動が、それまでとは異なる形にゆがむ現象です。
ゲームの終了時点や得点計算のタイミングが正確に分かると、プレイヤーは最後の行動を過剰に分析したり、現在の優勢を守るために保守的な行動を繰り返したりすることがあります。
このときに起きているのは、単なる長考ではありません。
プレイヤーの目的が、
「自分が勝利へ近づくこと」
から、
「相手を勝利させないこと」
「現在の優勢を崩さないこと」
へ変化しています。
これがゲームプレイのゆがみです。
三幕構成の観点から見ると、これは、本来であれば対立を決着へ収束させるはずの第3幕で、ゲームが再び停滞している状態です。
エッジ効果を抑えるためには、終盤までプレイヤーが「今、勝利へ近づく行動」を選べるようにする必要があります。
たとえば、次のような方法が考えられます。
勝利に近づかない行動には、相応の不利益が生じるようにする
劣勢なプレイヤーにも、終盤まで逆転の筋道を残す
勝ち筋が成立したら、少ない手数で決着できるようにする
勝利へ近づく行動と、相手を妨害する行動を同時に行えるようにする
最終ラウンドにも、大きな勝負へ出る意味を残す
優勢を維持するだけでは勝利が確定しないようにする
重要なのは、単純に妨害を禁止したり、強制的にゲームを終了させたりすることではありません。
プレイヤーにとって、相手を止め続けるよりも、自分が勝利へ進む方が有利であると判断できる構造を作ることです。
エッジ効果が起きる原因や、発生しやすい状況、具体的な修正方法については、関連記事「ゲーム終盤をもっと楽しくするゲームデザイン:エッジ効果の原因と解決策」で詳しく解説していますので、興味がある方はお読みいただければ幸いです。
5.プレイ時間ではなく、三幕の長さを測る
ゲームのプレイ時間は、設計段階である程度想定するものです。
しかし、実際にゲームを遊んでみると、想定より長くなったり、反対に短くなったりすることがあります。
そのとき、単に「何分かかったか」だけを見ても、適切な修正方法は分かりません。
見るべきなのは、どの幕に時間がかかっていたのかです。

たとえば、60分かかったゲームを45分に短縮したい場合でも、第1幕、第2幕、第3幕のどこを削るかで体験は大きく変わります。
第1幕を削りすぎれば、プレイヤーはゲームを理解できません。
第2幕を削りすぎれば、対立や駆け引きが発生しません。
第3幕を削りすぎれば、決着が唐突になります。
反対に、第3幕に残っている不要な処理を削れば、ゲームの魅力を失わずにプレイ時間を短縮できる可能性があります。
三幕構成を使うことで、ゲームの長さを単なる分数ではなく、プレイヤーが何を経験していた時間なのかとして分析できます。
6.ピーク・エンドの法則からゲームの印象を考える
ゲーム体験を設計するうえで、もう一つ参考になる考え方が、ピーク・エンドの法則です。
心理学者のダニエル・カーネマンらが行った研究では、人が過去の体験を評価するとき、体験時間全体を均等に振り返るのではなく、特に強い感覚が発生した瞬間と、体験の終わり方が評価に大きく影響することが示されました。
ピーク
体験の中で感情が最も強く動いた瞬間
エンド
体験が終わるときの印象
これをボードゲームに応用するなら、プレイヤーの記憶に残りやすいのは、ゲームの中で最も盛り上がった瞬間と、最後の決着です。
ただし、ピーク・エンドの法則は、「必ず中盤にピークを置けばよい」という公式ではありません。
三幕構成と組み合わせて考えるなら、第2幕で対立を徐々に強め、第2幕後半から第3幕にかけて最大の駆け引きを作り、その緊張を意味のある決着へ接続することが重要です。
理想的な感情曲線は、常に右肩上がりになるとは限りません。
小さな成功と失敗、緊張と緩和を繰り返しながら、重要な判断へ向かって感情が高まっていく方が自然です。
重要なのは、ゲームのどこがピークなのかを、デザイナー自身が説明できることです。
強力なカードを使った瞬間なのか
相手の計画を読み切った瞬間なのか
大きな逆転が発生した瞬間なのか
全員の予想を超える展開が起きた瞬間なのか
最後の一手を選ぶ瞬間なのか
そして、そのピークの後に続くエンドが、消化試合や複雑な点数計算だけになっていないかを確認します。
「中盤は熱かったが、最後は長かった」というゲームでは、ピークは作れていてもエンドに問題があります。
「最後の得点計算まで誰が勝ったか分からなかった」という状態も、計算結果が意外だっただけなのか、最後まで意味のある選択が続いていたのかを分けて考える必要があります。
よいエンドとは、単に勝者が分からないことではありません。
最後までプレイヤーの判断に意味があり、その結果として納得できる決着が生まれることです。
7.ゲーム展開を確認するためのチェックポイント
ここまでの三幕構成とピークエンドについての話をおさらいしましょう。
全てを満たす必要ありませんが、何か「盛り上がらない」と感じた際に、これらの観点でゲームを見ることで、どこに原因があるのかを発見しやすくなります。
第1幕:設定
プレイヤーはゲームの目的を理解できるか
基本的な行動と結果の関係を経験できるか
最初から複雑すぎる読み合いを要求していないか
初プレイでも、自分が何を目指せばよいか分かるか
経験者は、自分の戦略を示す余地があるか
第1幕が終わるまでに「勝ちたい」という動機が生まれているか
第2幕:対立
プレイヤー同士、またはゲームシステムとの対立が自然に発生するか
相手の行動によって、自分の判断が変化するか
序盤に選んだ方針が、実際の競争につながっているか
ゲームが進むにつれて対立の重要性が増しているか
一度の失敗で勝敗が確定していないか
中盤に同じ行動が繰り返されていないか
第3幕へ移行するきっかけが存在するか
第3幕:対決と決着
プレイヤーは、ゲームが決着へ向かっていることを認識できるか
最後の行動に勝敗を変える意味があるか
勝敗が見えた後にゲームが長引いていないか
防御や妨害だけで膠着状態を維持できてしまわないか
終了条件を満たすことが、勝負の決着と結びついているか
決着後に不要なラウンドや処理が残っていないか
勝者と敗者の双方が、結果に納得できる材料があるか
ピークとエンド
ゲーム中で最も感情が動く場面はどこか
そのピークは、ゲームの中心的な面白さから生まれているか
ピークの後にゲームが長く続きすぎていないか
最後の選択とゲーム結果が結びついているか
終了時に「やっと終わった」ではなく「決まった」と感じられるか
結果を受けて、別の戦略を試したいと思えるか
じゃあ、三幕構成が完璧なら、それで十分?
では、三幕構成だけを考えれば、よいゲーム体験を作れるのでしょうか。
もちろん、ボードゲームの体験は、実際にプレイしている時間だけで完結するものではありません。
ゲームを知り、遊びたいと思い、ルールを理解し、遊んだあとに振り返るところまでが、一つのUXです。
三幕構成は、その中にある「一回のゲームプレイ」を整理するための考え方にすぎません。
だからこそ、ゲームを設計するときには、三幕構成だけでなく、その前後を含めたUX全体にも目を向ける必要があります。

三幕構成は、プレイ中の感情と対立の展開を捉える地図
ゲームの体験サイクルに関する詳細はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
ボードゲームの面白さは、個々のルールやカード効果の完成度だけで決まるものではありません。
プレイヤーがいつゲームを理解し、いつ勝利への方針を作り、いつ相手と競い合い、どのタイミングで決着を迎えるのか。
その時間の流れを設計する必要があります。
三幕構成を使うと、ゲーム展開を次のように整理できます。
第1幕:設定
ゲームの目的と基本的なお作法を理解し、自分の方針を作る。
第2幕:対立
自分の方針を、相手やゲームの状況にぶつけ、判断を更新しながら競い合う。
第3幕:対決と決着
勝ち筋を最終的な対決へ変え、意味のある選択によって速やかに勝敗を決める。
そして、ピーク・エンドの法則を意識するなら、ゲームには印象に残るピークと、納得できるエンドが必要です。
第2幕で最大の競い合いが生まれ、第3幕でその対立が明確な決着へつながる。
その流れを作ることができれば、プレイヤーはゲームを振り返ったときに、
「途中の駆け引きが熱かった」
「最後の一手まで意味があった」
「次は別の方法で勝ちたい」
と感じやすくなります。
ゲームの展開を設計することは、プレイ時間を調整することではありません。
プレイヤーがゲームを始めてから終えるまでに、どのような感情の旅を経験するのかを設計することなのです。
さいごに
ここまで「ゲーム体験の三幕構成」に関しての、長い記事をお読みいただきありがとうございました。
ボードゲームの盛り上がりというのは、参加するプレイヤーやその場の空気にも大きく左右されるため実はテストプレイ単体で見ると逆に分かりにくい所があります。
そのため、今回の記事ではより具体的に、ゲームの勝敗に関わるゲーム展開という点のみに絞って記事にしました。
「プレイヤーの体験や感情をデザインする」と書くとこれはただの傲慢な人ですが、プレイヤーが心地よくゲーム体験に集中できる手助けをするような体験をデザインする努力はして損はないはずです。
読みにくい部分、疑問点もあるでしょうが、ご感想と一緒に指摘や質問を頂ければ幸いです。
最後になりますが、僕らの記事が皆様の作るボードゲームをほんの少しでも面白くする助けになれることを切に願います。
また、これを読んでボードゲームを作ろう!と思ってくれたならそれもまた望外の喜びです。
それでは、みなさんボードゲーム作りましょう!
